【感想】ストラクチャーから書く小説再入門

K.M.ワイランド, シカ・マッケンジー / フィルムアート社
(4件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
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3
1
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ブクログレビュー

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  • みかん

    みかん

    このレビューはネタバレを含みます

    掴み 疑問を感じさせる
    答えを出すタイミングを早くしすぎない
    本の最初の20%から25%で人物や舞台設定、危機を紹介
    好きな登場人物をありったけ書く
    登場人物の身近な環境を描く。早ければ早いほどベター。
    プロットポイント全体の25%経過したあたり
    人物の成長や変化は徐々に読者に伝わるように描写
    小説で読者から得たいのは感動
    クライマックスは終盤の章とシーンを短く
    クライマックスは終盤、全体の90%地点あたりで
    解決はできるだけ短く
    エンディング しばらく寝かせる
    文は反射的な反応が先

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    投稿日:2024.03.10

  • どっぴ

    どっぴ

    ストーリー作りの要点について、名作の分析とともに解説する本。翻訳本にしては珍しくテンポの良い短めの文体でまとまっているのは、小説だけでなく映像脚本などのバックグラウンドがある著者と翻訳者のおかげだろうか。
    タイトルの通り、ストーリーの全体の流れの中における、人物紹介やイベント、山場の配置とパターンについての解説。全体の25%50%75%のそれぞれを目安に、キーイベントや災難、解決などの動きを作っていくらしい。シーンとシークエルの考え方は、事例記事作成にも参考になるかも。
    純文学などもこの構成が当てはまるのかは、いくつか分析してみても面白いかもしれない。
    人が興味を持ちやすく理解しやすいストーリーの語り方には、ジャンルを問わず時間的・構成的な共通点があるとすると面白い。
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    投稿日:2021.03.13

  • manybook

    manybook

    <第一幕>

    ・掴み(フック)

    ①疑問を感じさせる
    ②人物を登場させている
    ③舞台設定を伝えている
    ④何かを明確に言い切っている
    ⑤作品全体のトーンを感じさせる

    ・物語をどこから始めるか?

    第二次世界大戦が始まった。ではダメで、ヒトラー。侵攻。ポーランド

    人物が出てくると私たちは関心を向ける対象を得る

    オープニングとエンディングは2つで1つ。問いで始まり、答えで終わる。
    冒頭で出した問いに答えなければ、失敗

    フラッシュフォワード(未来への時間転移)
    作品の後の方で、緊張感が高まるシーンを見つけ、そのシーンをオープニングで少し見せ、どう決着するのかを見せずに好奇心を煽っておく

    バックストーリーは、物語に影響する部分だけを書く。プロットと無関係なら語る必要はない

    人物の登場と同時に、その人物の「大切なもの」も紹介する。その人物が必死に守りたいもの。後にこれをめぐって戦うことになるから、「大切なもの」を脅かす存在も紹介する、あるいは少なくとも存在を匂わせる

    プロットポイント1(25%地点)
    状況が一変すること。この先、人物は後戻りができない。状況説明が終わると人物は行動に駆り立てられる
    ・インサイティング・イベントとキー・イベント
    インサイティング・イベント=ストーリーが描く問題をスタートさせる事件、または決定事項。出発点。ここを起点に連鎖反応が始まる
    キー・イベント=人物を事件に巻き込む出来事

    <第2幕>
    ピンチポイント1
    ミッドポイントが来る前に今一度、読者に敵の力を思い出させ、主人公に作戦変更を迫る流れを作る(敵が主人公の弱点を突く、主人公が負けそうになって嘲笑や叱責を受ける)

    ミッドポイント(50%地点)
    人物は状況に反応するだけの状態から脱却。この先、サバイバルするためには、守りから攻めに転じることが必要

    前半50%で人物像とジレンマ、内面の弱さを描き、後半50%で決着へ導く

    ミッドポイントには新鮮でドラマチックな出来事を選ぶ。論理的な流れに沿いつつ、全く新たな展開を引き起こさなくてはならない cf.三谷幸喜 落ち武者に裁判で証言してください

    ピンチポイント2
    最終決戦の前に、敵がいかに強いかを見せて危機感を盛り上げる
    主人公の「気づき」の時。ミッドポイント後は敵のことも自分のこともはっきり見えてくる

    サブプロット
    テーマに関連した観点から見た主人公の小さな側面。利点は、メインプロットとの対比で息抜きができること。人物の特性やテーマの表現を強化するために使う  例、昔の恋人との再会

    <第3幕>
    プロットポイント2(75%)
    人物はどん底に落ちる。望みが叶う一歩寸前でだめになり、これまで以上に落ち込む。そこから再び戦う力を呼び起こし、クライマックスへ

    ・クライマックス(90%)
    必然かつ意外なエンディングを書くには、「伏線」と「複雑化」の2つが必要
    パズルのピースをあらかじめ見せておくことと、多くのピースを与えて複雑に見せかけること

    クライマックスにあるのは主人公の「気づき」そして変化。クライマックスの近くで何かを悟る。そして、それまでの考え方を捨て去り、敵にぶつかっていく。自分の心の葛藤にも、敵との対立にも、ここで決着をつけようとする

    ・解決
    ストーリーの幕は閉じるが人物たちは生きていく、と伝えるのが「解決」の役割

    人物が変化したことを示す実例を「解決」で見せる。オープニングで人物がわがままだったら、それがどう変化したかを描写

    作品全体のトーンに合う感情(面白い、ロマンチック、哀愁など)を表現し、読者の心を満たす

    <シーン>
    シーン=主にアクション、出来事や行動を描く部分
    シークエル=出来事に対するリアクション、人物の反応を描く部分

    「決断後、次の行動に出る」という流れになると、ストーリーは新たなシーン部分へと移る

    シーン部分にもシークエル部分も3つのブロックに分かれる
    ①序盤=掴み(フック)
    ②中盤=発展
    ③終盤=クライマックス

    第1ブロック:ゴール
    シーン部分では、人物がシーンの中で目指すゴールを設定する
    ゴールがない=発進しない
    ゴールがない=意味がない

    第2ブロック:葛藤
    葛藤がなければシーンにならない
    主人公のゴールが妨害されることが必要
    cf. ナイフを持って喧嘩する、クレジットカードを失くして立ち往生する

    第3ブロック:災難
    葛藤や対立は、どこかで決着せねばならない。それも、たぶん主人公に不利な方向で、結果を「災難」に終わらせ、次の「シーン」につなげる
    「まずい結果」なら何でもいいのではなく、葛藤との因果関係が大事
    例 ○彼女とケンカしてふられる ×彼女とケンカして、交通違反で逮捕される

    プロットのゴール vs. シーンのゴール
    一つ一つをプロットと関係づけること

    シーンのゴールの選択肢
    登場人物が求めるもの
    ①具体的なもの(品物、人など)
    ②無形のもの(尊敬、情報など)
    ③身体的な状態からの脱出(身柄の拘束、苦痛など)
    ④精神的な状態からの脱出(心配、疑惑、恐怖など)
    ⑤感情的な状態からの脱出(悲しみ、憂鬱など)

    ゴール達成のため取られる手段
    ①情報を求める
    ②情報を隠す
    ③身を隠す
    ④誰かを隠す
    ⑤誰かと対決する。または、誰かを攻撃する
    ⑥物を修理したり、破壊したりする

    葛藤の種類
    ①真っ向からの対立(他の人物や天候などが主人公の邪魔をする)
    ②内面で起きる摩擦(ゴールに対する考え方を変えるようなことに気付く)
    ③不利な状況(ケーキを焼きたいのに小麦粉がない、ダンスのパートナーがいない、など)
    ④能動的に表現される対立(議論、殴り合いなど)
    ⑤受動的に表現される対立(無視される、暗い場所に閉じ込められる、相手から避けられるなど)

    葛藤
    ①ケンカ、殴り合い
    ②言い争い、口ゲンカ
    ③物理的な障害(悪天候、道路封鎖、身体の負傷など)
    ④精神的な障害(恐怖、記憶喪失など)
    ⑤物質の欠如(ケーキを焼くための小麦粉がない)
    ⑥知的財産の欠如(情報が得られない)
    ⑦行為をしないことによる攻撃(わざと、あるいは無意識に)
    ⑧間接的な妨害(他の人が遠回しに、あるいは無意識に対抗する)

    災難
    「うまくいったと思いきや」の災難
    人物がいったん成功を収めるものの、後になって、むしろ成功しない方がよかったと気づくパターン

    災難の種類
    ①ゴールへの道が直接的に妨害される(情報が欲しいのに、相手が教えてくれないなど)
    ②ゴールへの道が間接的に妨害される(出世コースを外されるなど)
    ③ゴールへの道が部分的に妨害される(必要なものが部分的にしか手に入らない)
    ④成功したかに見えるが、実は失敗だったことが分かる(欲しいものを手に入れるが、むしろそれが害になることが発覚する)

    災難の例
    ①死
    ②身体が傷つく
    ③心が傷つく
    ④よくない知らせを受け取る
    ⑤人物自らミスを犯す
    ⑥人物自身に危険が及ぶ
    ⑦誰か他の人物に危険が及ぶ

    シークエル

    「リアクション」では感情、「ジレンマ」では知性、「決断」では身体的なリアクション(と次のゴール)が焦点

    第1ブロック:リアクション
    人物の内面の動き、出来事に対して反射的な感情

    ①高揚感
    ②激情
    ③怒り
    ④困惑
    ⑤落胆
    ⑥パニック
    ⑦恥
    ⑧後悔
    ⑨ショック

    災難の表現方法
    ①地の文
    ②心の声/モノローグ
    ③ドラマタイズ
    ④トーン

    第2ブロック:ジレンマ

    ジレンマの3つのステップ
    ①振り返り 「災難」を振り返り、何がそれを起こさせたか考える
    ②分析
    ③計画

    ジレンマの表現方法
    ①文脈の中で示唆する
    ②はっきり書き記す
    ③要約する
    ④ドラマタイズする 試行錯誤の様子を描く

    第3ブロック:決断
    ストレートな決断か?遠回りの決断か?

    行動するか?行動しないか? cf.まどかマギカ

    ・シーン/シークエル構成のバリエーション

    シーンとシークエルの仕組みがわかれば、アレンジは自由。唯一の注意事項は、人物の「ゴール、葛藤、災難」と「リアクション、ジレンマ、決断」の内容を把握しておくこと

    「シーン」のゴールのバリエーション
    語り手以外の人物のゴールに向けて「シーン」が進む
    「シーン」の途中でゴールが見つかる
    ゴールをはっきり書かないでほのめかす

    「シーン」の葛藤のバリエーション
    「シーン」のゴールを提示せず、いきなり葛藤で始める
    葛藤を控えめに書き表す

    「シーン」の災難のバリエーション
    「災難」をはっきり書かない

    通過点

    ハプニング

    「リアクション」のバリエーション
    出来事や行動とほぼ同時進行でリアクションを書いていく
    出来事や行動が起きた後、しばらく間を空けてリアクションを書く

    ・文の構成

    ストーリーの中の文や語句は、原因(刺激)か結果(反応)のどちらかに分けられる

    刺激
    ・地の文 語り手が遭遇する出来事や状況
    ・心の声(モノローグ) 語り手が問題について考えたり、アイデアを出そうとしたりする時の思考
    ・アクション 語り手以外の人物がする動作や行動
    ・セリフ 語り手以外の人物が話す言葉

    反応
    ・心の声(モノローグ) 語り手の内面の動きを表現する言葉
    ・情動 語り手の身体に起きる不随意反応(鳥肌が立つ、筋肉がこわばるなど)
    ・アクション 語り手が行う動作や行動
    ・会話 語り手が誰かに対して返す言葉

    情報を出す順序
    ①感情や思考
    ②アクション
    ③発話
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    投稿日:2014.05.15

  • すぐり

    すぐり

    このレビューはネタバレを含みます

    前半シド・フィールドの3幕構成をもとにした解説。
    小説・映画からそれぞれ2作品ずつを例に解説されている。
    シド・フィールドの脚本術よりは翻訳が読みやすいと思う。
    3幕構成をすでに知っている人であれば、本書は必要ないと思う。
    後半はシーンとシークエルについて。ごく当たり前のことが書かれている。
    ハリウッドの脚本系、翻訳ものすべてに通じることだが、文章が冗長でつらい。
    3幕構成についてはグラフ(図)があったほうがわかりやすいと思う。

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    投稿日:2014.04.24

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