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山本聡美 / ちくま新書 (10件のレビュー)
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marinnotousan
美術、説話を通じて恐れと向かい合う人間の弱さと強さを感じた。 引用されている絵画の多くが白黒で小さく、作者の意図する詳細部分がわかりにくいかったのが残念。 新書版の弱点ではあるが。
投稿日:2023.08.27
tomosankamo
古代中世の美術作品から当時の“闇”の背景を見つめる。 悲しい・辛い・苦しい出来事を見つめ飲み込むために生み出された考え方が積もり積もって、仏教世界は編まれたのだなとしみじみ。祈りの前には闇があった。 …日曜美術館で書籍を知り、「病」と「鬼」の章が読みたくて購入したけど、すべての章がおもしろかった。 エピローグが特に好き。平家納経に込められた祈りの、情の部分が自分の中でクリアになった気がする。続きを読む
投稿日:2020.05.21
鴨
地獄草子や餓鬼草子や、粉川寺縁起絵巻、九相図などを通して、老いや病、死や断罪を日本美術がいかに描いてきたかを論じる一冊。詞書等は原文を(活字で)提示した後、現代語訳をつけ、簡潔でわかりやすい文章だった…。 惜しむらくは新書版という制約上、掲載されている絵画資料が小さいこと。別途図版等と照らし合わせながら読むと一層楽しいのだろうと思った。続きを読む
投稿日:2019.03.09
ちびっこ
もともと日本美術の専門知識はないけれど美術館で絵を見るのが好きで、書名にある「闇」という不穏な言葉が気になって手に取った本。 図書館で借りて読み始めてみたけど、これは手元に置いておきたいと思って購入。… 絵巻や掛幅画を題材に古代・中世の日本の絵画から当時の人々が考えた、死生観、仏教思想などが紐解かれて面白かった。 以前、六道輪廻や十王信仰の絵画を見た際に、絵の解説内容が興味深かったこともあり、本書も面白く読めた。 《平家納経》の製作・奉納の目的は一門の繁栄祈願であるが、その背景に清盛自身の来し方への滅罪の意識があったのではないだろうか、という考察に非常に納得した。 日本美術の背景にある当時の人々の思想に興味のある人に入門書としてお勧めしたい一冊。続きを読む
投稿日:2019.01.14
mickeymeguj
プロローグ (東大寺二月堂本尊光背) 第1章 地獄 (地獄草紙、六道絵、矢田地蔵縁起絵巻) 第2章 鬼と怪異 (餓鬼草紙、長谷雄草紙、北野天神縁起絵巻、土蜘蛛草紙、天狗草紙、融通念仏縁起草紙) 第3章… 病 (病草紙、粉河寺縁起絵巻) 第4章 死 (後三年合戦絵巻/平治物語絵巻、九相図、九相詩絵巻) 第5章 断罪 (閻魔王、十王図) 第6章 悲しき女 (病草紙、伴大納言絵巻、道成寺縁起、華厳宗祖師絵伝、小野小町像) エピローグ (平家納経) あとがき続きを読む
投稿日:2018.12.31
k-masahiro9
このレビューはネタバレを含みます
嘘の言葉は恐ろしい。社会の秩序を容易に転覆する力に満ちている。嘘か真実かの判断は、究極のところ陣地を超えており、中世の日本人は、その判断を神仏にゆだねることで「天道が知っている」という社会的モラルを形成した。なかんずく、讒言によって無念の死を余儀なくされた道真に、後世の人々が真理の守護神としての役割を期待し、深く信仰したのである。それは、天災から身を守るだけではなく、日常生活の傍らに潜む、言葉という人災に対する防衛策でもあった。(p.64)
投稿日:2018.12.10
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