中沢新一 / 講談社選書メチエ (17件のレビュー)
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yoshidamasakazu
#講談社選書メチエ #中沢新一 #カイエソバージュ 神の発明 スピリットという概念を用いて、キリスト教の資本主義的性格と弊害について講義した本 スピリットの意味を「人間の心の中」と捉えた。当初…のスピリットは「超越性」や思考外に導く能力を持っていたが、神(ゴッド)の出現により、スピリットが物質化し、現在は その能力を失っているとのこと 王と国家の発生により、高い対称性を保つスピリット世界が解体し、低い対称性の「神の世界」が出現し、多神教な宇宙が形成される、という流れ さらに、モーセ思想やトーラス型の宗教的思考(一神教の神(ゴッド)だけがみたすことができる)により、多神教が一神教に作り変えられたという論考 「人間の心が神を発明するのである」 「ことばの形成によって、私たちの心が作られた」 神(ゴッド)の二類形 *高神〜非対称、いと高きところ(天空)にいる神、純粋な光 *来訪神〜低次対称、海上冥界、物質性 スピリット世界がつぶれて低次対称性に姿を変え、脳の同じ場所に多神教の宇宙がつくられる 多神教宇宙 *非対称の高神、低次対称の来訪神が共存 *来訪神が、壊れた対称性を一部保存する存在 高神から唯一神へ *モーセ思想〜神ヤハウェを人間との絶対的な距離で隔絶された非対称性の神とし、多神教の信仰を禁止 *高神は人間との間に絶対的な距離を保ち、他の神々を拒絶する「唯一神」に変貌した *トーラス型の宗教的思考(一神教の神(ゴッド)だけがみたすことができる)によって、「メビウスの帯」のような心の働きを維持しようとしてきた心の機構全体が抑圧されたことによって、多神教は一神教に作り変えられた 続きを読む
投稿日:2025.03.13
jerico
世界各地の土俗的習慣などから、所謂大麻などを利用してのトリップや瞑想などの行動から、人智を超えた次元を見るというか感じる事から、神というものが生み出されて行くという事でしょうか。 初めての分野なので理…解が及ばない所もあるが、興味深い話でした。続きを読む
投稿日:2023.08.19
nabecho
このレビューはネタバレを含みます
2003年 中沢新一 心貧しき非対称な現代。自由で豊かなスピリットの危機。 再生、出現させよう、未来のスピリット! NOTE記録 https://note.com/nabechoo/n/nee35c03535d1 『4巻目は、「超越性」の発生。「超越性」の直観は「スピリット」の活動として表現、「スピリット」は様々な名と形で、あらゆる人間の心に住みついてきた。この「スピリット」から、神の形象がかたちづくられていく。 人間の心が神を発明する。「スピリット」に備わった「徳」と「愛」と「超越性」で、唯一神をつくりだす。その結果、現代の「非対称性の思考」が人類の心に生まれる。現代の抱える最大の困難が、そこから発生している。 今の「スピリット」は弱ってる、消費し尽そうとしてる。現代は、人類の心にとってかつてないほどに貧しい時代。しかし、ずっと変わらぬ脳・心には潜在力がある。来るべき未来のスピリットを出現させる他に道はない』 (^_-)-☆ スピリット世界がつぶれて(対称性の自発的破れ)、多神教宇宙がつくられる。 この宇宙は三つの要素でできている。 高次対称性(スピリット)→ 非対称性(高神)+低次対称性(来訪神)+α(残余のスピリット) ・「高神」型 いと高き、天空。垂直軸。高所からの降下。観念の単純さ、表象性なし。純粋な光。「トーラス型」。グレートスピリット、虹の蛇。ウヨク・保守的傾向、父性。非対称性。→唯一神へ、絶対的に非対称な神が出現。世界の姿を変えてしまう力をもつにいたる、一種の革命。 ・「来訪神」型 海上他界、地下冥界。水平軸。遠方からの来訪。豊かな表象性。物質性。「メビウス縫合型」。普通のスピリットたちは来訪神と深いつながり。芸術家・サヨク・トリックスター。低次の対称性。救済者や革命家の原像。
投稿日:2022.05.24
mamo
カイエ・ソバージュも後半戦である。定常社会(中沢氏の言葉では対称性社会)、国家の誕生、資本主義の誕生と進んできた話は、一神教の誕生となる。 中沢氏の専門の宗教の話で、講義はいきなり宗教儀式でのトリ…ップの話から始まる。そこから、現世人類の脳の話に展開しつつ、宗教論へ。 さまざまなスピリットから、一段高いところにあるスピリットがでてきて、それが神に移行していく。その過程で、対称性の破れが生じて、トポロジカルな転換が生じ、メビウス縫合型とトーラス型の神が出現する。そうだ。 とまあ、物理学とか、トポロジーの喩えを使った説明が分かりやすいかどうかは別として、その主張は、なるほど感は高い。というか、わりと、まっとうな話だと感じた。 で、いよいよ高いところにいる神とその他大勢の神からなる多神教から、一神教がなぜ生じるか、という肝心のところとなると、その説明には、拍子抜けしてしまう。 つまり、トポロジカルな転換が生じるのでなく、多神教的なものを抑圧することによって、一神教が生じるとのこと。 なーんだ。と思う訳であるが、「人間は完全には一神教にはなりえない。なぜなら脳がそういうふうにはできてないから。(また、完全に無宗教にもなれない。脳がそうできてないから。)キリスト教も三位一体の考え方を入れて、多神教性を取り入れる事によって、発展した。そして、資本主義も三位一体とパラレルな構造である」という主張には、一定の納得感があった。 カイエ・ソバージュもあと、1冊。これまでの議論を踏まえて、どういう展開になるのか。楽しみである。続きを読む
投稿日:2017.05.02
RENO
「客観的な現実などというものはなく、お互いの会話を通じて共通の認識をつくることができる」という趣旨のことが書いてあり、まったくその通りだと思いました。
投稿日:2016.05.08
たにちゅー
Mon, 15 Sep 2008 神といっても唯一神に焦点があたる. スピリットとしての多神はどこの文化においても古来から見受けられる. これに対して,ユダヤが生み出した唯一神はどのような相転移を元に…生まれたのか?というところに焦点があたる. 中沢氏は読んでいると,純粋にレヴィ・ストロースの構造主義人類学の影響をうけていて,そこに深遠さ, かっこよさがあるんだけど,その後の現代思想的な議論の飛躍を内包している. 本書の議論の中にで「トポロジー」「対称性の破れ」などという,数学的・ 物理学的言語を使って多神教から一神教への流れを切っていくのだが,比喩以上のものがあるのかどうかは非常に怪しいように感じた. 純粋数学とフィールドの現象をマッチングさせるのは構造主義の特徴なので,よいのだが, ブルバギとの交流で四元数を近親相姦禁止のルールの考察というフィールドに持ち込んだレヴィ・ストロースに比べると, フィールドの現象と,上記数学的言語との間の対応が比喩の域を出ていない気がした. ともあれ,一神教が科学的思考,そして現在の非共生型社会の根本に据えられていそうという考えは多くの人が了解するところ. 多神教と一神教の相容れぬ相の違い.この差異を考えることは非常に重要だ. おもしろかった考察は,自然の中にスピリットが潜むという多神教から一神教へ移ったフェーズにおいて,神の位置が街・ 村落の外部にある<自然>から都市の中心に位置する国王の上へと移り<自然>が対象化されたという考え方だ. これは至極なっとくした. まあ,一神教の信者の方には,国王・司教と神様の関係については御異論あるかと思いますが,その辺りは本書にて・・・・. 神様は森の中におらず,国王の上にいるんだから,森の動物や木々,氾濫する川の水は最早,神様の意思ではなく, 統御すべき<対象>にすぎない.その過程で自然に対する畏敬の念は消えたのかもしれない.続きを読む
投稿日:2014.12.31
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