【感想】田島列島短編集 ごあいさつ

田島列島 / モーニング
(15件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • ss512(試)

    ss512(試)

    『水は海に向かって流れる』、『子供はわかってあげない』を読んで好きになった作家さんの短編集。

    やはりこの著者の選ぶ言葉遣いと、そのセンス、空気感が気持ちよく、不倫とかドロドロしそうなテーマを扱っていても嫌な気分がしない。
    雰囲気は柔らかいけど、曲げられない芯はある感じ。
    好きだな~
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    投稿日:2024.02.06

  • えむばーど

    えむばーど

    飄々としたような漫画なのに、あたたかでキャラクターの気持ちが行間から伝わるような、そんな不思議な作品。
    表現はこんなにもマンガチックなのに、どうしてか人物たちの気持ちはもの質感を伴って伝わってくる。
    ゆるい漫画のように読めるのに、その実重たいテーマの短編ばかり。感じたことのない読み心地の漫画である。続きを読む

    投稿日:2022.07.01

  • テクノグリーン

    テクノグリーン

    このレビューはネタバレを含みます

    田島列島著『田島列島短編集ごあいさつ』(講談社)
    2019.12.9第1刷発行

    2022.5.7読了
     全体的に重い主題を扱っているのだが、キャラクター造形や台詞回しに作者独特のユニークさが際立ち、面白ろおかしく読むことができる。その一方で、軽薄という感じに陥ることもなく、ストンと心に残るものがきちんと用意されている。『水は海に向かって流れる』があまりにも良すぎたので、かえって作者の他作品を敬遠していたのだが、そのような心配もなく思う存分楽しむことができた。

    「ごあいさつ」
     夫に不倫されたこの奥さんは、自分自身の夫への気持ちを見つけるために、足繫く不倫相手の家に通っているのだろう。イヤなことを直視したくないのは、妹の千佳も同じ。まだ子供だからと自分に言い訳して、巻き込まれないようにしている。しかし、それではいつまで立っても前に進めない。膠着状態という安定状態のまま時間だけが過ぎていく。家に侵入してきた虻を千佳がハエ叩きで瞬殺するシーンがなんとも象徴的だった。直視したくないものは見えなくするということなのだろう。

    「官僚アバンチュール」
     陳情くんのポンチ絵が完全にNUMOの住民説明会用ポンチ絵で笑ってしまった。個人的には千佳が不倫を思いとどまるよう止めても止めなくても結果は変わらなかったと思う。友達に被害者というレッテルに貼って、自責を嘆くことは容易いし心地よいものだ。友達の成長を信じるというのは、エンパワメントに通ずる話でもあるなと思った。

    「おっぱいありがとう」
     坂下さんは婚前交渉で妊娠していたわけで、シングルマザーになる可能性があった。宮本さんは世の中をくるくる回すことが自分の役割だと言っていたが、おっぱいを吸うという行為は、何の覚悟もなく子を授かってしまった坂下さんにとって、必要不可欠な通過儀礼だったのだろう。

    「お金のある風景」
     五円を糸で結ぶことから「ご縁を結ぶ」という五円玉手芸は縁起物としてよく言われる。このお姉さんは損得関係なく元カレが好きだったのだろう。新しい女にはできて自分にはできないというのはさぞかし辛いに違いない。消化されない感情を昇華させるという意味で、この作品も通過儀礼的な要素を感じる。

    「ジョニ男の青春」
     どうしようもない同棲相手の子を妊娠したと分かったとき、産むべきかどうか判断を迫られる場合がある。そうしたときにパートナーとして相応しいかどうか値踏みできる仕組みがあるとよい。こういう発想から生まれた作品なのかなと思っていたが、標題を見ると、ロボットが玉代に恋をしたみたいな付け方がされており、目の付けどころがユニークだなと感じた。

    「花いちもんめ~おらが村にUFOが落ちた~」
     ギャグ回。冒頭と最後に出てくるおばあちゃんが狂言回しのようでいい。NUMOといい作者は東北出身なのかもしれない。

    「Not found」
     恋愛が苦手な幼馴染のお話。「恋愛」という言葉にイメージされる男女の色恋沙汰に翻弄されている二人が何とも若くてよい。色々な形の恋愛があっていいのではないかと私は思う。それにしても犬に「犬楠」なんて名前を付けるかな、普通(笑)

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    投稿日:2022.05.07

  • knkt09222

    knkt09222

    7短編。
    ・ごあいさつ ★
    ・官僚アバンチュール
    ・おっぱいありがとう ★★71ページの1ページ2コマ!
    ・お金のある風景
    ・ジョニ男の青春
    ・花いちもんめ~おらが村にUFOが落ちた~
    ・Not found
    ・おまけ 蔵出し田島列島
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    投稿日:2022.03.14

  • ぽな

    ぽな

    田島先生が紡ぐ優しくて心温まる言葉・作品観が好き。一つ一つの話に人間の温もりを感じられ、先生の人柄も良いんだろうなあと思うなあ。ファンなら必読。

    投稿日:2022.01.23

  • shokuzaisetto

    shokuzaisetto

    2008年から17年にかけての7作品を収録した初短編集。『水は海に向かって流れる』で魅了され、『子供はわかってあげない』を経て、ここまで来てしまった。同様の人は少なくないはず。

    表題作「ごあいさつ」と「おっぱいありがとう」が特に印象的。あと「官僚アバンチュール」も。ほかSFチックなものや初恋的なものなど、多様である。

    と同時に、贈与や手助けを通じた感情のやり取りや、セリフやト書きに頼りすぎない繊細な心理描写など、のちの作品に通底するものも各話で垣間見られる。なかでも後者は、『水は』でさらに徹底されていった。きっと、読者を信頼されているのだろう。
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    投稿日:2021.01.06

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