ベルリンは晴れているか

深緑野分 / 筑摩書房
(110件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
30
41
20
3
2

ブクログレビュー

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  • dee_dee

    dee_dee

    このレビューはネタバレを含みます

    敗戦後のベルリン。
    身寄りのないドイツ人少女のアウグステはアメリカ軍の食堂で働いていた。
    ある日ソ連軍がやってきて、彼女の恩人が毒殺されたことを知らされる。被害者の甥が疑われ、彼女はユダヤ人の青年カフカと共に、その甥の捜索に関わることとなる。

    結局、その恩人が実は幼児を毒殺するサイコパスだったことが判明。
    彼の目の前で罪状を暴き、毒を渡したのはアウグステ。
    ユダヤ人と自称していたカフカは、実はユダヤ人に風貌の似ただけのドイツ人。そのことを利用してきたということに罪悪感を覚えながらも何としてでも生き抜こうとしている。
    戦時中と、戦後の占領期のベルリンの混乱が、冷静な視線で描かれている作品。

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    投稿日:2019.07.14

  • abx155

    abx155

    第二次大戦前後のドイツ。ある男の死の謎を解くミステリーであり冒険活劇のようでもある作品。
    この作品の凄いところは、それが一人の少女の視点で描かれていること。
    ナチスドイツが陥落していき、ついにベルリンへ赤軍と連合軍を押し寄せてくる恐怖は相当なものだったろう。それを疑似体験させてくれたことに感謝。
    同時期の日本の話はたくさんあるけどそれらを思い出した。敗戦国はどこの国でも同じようなことが起きているのだとわかった。
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    投稿日:2019.07.13

  • ykuro

    ykuro

    第二次世界大戦 敗戦後のベルリンを舞台にしたサスペンス物語。
    敗戦後の混乱は日本もドイツも同じように悲惨。
    ストリーより敗戦後のドイツの状況に興味を持った。
    印象に残った文章
    ⒈ 変だね。でもギゼラにとっては僕らの方が変なんだよ。
    ⒉ 愛してるわ、アウグステ。私たちの大事な娘。母さんを許してね。
    あなたの人生が幸せであることを祈ってるわ。
    ⒊ ドブリギン大尉は私の前を素通りし、起立したまま震えている
    ベスパールイ下級軍曹の襟首を掴むと、腹部を思い切り膝蹴りした。
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    投稿日:2019.07.12

  • 浮気なスー

    浮気なスー

    このレビューはネタバレを含みます

    友人から借りたのですが、この作者の作品を読むのが初めて&一切内容を知らずに読み始める、という、大変に新鮮な状況で読むことができました。唯一の情報、というか知識は、この本を貸してくれた友人と自分とは、読書のウマが合う、ということだけ。そんな繋がりで未知の本を読み始める、というのは、中々良いことですよね。

    で、読み終えた感想ですが、いやはや、この本を貸してくれた友人に、大感謝、ですね。ここ最近読んだ本の中では、断トツで、ガツン!ときました。こう、衝撃を与えてくれる一冊、という意味では、相当なインパクトです。

    リアルタイムの物語の舞台は、第二次世界大戦敗戦直後のドイツ。ナチスの独裁が終わり、ソ連・アメリカ・イギリス・フランスの4か国が、分割統治?している状況。その状況下で、主人公の17歳の少女、アウグステの目線で語られる、現実。戦争は終わった。祖国の酷い政党の独裁も終わった。それならば、平和が訪れるはずなのに。敗戦国が、まさに目の当たりにする、現実。厳しい。くう。「正義の使者が悪いヤツらをやっつけて、僕たちを救ってくれました。幸せにしてくれました」という夢物語は、現実では、どこにもない。

    リアルタイムの物語の間に挟み込まれるのは、まさに第二次世界大戦の始まりと、その真っ只中。主人公、アウグステの幼少時代。ナチスが、政権を執り、どのように国を変えていったのか。ユダヤ人が、どのように迫害を受けたのか。どのようにドイツが、取り返しのつかない状況になっていったのか。淡々と、淡々と、とてつもなく恐ろしい歴史の流れを、まさに一般民間人の目線で、描いている気が、しました。

    この物語、いわゆる英雄的人物、スーパーヒーロー的人物が、ほぼ全く登場しないんですよね。あの当時の、まさに歴史の流れに翻弄されながらも生きていた、いわゆる普通の人、一般庶民、徹頭徹尾、普通の人々。そんな人物ばかりが登場する気がします。そこが、圧倒的にリアルだな、と感じました。これは、小説ではありますが、「本当にあった出来事かもしれない」という感じを、ビシバシに感じましたね。

    そこまで感じさせる作者の深緑野分(ふかみどり・のわき)さんの力量の凄さよ、って感じ、ですかね。深緑さんは、当時をリアルタイムで経験した人ではないのに、ドイツ人ではなくて日本人の作家なのに、何故にここまで、当時のリアルでマジなドイツの感じ、雰囲気、を再現できているのか?或いは「再現できている、と僕に感じさせてくれた」のか?いやあ、凄いですね。マジで尊敬します。

    この物語、最後の最後の最終盤の、まさに物語終わる直前まで、架空歴史小説だと思ってました。こうした出来事がホンマにあった(のかもしれない)。それを、あなたはどう思う?と語りかけてくる小説、なんだと。でも、違った。これは、まさかの、ミステリー小説だった!という事を知った驚きも相当でした。ビックリどんでん返し系のミステリー小説。主人公が、まさかの信頼できない語り手だった、系の?ミステリー小説、という括りで良いのかな?

    そして、作者の深緑さんには申し訳ないのですが、あのミステリー小説的部分は、個人的には、いらなかった。ホンマに申し訳ないのですが。ちょっと無理がある、気がするし、クリストフ・ローレンツが、何故にヒ素を使っての幼児連続殺人を行うほどの異常者だったのか?というのが、どうも今ひとつ腑に落ちないですし。ホンマに申し訳ないのですが、いらんかった。というのは言い過ぎですが、自分の中では、この作品は、超一級の歴史小説、という認識なのです。あの当時の、本当にこう、圧倒的な時代の恐怖感、というのを、ビシバシに感じさせてくれた。それだけで、もう、凄い感服、なのですよね。

    で、作者の深緑さん。かなり、ロックンロール音楽が、好きなのではないかなあ?とか、勝手に想像・妄想しました。この物語を読んでいる間、ずっとシンパシーを感じていたのは、「青空」に代表されるブルーハーツの曲のイメージでしたし、「ディズニーランドへ」に代表されるブランキージェットシティーの曲でしたし。「あ、深緑さんのこの作風、あの小説家に似ているなあ」ではなくて、ミュージシャンの歌を連想しながら読んでいた。そんな読書体験でしたね。今後、色々とネットで調べてみよう。なにしろ、ブルーハーツ感とブランキー感は、めちゃんこビシバシ感じたんですよね。自分の錯覚なだけかなあ?

    主人公のアウグステも好きですが、一番好きなキャラは、結構人気高いんだろうなあ、と思いつつ、「ファイビッシュ・カフカ(ジギスムント・グラス)」ですね。なんというか、この二人は、圧倒的に、自分の弱さと、狡さと、恥ずかしさ、という概念を、知っている。認めている。受け入れている。それでいて、なお、弱く、狡く、自らを恥じつつ、それでも、こう、なんとかできるだけ、必死に正しくあろうとしている、気がするんです。弱く狡い人間が、本当に最後の最後の最後の部分で、ギリギリ美しくあろうとする。そんな姿に、本当にこう、心惹かれてしまうんですよね。

    そしてそれは、その姿は、自分という存在に対する鏡、鑑でもある。俺は、本当に本当に本当の最後のところで、彼らのように、美しくあることができるのか?どうなのか?自信はない。俺は本当に真実に、狡く弱いだけの人間かも、しれない。でも、できればどうか、俺よ。ギリギリのところで、美しくあることが、できますように、、、そんな祈りを、自分という存在そのものに、に向けるのです。そう思うことを思い出させてくれただけでも、やっぱこの物語は、得がたい物語でしたね。

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    投稿日:2019.07.10

  • taiko

    taiko

    終戦直後、連合国4カ国の統治下にあったベルリンで、アメリカ軍の兵員食堂で働くドイツ人の娘アウグステ。
    彼女の元に、軍憲兵隊がソ連の警察へ連れていくと迎えに来た。

    メインの章で戦後を、幕間の章で戦中を語る構成。
    この時系列に悩まされ、始めは戸惑いましたが、最後まで読み終わり、最初に戻ると話がスムーズに入ってきたため、丁寧にもう一度読み返しました。

    戦後の謎解き部分はロードムービーのよう。
    巻頭に地図があったので、それを捲りながら読みましたが、苦戦。
    一方、幕間のアウグステの幼少期から戦中の様子は、教科書の歴史の範囲でしか知らなかったヨーロッパの戦争の事実を知る機会となり、興味深かったです。

    同じ敗戦国として、終戦間際と戦後のドイツは、日本と似ているようにも感じましたが、4カ国に統治されていたという状態は、島国と大陸の大きな違いなのかもしれません。

    同じ住宅に障害者がいて、親しくしていた隣人がユダヤ人で、それらの人々が迫害されるという事実ほは、アウグステの心に大きな傷として残ります。
    ドイツの独裁政治の悲劇は、悲しいことですが、とても興味のあるところではありました。

    ずっと昔に読んだアンネの日記を、また機会があったら手にしてみたいと思います。
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    投稿日:2019.07.08

  • yinacchi

    yinacchi

    アウグステという一人の少女を通して描かれた第二次世界大戦中のドイツ。時代に翻弄されるベルリン市民の悲しみと怒りの深さは計り知れない。ナチス・ドイツがなぜここまで残忍なことができたのか、時代が違うとはいえ、今後起こらないとも限らない。カチンの森でポーランド軍の将校が大虐殺されたことにも触れられており、本屋大賞を逃したものの山崎豊子先生のように膨大な資料を調べ、徹底的に追及していく手を緩めない著者が、もっと大きな賞を取ることは容易に想像がつく。今後も期待したい。続きを読む

    投稿日:2019.07.03

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