【感想】租税条約入門

木村浩之 / 中央経済社
(1件のレビュー)

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  • Tsumoha

    Tsumoha

    本書は、租税条約を体系的に捉えて、その条文の読み方、一般的な解釈及び具体的な適用関係を明らかにすることを目的とし、租税条約の総説的な考え方を示している。租税条約はOECDモデル租税条約を基礎としているが、一般的な租税条約の考え方、読み方について初めて学びたいという人にはお勧めの書籍。
    P150
    役員報酬(16条)
    法人の役員がその資格において受領する報酬(役員報酬)については、15条の定めにかかわらず、16条が優先的に適用される。16条は、所得が生じた場所、源泉地についてのソースルールとして支払者基準を採用することを前提に、いずれかの締約国の居住者が受領する役員報酬について、相手国の国内における労務提供の有無にかかわらず、その国の居住者である法人が当該役員報酬の支払をする場合に適用され、支払者である法人の所在地国が源泉地国として課税することが認められる。労務提供地基準ではなく支払者基準が採用されているのは、役員としての活動は一般に物理的な場所とのつながりは希薄であり、どの場所にいても法人のために活動することが可能であり、役務提供地を特定することが困難であることが考慮されている。
    「役員」については、租税条約上は特に定義されておらず、源泉地国の国内法が参照される。そして、役員としての資格において受領すると認められる所得であれば、広く役員報酬に含まれる。これに対して、役員以外の資格において受領すると認められれば、他の所得条項が適用される。たとえば、従業員が役員を兼務する場合に従業員としての資格において受領する所得に対しては15条が適用され、また、役員が同時に株主である場合に株主としての資格において受領する所得に対しては10条が適用され得る。
    なお、役員報酬を支払う法人の所在地が役員の居住地国と同じである場合、あるいは第三国である場合には、二国間射程を満たさないことから、当該法人から支払われる役員報酬について16条は適用されず、その所得の性質に応じて、15条(給与所得に該当する場合)、7条(事業所得に該当する場合)、あるいは21条(それ以外の場合)が適用されることになる。
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    投稿日:2021.01.27

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