【感想】誰も調べなかった日本文化史 ──土下座・先生・牛・全裸

パオロ・マッツァリーノ / ちくま文庫
(12件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
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ブクログレビュー

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  • ゆうだい

    ゆうだい

    著者の最初の著作『反社会学講座』が話題となった際(2004年刊行か…)、既存のレッテル貼りされた情報を疑うことと、自分で考える/調べることの重要性が深く心に残りました。あれから17年…。

    本著では目の付け所が面白い様々な題材を、文化史的な観点でまとめています。
    順番に全部並べてみると・・・土下座、先生、全裸、ノーネクタイ、"笑顔が絶えない"、姓名判断、牛を使った物流、牛乳の殺菌方法、戦前の新聞広告、亡国論、"所説あります"と。
    読んでみると、考えずにそうだろうと思い込んでいたコト、例えば「土下座には長い歴史があって、江戸時代の大名行列に庶民は(今で言うやり方の)土下座をしていた」なんてのが間違いだったとわかり、知識を得ることの面白さを感じます。
    もちろん、著者の軽妙な語り口は健在で、非常に読みやすいです。昔のおかしな(現代から見て)ファクトに対して、ムチャクチャ丁寧にツッコミを入れていて、これ自体も笑えます。

    それぞれのテーマについての記述のほか、世の中の事象を「通りすがり」にバサッと切り捨てていくのも痛快です。
    出掛ける子どもに「交通ルールを守りなさい」と言うコトに意味があるのか?とか、内田樹さん(実名!)の「先生はエラいものなのだ(後略)」という発言を「証拠もないヘリクツ」「推理だけで理論を構築したがる手抜き名探偵」とこき下ろすのは、読んでいるコチラがヒヤヒヤするような。。

    1点、牛乳の消費量について、日本で最も牛乳を買わない都道府県が北海道と沖縄県とあり、これで牛乳を飲まない道/県だとしているのですが、北海道の人って牛乳貰ってるから買わない(けど飲んでる)とか無いのかなぁ…と思いました。
    ただ、(シロウトがごく軽くですが)調べてもデータが出てこないですね。
    ・札幌市の牛乳消費量自体は県庁所在地/政令指定都市の中では中位くらい
    https://www.japan-rank.com/article/192879892.html
    ・北海道の消費量が少ないコトは、専門家の中でも謎らしい
    https://www.news-postseven.com/archives/20130722_201166.html?DETAIL
    学者さんというのはこういうテーマに日々向き合っているんだと思うので、凄いなぁと。。

    今はググると著者(パオロ・マッツァリーノ氏)の正体?という情報も出てくる時代ですが、まぁ調べるだけ無粋なような気もします。
    続きを読む

    投稿日:2021.08.15

  • 秋月

    秋月

     当たり前すぎて、見逃されている・・・もしくは、面倒くさがられる庶民史を過去の新聞等から丁寧に拾い上げて、昔から当たり前だと思われていたことが、実はそんなに当たり前ではなく、そんなに歴史がない事に気付かせてくれる本。 土下座は畏敬の礼法で使われていたものが、現在では単なる謝罪や懇願のみで使われている事や「先生」という言葉に対する日本人の「侮蔑」と「尊敬」が入り混じった感情を紐解いて成る程と感じた。続きを読む

    投稿日:2019.07.16

  • kofsan

    kofsan

    タイトルにあるような雑多な事象について、それが近頃の現象なのか、明治大正期はどうだったのか、過去の新聞などから読み解く。

    投稿日:2019.05.21

  • TaroYamada

    TaroYamada

    このレビューはネタバレを含みます

    土下座のところで、突然マレーシア、ルングス村の人の話が出てくるのは笑った。豚か山羊を相手と祈祷師に送るんだってさ。日本は誠意=謝罪+誠意、というわけのわからない公式があるとの主張をするための前段が突拍子なくて面白い。
    他にはビックリマークを濫用する広告の下りも面白かったなぁ。
    全体を通して楽しく読めました。

    あと、亡国論の箇所にはいい言葉があったので以下書き置き。

    もっと身近なもの、自分の身の回りの人や家族やご近所など、滅びやすいものが滅びないよう、努力をかたむけるべきです。それは自分にしか守れないんですから。
    近所のガキが悪さしたら叱りなさい。電車や公共の場での迷惑行為に講義しなさい。リードをつけずに犬の散歩をしているルール違反の飼い主を注意しなさい。自分の所属している職場や学校で起こっている具体的でちっぽけな問題に向き合い、ちょっとでも良い方向へ向かうよう、努力してみてください。
    どうでもいい歴史や思想を語って国を憂うヒマがあったら、自分の身の回りに目を向けるべきです。小さな問題を解決しようと体を張らない人間に、国が滅びるなどと大口叩く資格はありません。デカイ思想を語るだけの思想ヒーローは、実際には世の中を一ミリも動かしてないのです。
    大切なのは、みなさんひとりとりが、身の回りの問題に取り組むローカルヒーローになることです。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2018.03.03

  • mickeymeguj

    mickeymeguj

    記述は稚拙。視点は秀逸。;「つゆだくの誠意と土下座カジュアル」「先生と呼ばないで」「全裸のゆくえ」「部屋と開襟シャツとわたし」「絶えないものは、なんですか」「名前をつけてやる」「東京の牛」「疑惑のニオイ」「戦前の一面広告」「たとえ何度この世界が滅びようと、僕はきみを離しはしない」「諸説あります。続きを読む

    投稿日:2017.08.13

  • ぶたぴぃ

    ぶたぴぃ

    朝日と読売しかソースがないのが、毎日出身の私にはがっかりだが、よく調べている。朝日の題字1面が全広というケースがあったとは、驚きだ。

    投稿日:2015.12.25

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