【感想】21世紀のアニメーションがわかる本

土居伸彰 / フィルムアート社
(3件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
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ブクログレビュー

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  • つほん

    つほん

    このレビューはネタバレを含みます

    手描きアニメがCGに変わっていくことで、作品の一部が野生化していくという考え方と、そこに生まれた空洞(空虚ではない)に観客の経験などを滑り込ませて共感を得ていくという展開が面白かったです。

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    投稿日:2020.10.22

  • nt

    nt

     図書館で借りた本。
     21世紀のアニメーションなんて私は全然知らないので、本書がメルクマールとして強調する2016年の3本の映画、「君の名は。」「この世界の片隅に」「聲の形」のうち、見たことあるのは「この世界の〜」だけだし、私の愛好した20世紀のヤン・シュヴァンクマイエルなんて一度、ちらっとだけ言及されただけだった。今の中高生から大学生がどんなアニメを見ているかも全然知らない。
     本書の著者が大きな時代の変化として捉えている事象、「私」の個性が失効し、同質な「私たち」が不可分な「世界」とくっついて一体化している、という点、それはそんなに新しいのだろうかと疑問を持った私はやはり古いのだろうか。
     この世界観に出てくる他者は、既に他者ではなくなってしまっている。差異が喪失され「私たち」となってしまう。この一体となった集団は、SNSで意見を共にする連中がよくそうなるように、大きな波動となってゆらめく。さらに「世界」全体が自己の側と同一化するに至っては、この志向性は、新生児の世界未分化の感覚であり、この退行はおそろしく無意味で退屈な、灰色の砂漠となる。無力であると同時に全能なこの同一性は、インターネット依存のなれの果てでもあろう。
     こうした事態は新しいのだろうか? いや、私たちはそのような自己-補完の、無意味化に至る世界との融合のありさまを、かなり前から、村上春樹的な世界像として知っているのではないだろうか。
     このような、世界と融合してしまって粘液となった「自己」のありようを、私は気持ち悪いとしか思っていなかったのだが、この気持ち悪い同一化の現象が、ずるずると21世紀にはびこっているのだろうか。
     とりあえず、ここに書かれたアニメーション論を参考に、有名ないくつかの映画を見ておきたいと思う。
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    投稿日:2018.06.17

  • masahiro884

    masahiro884

    『君の名は。』『この世界の片隅に』『聲の形』を皮切りに様々な作品を通して現代アニメを考察した一冊。「私」から「私たち」への変化、ディズニー・プリンセスとセカイ系、近年のディズニー作品と『君の名は。』の共通点など抽象的な話も多くて難しいけれど興味深いものばかり。逆に有名作品が次々紹介されるアニメ史のような内容を期待すると違うかも。続きを読む

    投稿日:2018.01.03

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