【感想】持たざる経営の虚実 日本企業の存亡を分ける正しい外部化・内部化とは?

松岡真宏 / 日本経済新聞出版
(5件のレビュー)

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  • kocul

    kocul

    選択と集中という言葉が誤解され広まった結果、新しい事業を伸ばしていくことが否定された側面。実はジャックウェルチは事業整理と共に新規事業に積極投資した
    外部化は取引コストがかかり、増加傾向
    コングロマリットは歴史的に高収益
    隣接MAによる取引コスト引き下げ、プリンシパル化(cf商社の事業投資、民泊会社の宿運営)戦略も考えられるべき
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    投稿日:2021.08.27

  • kai0139

    kai0139

    選択と集中が誤訳だった!?という帯に惹かれて購入

    ウェルチの意図は、事業分野の多角化を否定することではなく、リストラを推進することでもなかった
    「GEの全ての事業は、将来的にその分野における業界ナンバーワンか、ナンバーツーになりうる事業だけにする必要がある」という考え方を示したに過ぎない

    日本ではもともと事業会社がベンチャーキャピタルの役割を担っており、新たな事業を生み出し育てることで、産業の厚みをつくり、経済全体を牽引してきたという経緯
    ・日本経済新聞社は、三井物産の一部門で発行される社内報
    ・全日本空輸は、戦前の朝日新聞航空部 報道用のヘリコプターの部署

    「選択と集中」によって1990年代後半以後、多くの日本企業は自社内の組織や事業を外部に売却(外部化)した

    一方で自社外に存在していた組織や事業を買収などにより自社内に取り込むことを「内部化」

    「内部化」の事例としては、中国の格安航空会社(LCC)大手の一社である春秋航空
    同社はもともと春秋旅行という旅行代理店

    だがその後、旅行代理店として成長した春秋旅行は、築き上げた豊富な顧客網を活用してチャーター便ビジネスを始め、その延長線上としてLCCの「春秋航空」を立ち上げた

    内部化に近年意欲的なのが商社だ
    コンビニに代表される流通業などへの投資はその一例だ三菱商事によるローソンへの出資、伊藤忠商事もファミリーマートに出資


    失われた20年の指摘として勉強になったが、今後ニュースを見る際に内部化/外部化へ着目しようと思う
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    投稿日:2020.03.29

  • だまし売りNo

    だまし売りNo

    松岡真宏 『持たざる経営の虚実 日本企業の存亡を分ける正しい外部化・内部化とは?』(日本経済新聞出版社、2019年)は「選択と集中」の通説的理解を批判し、社外の組織や資源を社内に取り込むという持たざる経営とは逆のベクトルを主張する。タイトルは『持たざる経営の虚実』であるが、「実」よりも「虚」に重点を置いている。
    本書は「選択と集中」が日本では「本業以外に手を広げてきた企業が本業に集中する」と理解されているが、これは誤訳とする。この結果、日本企業は積極的にリスクを取って、新しい事業に投資しなくなるというマイナスの効果が生じた。ところが、「選択と集中」の本来の意味は「将来的にその分野における業界ナンバーワンか、ナンバーツーになりうる事業だけにする」ことであったとする。
    私は「選択と集中」を「強みを活かせる分野を選択し、集中する」と理解している。その意味で「本業に集中」との理解を誤訳とする本書の主張に賛成である。強みは市場の中で判断するもので、市場構造が変化している際に本業への集中は正しい選択にならない場合がある。むしろ、何をしても売れた高度経済成長期の「成功体験」への固執である。
    本書は社外の組織や資源を社内に取り込むという内部化を主張する。その理由として取引コストの増加がある。これは社外の企業やフリーランスに成果物や商品を発注する際にかかる手数料や手間などを指す。社外の取引さに発注する金銭や事務作業、心理面の負担を考えると、継続的に必要な取引や機能を内部化した方がコストメリットは大きくなるとする。
    私は取引コストを考えて内部化・外部化を考えるべきとの本書の主張に同意する。一方で本書が取引コストの大きさを強調する点は疑問がある。21世紀は20世紀と比べると取引コストが著しく低下した。Amazon Businessなどのインターネットのサービスを利用することで外部への発注が容易にできることになった。クラウドソーシングも生まれている。
    昭和時代は考えられなかった新興国企業へのオフショア発注も普通に行われるようになった。これからは外国人材の活用も活発化するだろう。むしろ、顔の見える関係の方が依頼したことをキチンとやらないなどのいい加減さが生じがちである。
    故に20世紀と比べて21世紀に外部化が推進されることは、むしろ取引コストの観点から正当化される。私は昭和の日本的経営から脱却する意味で「選択と集中」や「持たざる経営」を掲げることは正しいと考える。本書の結論は、「90年代以降の改革が間違っていた」と主張したい昭和の日本的経営の懐古趣味者が飛びつきそうであるが、それが良いことかは疑問である。
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    投稿日:2020.01.10

  • tomtomusc

    tomtomusc

    M&Aでは、自らの経営により関わりのある取引先を取り込むことでコストを削減し、知見を増大するのがいいのではないかというアイディア。コンプライアンス、ガバナンス、保合いの解消に伴い、取引コストは増大する傾向にある、それを下げる方策を考える必要がある。海外に進出するにはそれなりの業容が必要であるが、一地域でコングロマリット化してより多くの需要を取り込むのもリスクリターンの観点では一考に値する。持たざる経営が、知見を捨て、よりボラタイルなシングルビジネスにフォーカスするリスクは高い。続きを読む

    投稿日:2019.07.15

  • Mikiharu Kobayashi

    Mikiharu Kobayashi

    最後の章の主張が ん?という感じで読後感が悪い
    M&Aをして内部化を進めたほうがよさそうだ!
    とは思えず、、。

    というのも、他企業との取引コストを減らすことが
    大きな目的として書かれていたが
    M&A以外の方法に言及がなかったから
    と思われる。

    ただ、ところどころファクトは豊富で勉強にはなった。
    部分的には読み返すかも。
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    投稿日:2019.03.22

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