【感想】世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学

近内悠太 / ニューズピックス
(153件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
58
61
14
8
1

ブクログレビュー

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  • shiho-k

    shiho-k

    前知識なしに読んだら、哲学の本だった。
    そして、想像していた以上に素晴らしい内容だった。
    タイトルからして、胡散臭い自己啓発系の本かと思った。
    と言うのも、本書を手に取ったのは前に読んだ「傘のさし方がわからない」で、著者がこの本を話題に挙げていたからだ。
    で、読んでみたらパズルのピースがぴったりとハマったようなまるで雷に打たれたような驚きと感動を味わった。
    ぼんやりとしていた気持ちが「贈与論」という概念を通してはっきりと明確になったからだ。
    また、後半部分のボールを支えている外力の話も印象に残った。私たちが普段何気なく享受しているものは他の誰かに支えられているからこそなのである。
    そして、それを忘れがちだ。
    当たり前のことなんて何もない。
    過去の人々や生きている他の人々から様々なものを受け取っているんだと、自覚して感謝を忘れないでいたい。
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    投稿日:2024.04.14

  • YAJ

    YAJ

    このレビューはネタバレを含みます

     情けは人の為ならず、ではないが、めぐりめぐって人の気持ちが、循環していけばよい、そういうお話。

     人に薦められ読んでみたが、まえがきや、章立てをよんで、すぐに『子供はわかってあげない』(田島列島著)を思い出した。

     本書でも、映画『ペイ・フォワード』のセリフを引いている。

    「お礼はいいから、次へ渡しなさい(pay it forward)」

     同じ内容のことを、『子供は~』の中の主人公は年配者から言われるのだった。

     さらに本書を読み進めると、内田樹の贈与論の話がでてくる。

    「思想家の内田樹は、「贈与は『私は贈与した』という人ではなく、『私は贈与を受けた』と思った人の出現によって生成する」と述べています(『困難な成熟』207頁)。」

     『子供は~』を読んだ時、背後に内田樹の存在を感じたが、なるほど、共通するところがあったのだな、と妙に納得した。

    『子供はわかってあげない』のレビューはこちら;
    https://booklog.jp/users/yaj1102/archives/1/4063883795

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.04.12

  • Book Bar for Leaders

    Book Bar for Leaders

    贈与論について簡単に面白く書かれています。交換の論理だけではなく、贈与がある世界であってほしいものです。

    ( オンラインコミュニティ「Book Bar for Leaders」内で紹介 https://www.bizmentor.jp/bookbar )続きを読む

    投稿日:2024.04.12

  • 四畳半主義者

    四畳半主義者

    何事も見返りを求めがちな現代社会において、「贈与」の重要性が高まると著者は指摘する。資本主義の隙間を埋める「贈与」のあり方を考察する一冊。

    投稿日:2024.04.07

  • mzhkmt

    mzhkmt

    深い。
    贈与:無償で誰かに与えること。ここでは、物の贈与でなく、目に見えないことについて論じられる。
    贈与は、交換とは対にあたる。

    今の、自由で資本主義の社会。一人でも生きていけることを目指せと言われる。しかし、誰にも迷惑かけない社会とは怖い、という説明にドキッとした。誰にも迷惑かけない社会とは誰からも必要とされていないこと。迷惑とは頼られること、助けること。

    しかし。資本主義を否定せず、むしろ資本主義のすきま、アノマリーに贈与というのがハマるというのも興味深かった。常識や普通のことと異なる異物性に着目し発見された英知の数々。感謝や賛辞を求めずに発見され、世の人に役立ってる、そんなことが数知れずある。我々はそういう贈与に気づこう、と。それに気づいたら、周りは贈与にあふれていて感謝するし、自分もそれを与える人になれると、社会は良くなる。

    とても温かい哲学を読んだ。

    ちょうど前日に訪れたクルミドコーヒーが登場して、あまりの偶然とタイミングにびっくりした。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.06

  • みか໒꒱

    みか໒꒱

    最近、大学の授業で贈与論に触れたことがあり関心があって、書店でタイトルを見かけ堪らず買って読んだ。

    私たちの世界に潜む「贈与」の性質と、潜んでいる「贈与」の見つけ方がわかった。
    私たちが交換というやり取りのすきまにしている「贈与」…。人間関係において大切な概念だったんだなって温かい気持ちになった。

    昨日ストーリーで少し話した「シェア」は、そんな贈与を次へと誰かへと繋げていこうとする心の働きが関係しているらしい。これからもシェアを通じて関わりあいつづけたい…


    読んだ後、自分で考えたんだけど "present" という英単語には、
       pre/sent > 以前(誰かから)送られたもの
    みたいな意味があるのかなぁ…?とふと思ったの。そうやって受けてきたpresentを誰かに贈るのかなぁと。
    このことは、作者も触れていないし語源には諸説あるので、完全に私の独自意見です!だけど読んだ人なら共有できる気がする…!

    講義から関心があった贈与論について、知識を受けられてよかった。
    続きを読む

    投稿日:2024.02.21

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