【感想】写楽の謎の「一解決」

松本清張 / 講談社文庫
(2件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • touxia

    touxia

    彗星のごとく あらわれて、
    彗星のごとく 消えていった 写楽。

    歌麿の 優雅でなよなかな 浮世絵とくらべて、
    どっしりした デフォルメ。
    醜陋な 絵が インパクトを 現代には
    与えるが、その当時は どうだったのだろうか。

    江戸の文化の高さを感じさせる 浮世絵は
    彗星の 絵師によって 衝撃を与えたに違いない。
    しかし,商売的に 成り立ったのかは
    よくわからない。

    東洲斎写楽を 松本清張は 東西のシャレ と読み替える。
    そして、それは 黴毒にかかっており、
    ほんのわずかな きらめきで、
    最初は 優れていたが 徐々に精細をなくしていく
    その姿を浮き彫りにする。

    謎が あれば 推理する。
    しかし,推理するには 
    いろいろな角度からなされるべきだ。
    松本清張は 推理を 推理する。
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    投稿日:2014.03.22

  • takemog

    takemog

    古本で購入。

    松本清張が写楽の正体についての考察を披瀝した講演を収めた本。
    いつどこで開催された、何の講演会なのか、明記されていないのは何なんだ。

    写楽の正体については諸説紛々である。
    曰く、阿波侯お抱えの能役者斎藤十郎兵衛である。いや阿波侯屋敷にいた蒔絵の下絵師だ、白川家門人の片山写楽だ、版元の蔦屋重三郎こそ写楽その人だ…
    まさに「謎の浮世絵師」に相応しい。

    清張はこれらの説を様々な論証をもって否定する。
    そして「思いつき」として語るのが、「写楽=精神病者説」である。
    写楽の絵の特徴たるデフォルメは実は絵師本人にとっての正常、つまり視神経の狂いから生じたものだと言う。

    清張による写楽誕生の物語はこうだ。
    腕のいい浮世絵画工がいたが、彼は悪所での遊びから梅毒に罹患して脳を侵され、視神経が狂う。画工の親方の下を追い出された彼に蔦屋重三郎が目を付け、「東洲斎写楽」として売り出す―
    やや小説的すぎるが、ゴッホやゴーギャンとも似通う狂気性、描いた手に見られる異様なまでのデッサンの幼稚さなど、納得してしまう部分もある。

    しかし何だかんだ言いながら、清張の結論は「写楽は『写楽』のままでよい。経歴の詮索はやめ、ただその画を見よ」というものだ。
    最後にうっちゃった感じもするが、何となくまとまっている気もしてしまう。
    清張の多面性が垣間見られる1冊。
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    投稿日:2013.08.16

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