【感想】名著で学ぶ戦争論

石津朋之 / 日本経済新聞出版
(14件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
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ブクログレビュー

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  • ちょっかん

    ちょっかん

    数多く存在する戦争についての名著を広く紹介する本。一冊につき、2,3ページで概説するため、自分の興味のある本を広く知ることができる。日本語で読める戦争論の本はほぼ網羅されているのだと思う。

    戦略について知るには、やはりクラウゼヴィッツは必読書なのだと痛感した。欧米の戦略論は、ほぼ全てクラウゼヴィッツの影響を受けているとされているため、クラウゼヴィッツが戦略論におけるパラダイムシフトなのだと思う。「戦争とは人類が営む一つの大きな社会現象なのである」「戦争とは外交とは異なる手段を用いて政治的交渉を継続する行為にすぎない」「戦争は政治の一つの表現」等のフレーズは、とても印象深かった。

    本書を読んで、クラウゼヴィッツはもちろん、マイケル・ハワード、ピーター・パレット、リデルハート、マハンは是非読みたいと思った。
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    投稿日:2021.02.13

  • pulse02

    pulse02

    やはりルトワックの「戦略」が異彩を放っている。「戦争こそが平和を生みだす」という逆説的論理は、痛快な理屈です。何しろ、PKO活動のような第三者が国際貢献をすると、対立する双方が力を蓄える機会をつくることで、かえって戦争拡大をまねくと述べているのですから。
    もちろん、本書はそれだけではなく、合計50冊もの戦争論書の解説があります。
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    投稿日:2017.05.07

  • オフィス樋口Books

    オフィス樋口Books

    オフィス樋口Booksの記事と重複しています。記事のアドレスは次の通りです。
    http://books-officehiguchi.com/archives/4158301.html

    この本では、戦争・軍事戦略を勉強する初学者にとって参考になる本が50冊紹介されている。この本の著者である石津氏の書評は読者にとって参考になると思われる。

    2015年8月23日に書誌情報を追加しました。次のアドレスにアクセスしてください。
    http://books-officehiguchi.com/archives/4121751.html

    p3・p4より引用
    「本書は、一般読者が軍事戦略や国家戦略について、より身近なものとして考えるためのガイドである。古今東西の戦略思想に関する名著を紹介するとともに、執筆陣が専門とする時代や領域、すなわちナポレオン戦争以降、現代の戦争にいたるまでのヨーロッパの戦略思想史や戦争史を中心とする著作も取り上げている。
     『孫子』や『甲陽軍鑑』といった読者になじみの深い古典はもとより、近代ヨーロッパ以降の、ナポレオンの衝撃、ドイツ統一戦争、アメリカ南北戦争から第一次世界大戦まで、第二次世界大戦への道、核兵器と冷戦、といった時代を画する戦略思想を理解するために最低限必要とされる書を紹介した。
     軍事戦略や国家戦略の名著を学ぶ意義としては、次のような点が挙げられる。第一に、名著を名著として単純に楽しむという目的は言うまでもない。しかしながら第二に、今日の複雑な国際情勢を理解し、その中で生き残るためには、名著の中からいわゆる教訓を学ぶことがきわめて重要になってくる。というのは、結局のところ戦略とは、「生き残り」を目的とした術(アート)であり、こうした術(アート)を理解するためには、当時のベスト・アンド・ブライテストの思想や「生き様」が凝縮された古典的な名著こそ、最良の教師だからである。その意味において本書は、軍事や戦争に関心を寄せる読者はもとより、経済戦略や経営戦略といった分野で活躍されている方々にも読んでいただける内容となっている。」

    目次

    第Ⅰ部 古典に学ぶ軍事戦略
    1 多角的な戦争史叙述に挑んだ傑作―ヘロドトス『歴史』
    2 戦争を引き起こすのは「利益」「名誉」「恐怖」―トゥーキュディデース『戦史』
    3 曖昧さが支配する戦場―カエサル『ガリア戦記』
    4 地政学の父―マッキンダー『マッキンダーの地政学』
    5 世界最古・最高峰の兵法書―孫子『孫子』
    6 戦略研究の未開の地―陳寿『正史三国志』
    7 国家の興亡を人から描く―司馬遷『史記』
    8 政治的行為としての戦争―作者不詳『甲陽軍鑑』
    9 運命と力量に左右される政治権力を支えるのは軍事力―マキャヴェリ『君主論』
    10 ナポレオン戦争とその衝撃を活写―トルストイ『戦争と平和』

    第Ⅱ部 クラウゼヴィッツ『戦争論』に学ぶ
    11 真の戦略思想家―クラウゼヴィッツ『戦争論』
    12 付加価値高い「決定版」―クラウゼヴィッツ『戦争論』英訳版
    13 珠玉のクラウゼヴィッツ論―ハワード『クラウゼヴィッツ』
    14 小編ながら最高峰―ハワード『第一次世界大戦』
    15 平和とは秩序にほかならない―ハワード『平和の創造と戦争の再生』
    16 勝利するための原理を追究―ジョミニ『戦争概論』
    17 最高の評伝―パレット『クラウゼヴィッツ――『戦争論』の誕生』
    18 思想家の影響を重視した戦略研究の古典―パレット『現代戦略思想の系譜』
    19 戦略形成における文民の役割―ブロディ『戦争と政治』
    20 ドイツ第三帝国の『戦争論』―ルーデンドルフ『総力戦』

    第Ⅲ部 戦争の哲学に学ぶ
    21 豊富な経験に裏打ちされたゲリラ戦争のバイブル―毛沢東『遊撃戦論』
    22 社会科学としての軍事研究―マルクス=エンゲルス『マルクス=エンゲルス全集』
    23 哲学者の平和観と戦争観―カント『永遠平和のために』
    24 戦争と平和をめぐる哲学的分析―ギャリー『平和と戦争の哲学者』
    25 傑出した戦略思想の系譜―ガット『軍事思想の歴史』
    26 広い視野から文明と戦争の関係性をとらえる―ガット『人類文明の中の戦争』

    第Ⅳ部 システムとしての戦略論
    27 核兵器を前提とした戦略を問う―オスグッド『制限戦争』
    28 社会の変革はいかに戦争を変えたか―フラー『制限戦争指導論』
    29 「間接アプローチ戦略」の提唱者―リデル・ハート『戦略論』
    30 シー・パワーの重要性を訴えた不朽の書―マハン『海上権力史論』
    31 歴史から導き出された実用的戦略―マハン『海軍戦略』
    32 統合戦略の主唱者―コルベット『海洋戦略の諸原則』
    33 空軍戦略の創始者―ドゥーエ『制空』

    第Ⅴ部 国家と戦争の関係から学ぶ
    34 戦略思想の原典の集大成―フィリップス『戦略の源泉』
    35 コンパクトな戦争史記述―ハワード『ヨーロッパ史と戦争』
    36 戦争を理解するための最良の入門書―フリードマン『戦争』
    37 軍事史を学問として確立―デルブリュック『政治史的枠組みの中における戦争術の歴史』
    38 政治と戦争の関係を突き詰める―リッター『国家政策と戦争手段』
    39 ドイツの新しい軍事史研究の集大成―キューネ、ツィーマン『軍事史とは何か』
    40 リベラル主義の観点からのユニークな通史―キーガン『戦略の歴史』

    第Ⅵ部 現代の戦略論

    41 戦略のパラドックス―ルトワック『戦略』
    42 世界秩序回復の壮大な事例研究―キッシンジャー『回復された世界平和』
    43 クラウゼヴィッツに対するアンチテーゼ―クレフェルト『戦争のアート―戦争と軍事思想』
    44 最もラディカルな戦争観―クレフェルト『戦争の変遷』
    45 アメリカ外交の生き証人―ケナン『アメリカ外交50年』
    46 戦略の本質は不変―グレイ『現代戦略論』
    47 核戦略は戦略と呼べるのか?―フリードマン『核戦略の深化』
    48 戦争のパラダイムシフトを喝破―スミス『軍事力の有用性』
    49 プロセスとしての戦略―マーレー『戦略の形成』
    50 現代戦に勝利をもたらすもの―ビドル『軍事力』

    おわりに
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    投稿日:2015.04.26

  • asita-asatte-siasatte

    asita-asatte-siasatte

    名著と呼ばれるものを数ページづつでまとめようという野心的な本なのだが、やはりそんなことは難しいのだなと思った。
    戦争論史ではなく箇条書きのような羅列の仕方なので全体を鳥瞰したような書き方ではない所が残念。続きを読む

    投稿日:2014.12.01

  • 我がネコ(本棚)

    我がネコ(本棚)

    一番の印象としては
    「戦争について考えることは、平和について考えること」
    ということ。

    戦争についての優れたプロセスを組み立てるのが「戦略」であり、
    その戦略も「経済学や環境学」など多角的な視点で語らなければ
    ならないことが分かる。

    本書を読んで、戦略について考える事と、
    示唆に富んだ名著たちの魅力に気付かされた。

    とくに燦然とした存在感のクラウゼヴィッツと、
    西洋文書がひしめく中、異色の存在となる
    孔子、甲陽軍鑑、毛沢東は原書を読んでみたいと思った。
    続きを読む

    投稿日:2013.11.24

  • Naoto Taniguchi

    Naoto Taniguchi

    戦略というものを研究するにあたって有用な古今の名著をダイジェスト風に紹介したもの。とっかかりにはとても便利だと思われる。ただし、とっかかり、ダイジェストと馬鹿にしていると痛い目にあうかもしれない。こういうものをまじめに考察する素地がないと結構難しいよ。続きを読む

    投稿日:2012.08.20

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