【感想】今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。 貧困の連鎖を断ち切る「教育とお金」の話

本山勝寛 / ポプラ新書
(8件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
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ブクログレビュー

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  • 1wan1wan

    1wan1wan

    経済的困難にあったとしても「教育の力によって貧困の連鎖から脱せられる」ように
    そう願う著者の思いを強く感じられる本。

    教育費の支援としての各種奨学金や大学授業量免除制度、高等教育機関の学費や学校間の影響、海外の奨学金や学費事情などを紹介していく。
    奨学金問題というには日本学生支援機構に、日本の高等教育というには都内の高校と東大に偏ってはいるが、奨学金問題を越えた広い問題意識が著者にあることがわかる。

    それもそのはずで、著者は凄まじい経済的困難な家庭環境に育ちながら、複数の奨学金を利用して東大、ハーバードとトップの高等教育を受けた経歴を歩んできたのである。
    いや、それもそのはず、ではない。このような苦しい過去とその後の輝かしい成功の後で、依然として苦しい人達の立場に思いを馳せて問題意識を忘れず行動をするのは容易ではない。

    そうかといって、本書では著者が自身の経験に影響を受けて感情的になったり経験に依存した知識の偏りが目立つということはなく、筆致は冷静でデータを多く引用しながら論理的に話を進めている。話の説得力は強い。

    第4章「教育格差をなくすための9つの提言」はどれも硬軟織り交ぜた内容で、興味深く示唆に富む。

    心も動いたし、大変勉強にもなりました。
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    投稿日:2022.11.27

  • 1604921番目の読書家

    1604921番目の読書家

    800+税


    貧困層に向けた本。中間層だと学びにはなるが役には立たない内容。最後の内容は他国と日本との比較などこうなればいいなという話。

    投稿日:2022.05.23

  • taka-no

    taka-no

    著者の経験のみならず、データでの裏付けがあるので説得力があった。
    奨学金に関して、ずっと"借金"と思っていた部分もあったが、ただ"借金"という言葉だけが一人歩きしていて、もっと本質を見る必要があった。
    ただの奨学金肯定だけでなく、教育関係という分野において考えるような内容。
    学生だけではなく、親や教育関係者も是非読んで欲しい一冊。
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    投稿日:2018.07.21

  • mishuranman

    mishuranman

    このレビューはネタバレを含みます

    とても説得力がある。私が見たことのある、経験したことのあることと矛盾しない。留学してしまえ、は正しい。

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    投稿日:2018.03.31

  • motoko

    motoko

    「ブラック奨学金」「奨学金地獄」など、最近とにかく悪者にされる奨学金。
    そんなセンセーショナルなフレーズに怯えて、進学を諦める、もしくは諦めさせられる子どもたちもきっと多いだろう。
    高校時代から奨学金を受け、大学では学費免除も受けながらアルバイトにも励んで東京大学を卒業した著者にとって、奨学金は「16歳の頃にもらった『希望の光』」だった。この本を著した今もまだ奨学金返済中だという。
    奨学金を返せずに苦しむ人が増えているというが、「大学全入時代」とも言われる現代、そもそも奨学金を借りる人が激増していて、借りている人を分母にすると、返せない人のパーセンテージはむしろ減っているという事実を、著者ははじめに淡々と述べている。そして、日本学生支援機構を代表とする貸与型の奨学金を悪者にして叩く風潮に対して、著者は疑問を投げかけている。
    この本の好ましいところは、現状に対してさまざまな提言がなされている点である。その全てがとても有意なものと感じられたが、私が特にいいなと思ったのが
    ・奨学金返済を所得控除に計算できる「奨学金減税」
    ・働きながら学べるオンライン・夜間主コースの拡充
    ・クラウドファンディングで個人が個人を支援する「21世紀型『あしながおじさん』」
    という3点だ。
    詳しくは是非本書を手に取って読んでいただきたい。

    何かを悪者にして現状を嘆くだけでは何も解決しない。いやらしい表現だが、子どもはこの国の大事な貴重な資源である。もちろん大学が全てではなく、あらゆる教育の機会をすべからく子どもたちが享受できるように、さまざまな建設的な取り組みがなされることを願いたい。

    子を持つ人、教育者、為政者などあらゆる人に読んでほしい良書。
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    投稿日:2018.03.22

  • tagutti

    tagutti

    このレビューはネタバレを含みます

    <目次>
    プロローグ  親の年収ゼロだけど奨学金で東大・ハーバードに行けた
    第1章  検証「奨学金地獄」~なぜ奨学金は社会問題となったのか
    第2章  貧乏でも東大に行けるのか?~日本の「教育とお金」
    第3章  海外の教育事情と奨学金制度
    第4章  教育格差をなくすための9つの提言

    <内容>
    現在大きな問題となっている「奨学金問題」。多くの人々(自分も含めて)が、以下の奨学金制度には問題ありと思っているが、大変不遇な環境で育ちながら、東大・ハーバードへと進めた著者が、それに対して「おかしいのではないか?」と指摘し、根底にある教育格差をなくすための9つの提言をした書。
    著者の努力はよくわかるが、やはり問題はあると感じる。著者まで不遇ならまた違うのかもしれないが、そこそこの収入があるにもかかわらず、奨学金を申請し、大学卒業後に多くの返済に苦しむもの。自助努力が足りないのかもしれないが、そうとも言えない気がする。データを駆使して説得力を増そうとしているが、目の前の生徒たちを見ると、データでは計り知れない何かを感じる。ここ数年は就職戦線が売り手市場なので、ちょっと風向きが変わるかもしれないが、近い将来、さらなる「奨学金地獄」が待ち受けているのではないか?政府や経済界の動きが鈍ければ、この問題はさらに深刻化しそうな気がする。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2018.03.18

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