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加須屋誠 / 講談社現代新書 (12件のレビュー)
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総合評価:
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きゃん
『地獄めぐり』 2023年4月14日読了 地獄めぐりというタイトルどおり、本作は地獄の様子が事細かに記される。 釜茹でにされたり、鉄線の上を渡ったり。わたしたちも知っている地獄の情景がありありと浮か…び上がるようだ。そこまで詳細に描かれた作品の数々からは、まさしく「怖いもの見たさ」というのだろうか、人々の熱狂的ともいえる地獄への好奇心を感じてしまう。 本作においては地獄の詳しい紹介や情景描写はもちろんだが、わたしには後半部分が特におもしろかった。 加須屋氏は他の著作でも「まなざし」を軸に論じているが、本作では「自身へのまなざし」を扱っている。 目を覆いたくなるような苦痛を前に、なぜだが少し見てみたくなってしまう…地獄にはそんな悪魔的な魅力がある。そのような心の動きに対し、加須屋氏は「自分自身の心の内に地獄の本質があらかじめ組み込まれているからにほかならない」とする。 「地獄」を通し自身の中にひそむ暴力性や欲求を顧みること。そして、我々は常にさまざまな欲求を抱えつつ、しかし日々の安寧のためそれらを上手くコントロールしているのだということ。 戦争の勃発やテロともいうべき襲撃事件の発生など、まさしく末法の世の真っ只中に生きる我々にとって、自身の本性と対峙し上手に付き合うことは、とても大切なのではないだろうか。 心の中に暴力とエロスの欲動を秘めた私たちは、皆平等に生まれながらにして、地獄に堕ちる素質を与えられている。(本書226ページより) この言葉の意味を反芻し、日々努力して生きていきたい。続きを読む
投稿日:2023.04.18
smatoga
図がカラーで非常に贅沢な新書。「地獄とはどこか遠くにある縁もゆかりもない異界だからではなく、自分自身の心のうちに地獄の本質があらかじめ組み込まれているからにほかならない」というおわりにの指摘が本書の背…骨になっている。これを読むと日本人が地獄をどう捉え、恐れ、克服してきたのかが辿れる仕組みになっている。 読み終わってつくづく思うのは、地獄行きは免れないなぁということである。続きを読む
投稿日:2021.04.25
しゃち子
taknalで出会った本。かつての人たちが地獄に対して持っていたイメージの変遷や、地獄絵の読み解き方など、興味深かった。本書のタイトル通り、地獄を順番に回る「地獄めぐり」が中盤にあり、その絵もカラーで…紹介されているため、途中で体力が尽きてちょっと読書休憩したりして。 地獄絵は「悪い人たちが行くところ」という戒めのために描かれたのではなく、私たちの内なる暴力とエロスへの衝動を投影しているという解釈、なるほどと思った。続きを読む
投稿日:2021.03.04
73 号
生理きても地獄、子供産んでも地獄、産まなくても地獄って、誰でも産まれた途端地獄行き確定じゃねーかー!って泣きそうになったけど 人は産まれながらに罪を背負っているから 気楽に生きろよ、ってことなのかな?…! って解釈に勝手に辿り着きました あんな残酷なこと考えつく昔の人々面白いです。 ていうかあんな昔の人々が思い付いた残酷なことが、現代の私たちにとっても依然残酷であり続けているというのは当たり前のようで不思議ですね。続きを読む
投稿日:2020.10.14
Junmomoko本
この本、面白いなぁ。しかし、地獄は嫌や。痛いことばっかりやん。ここによく出てくる「往生要集」めちゃ、怖いやん。
投稿日:2020.09.12
Kenji Takahashi
本書は地獄絵図をもとに昔の人々がどのような気持ちで地獄をイメージし、またそのイメージを鑑賞してきたのか、を楽しく解説。筆者いわく、地獄とは、 このいわば「内なる異国」とは、暴力やエロスといった原初的…な欲動であり、それらは、同じく私たちの心のうちに宿るところの自尊心とか正義感とか道徳性とかといった、いわば自己規制によって抑圧されている。 ところだそうだ。そんなふうに考えてみると、地獄も一気に身近に感じる。 また天保年間の水野忠邦による緊縮財政時代には、天国から仏たちが地獄に攻めてきて、地獄を征服し、地獄運営の事業仕分けを行なって仏世界に資金を調達したお話もできたとか。その時々の時勢を反映した地獄世界。現代人が地獄を描いたらどんな感じになるだろうか?と考えてみるのも面白いかもしれない。 一方で、筆者は少し現代の読者や心理学者を意識し過ぎて、若干無理な解釈を並べていることもあるが、楽しく読める一冊であった。続きを読む
投稿日:2020.06.23
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