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鹿子裕文 / ちくま文庫 (26件のレビュー)
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テリコ
一人のどうしようもないお年寄りにか関わり、特養老人ホームを作るという、壮大なお話だった。何もかもゼロからすべてを立ち上げ、資金繰り、場所作り、面白いことを計画、実行する。すごいスケールの大きさを感じた…。小さいことで悩んでいたら人生損だなと思えた。まずはカフェに行ってみたい。ジャムも買ってみたい。続きを読む
投稿日:2024.04.27
ぽんか
少し個性的な人たち、介護施設を作りたいという大きな想い、介護に対する考えが詰まってました。世話人という少し離れた場所からみた、よりあいの人たちの熱い日常が伝わった一冊でした。
投稿日:2024.04.07
まりころ
このレビューはネタバレを含みます
制度があるからやるのではない。施設が作りたいからやるのではない。思いがあるからやるのではない。夢を実現したいからやるのではない。目の前になんとかしないとどうにもならないような人がいるからやるのだ。その必要に迫られたからやるのだ。それは理念ではない。行動のあり方だ。頭で考えるより前にとにかく身体を動かす。要するに「つべこべ言わずにちゃちゃっとやる!」のだ。 . 介護に疲弊した家族が、涙を浮かべながら窮状を訴えるとき、施設はその存在意義と力量を問われる。専門職として、その専門性が試される。この仕事を生業とする者が、今、自分たちに何ができるのかを突きつけられる。 . 自分が実際目にして、耳にして、鼻でにおいをかいで、そして心の奥で感じたもの。人と人とが顔を合わせ、たわいもない会話を交わしていく中で自然に育まれていく、情のようなもの——そういうものを大事に思う人たちがいる。 . もらっていいお金と、もらってはいけないお金がある。意味のあるお金と、意味のないお金がある。自分たちの力と呼べる力と、自分たちの力とは呼べない力がある。間違っていることと、間違っていないことがある。その違いがわからなければ、僕が何を間違おうとしていたのかはわからない——。 . 臆病風に吹かれなければ、事は少しずつ動き出す。大切なことは、申し訳ないと思う気持ちを、ありがとうという気持ちに変えることだった。それができれば自然と腹は据わってくる。調子に乗ることもなければ、間違うこともなくなっていく。 . 思えば「自己責任」という言葉が「老い」という不可抗力の分野にまで及ぶようになって以降、人は怯えるようにしてアンチエイジングとぼけの予防に走り出した。のんびり自然に老いて、ゆっくりあの世へ行く。それを贅沢と呼ぶ時代が来てしまったのかもしれない。とにかく国は生存権に帰属する介護問題を、サービス産業に位置づけ、民間に託して解決を図る道を選んでしまった。(中略)サービスとはつまり、手間という手間をひたすら金で買い続けるしかない代行システムのことなのだ。 . 僕はとても個人的な人間だし、団体行動も苦手で、人の役に立とうと思ったことは特にない。今だってそうだ。僕が今も「よりあい」と付き合っているのは、そうした志があるからではない。単に下村恵美子や村瀬孝生、そして若い職員の人たちと仲良くなってしまったからだ。そういう友だちみたいな人に「ねぇ、ちょっとお願い!」と頼まれれば、僕は嫌とは言わない。それが友だちというものだからだ。 . 地位とか名声とか、そういうものが欲しくてやっているわけじゃない。やるべきことがそこにあるから、それをやることでしか前に進めないから、ただそのことだけを懸命にやっている。そのシンプルさが、なぜか人を魅力的な顔にしていった。 . 贅沢が言えるわけではないから、集まってくるのは年代もデザインもすべてバラバラのものたちだ。けれど不思議なことに、こうして集めてうまく組み合わせていくと、その雑多さが逆に落ち着いた雰囲気を醸し出し始める。人と一緒だ。同じような顔をした人たちしかいない世界は案外つまらない。それに居場所を無くしかけたものでも、集う場所がどこかにあれば、もう一度やり直すことができる。 .
投稿日:2024.03.10
たかはし
この本を読んだ人は、なぜ読もうと思ったのかどうやって手にしたのか気になります。 福祉を見て見ぬふりしているのがわかるし、福祉は人や環境によって結果や状況が大きくこのなることもわかります。 福祉施設のホ…ームページってどこも似たようなこと書いてあるんだけど、この本の中に出てくる施設のように、その施設だからこその特徴や色がある施設はいい施設だと思う。 それを見つけるのが難しいんだけどね!続きを読む
投稿日:2023.12.26
キムチ27
2016年執筆の当作品。 筆者は元編集者だけあって、構成からまとめ方、落ち、ボケ突っ込みがお手の物・・申し訳ないが、私には逆にこういった【作り物の砕け方】が非常に読み辛かった。 ずっと読んでいるとイラ…イラして、一気読みしてしまったけれど。 人は色々だと思う。 押しなべて、好評の当作品、個人的には今一つ。 2000年から、10年ほど、いわゆる「現場」で働いた経験がある。 この本に登場する類の種々の形態へも努めたことがある。 今の仕事でも、毎月関わっているグループホーム。非常に似た雰囲気を持つ。 こうした空気が自然発生的に湧き上がってこないと、利用者にとっても好ましい環境つくりはできないと断言できる。 働く人、入所している人、その他もろもろが醸成する空気は至福のもの。 「ぼけても普通に暮らしたい」=よく言われる表現ながら、微妙な中身。精神疾患に近似していく進行のタイプでは難しいと思う。 誰だって、一番簡単に発せる言葉がこれだろうとは断言できるけれど。「普通」という語自体が持つあいまいさ、微妙なニュアンスを知らない人・・ある意味 未発達な部分を持つ世の中を知らない人に多いと思う言葉。 「誰もが安心して暮らせる社会であってほしい」~そうありたいけれど。政府が作り出したゆがんだシルバー民主主義の世の中で、そんな言葉はむなしい響きしか発しないという事は考えて欲しい。 10年前ほどは、「今、ここに入居している1920年~1935年生まれの人たちぐらいが一番恵まれた【介護福祉時代】の恩恵を受けられるのかな‥って仲間と話し合った記憶がある。 彼彼女たちの若かりし日々は灰色、戦争の真っ最中とはいえ。。。介護保険が始まった当時の「過剰な言葉のオンパレード」~「させて戴きます」をありちょあらゆるサービスに乱用し、ヘルパーは勿論、専門職は利用者の足元にひざまずいて支援するような場面も多々あった。 来年あたりから、介護保険には冷たい風が吹き出す、まして私が使う頃になると・・。 とにかく、人手不足、マンパワーの干上がり。 ワンオペじゃないけれど、一人で現場を任されることが増えて行っている。 保険料もべらぼうに跳ね上がるし。。 ユートピアの幻想にあふれた【読み物】だった。続きを読む
投稿日:2023.11.25
Ruko
福岡にあるユニークな宅老所を題材にしたエッセイ。 事実は小説よりも奇なり、ならぬ、事実はお笑いより笑える、と言いたいくらい、何度もお腹を抱えて笑ってしまった。 あの谷川俊太郎のTシャツを脱がせて即売す…るなんて…! 読後は、何事もケセラセラの精神で、笑って乗り切ろうと元気が出てきた。 続きを読む
投稿日:2023.07.21
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