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志水辰夫 / 講談社文庫 (2件のレビュー)
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総合評価:
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sasha89
世話になっている古書店にかかって来た1本の電話。電話の 主は25年前、この古書店をひいきにしていたという。 関東に戻って来た。実は蔵書を処分したい。ついては昔馴染み の店に頼みたい。そんな依頼を受け…て湯原直子は指定された 横浜市内の住宅へ足を運ぶ。 生憎、老齢の店主は体調を崩して入院中だ。蔵書リストだけを 受け取るつもりだった直子の前に差し出されたのは1冊の本。 預かったのは稀覯本。しかし、それはとある場所からの盗品 だった。ことの真相を確かめる為、再度、横浜に向かった直子 だったが、訪問したはずの住宅はもぬけの殻。何もかもが 直子を迎える為のトリックだった。 そうして、元の持ち主の元に手紙が届く。直子に渡した本以外 にもあなたの蔵書がこちらにある。買い戻す気があるのなら、 幾ばくかの現金と交換だ。 誰が、何の為に仕組んだトリックなのか。物語が進むうちに 隠されていた過去の出来事の真相が浮かび上がって来る。 最近は時代小説の多い著者だけれど、『行きずりの街』や 『背いて故郷』等のハードボイルドな作品が好きだった。 「過去のキズ」がテーマになる作品が多い著者なので、本書 もそうなのだが女性が主人公であるのが異色かな。 謎解きと愛憎劇が展開されて、終幕へ向かうのだがすべての 謎が明らかになっても誰も憎めない。それぞれが背負った 哀しさが余韻として残る。 やっぱりいいなぁ、シミタツ。他の作品を再読しようかなぁ。続きを読む
投稿日:2017.08.19
Tetchy
シミタツでは珍しく女性を主人公にして作品。しかも古書店に勤める女性という地味な主人公で、しかも稀覯本を巡る話。 およそシミタツには似つかわしくない題材と人物設定で、物語も流されるままに流れていく。題名…は主人公の女性を例えた言葉なのだが、あまり印象的に使われている風でもない。 この頃のシミタツはちょっと作品に迷いを感じるのだが、特にこの作品は作者の目指す方向性が見えない当時の状況が露呈しているような内容だ。続きを読む
投稿日:2017.06.27
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