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樋口毅宏 / 新潮文庫 (86件のレビュー)
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海外おやじ
このレビューはネタバレを含みます
樋口氏の作品はこれで三作品目。 これまで読んできたところですと、彼の特徴といえば、どぎつ目なエログロといったところ。 「日本のセックス」ではスワッピング狂の旦那に嫌々連れていかれるうちに欲情してくるその妻の心情を描いていました。性描写がどぎつ目。 「民宿雪国」ではその民宿のおやじの実相を複数の取り巻きの視点から描写し、善人の顔から残酷な人殺しまで、ピンキリの描き方といった様子。殺人がどぎつ目。 ・・・ そして今回のさらば雑司ヶ谷。 今回も性描写も暴力もどぎつ目だったかもしれません。ただし今回は男と男の方。 というより、まあ設定がぶっ飛んでいてですね・・・。生まれも育ちも雑司ヶ谷。そこを根城にする強力な新興宗教の跡取りが主人公です。カラーギャングよろしく街を牛耳り、悪事を行い(教祖の力でもみ消し)、そしてちょっとした義憤が原因で中国へ人探しに。その後セックスとシャブ漬けになるも命からがら帰ってきて・・・なんて話でして。 でも、そんな話ですが、意外と(失礼)面白いのですよ。 パルプフィクション的な安っぽさ・ばかばかしさ、でしょうか。主人公が拷問シーンを「Qタランティーノというよりたけし軍団」と場景を自らネタばらしして語るあたりは技ありでしょう。 この作為的安っぽさは、舞城王太郎氏の「土か煙か食い物」を想起させます。 ああいうのが好きな方は、本作も楽しめると思います。 ・・・ 他にも、巻末に水道橋博士や町山智浩氏がことばを寄せているのですが、時代のアイテムへのオマージュ的伏線に富んでおり、お笑いやテレビ(たけし軍団)、映画作品(タランティーノ)、音楽(小沢健二)等、刺さる人には刺さるような伏線がちりばめられています。 因みに私は、雑司ヶ谷、にぐっときました。 近くに住んでいました。というか池袋ですが。 今から二十年前ほど、雑司ヶ谷といえば、池袋からほど近い都心のど真ん中にあって、取り残されたようにたたずむ下町という雰囲気でした。居所の最寄り駅の池袋は、駅から降りると風俗の呼び込みがあったり、夜勤で深夜に帰ると馬乗りで喧嘩とかしている風景を目撃してしまったりするバイオレンスな町。ところがその池袋から15分も歩くと、駄菓子屋や木造家屋がたくさん残っているような街が雑司ヶ谷でした。雑司ヶ谷(鬼子母神)の助産院で初めての子どもを授かりました。 ・・・ ということで、樋口氏のバイオレンスあふれる作品でした。 エログロ系が大丈夫な方、下品なユーモアを許容できる方にはお勧めできると思います。
投稿日:2024.04.06
largeaslife
ジェットコースターバイオレンス。小説だけでも面白いが、これをもっと楽しめるエンタメ教養があったらなぁと思う。
投稿日:2024.03.31
ぴんが
有無を言わせず、めちゃくちゃに突き進む展開。 最初は主人公に何の同情も抱かないが、徐々に主人公がいいヤツに思えてくる。 花村萬月さん好きならはまりそう。 続編を読みたい。
投稿日:2021.05.13
ふじの
雑司ヶ谷、どれだけ怖い街なのと笑ってしまう IWGPやタランティーノをオマージュしつつ、どこまで本気なのか冗談なのかわからないテイストを貫いているのがすごい
投稿日:2020.10.15
鯛飯
小沢健二とタモリのくだりがとても好きだ。 私もタモリしかり、オザケンの「さよならなんて云えないよ」の歌詞が好き過ぎる。人生を真っ向から肯定してる、って表現がタモリらしくて素晴らしいな。 ほんで、この…オザケンのくだりは本編とほとんど関係がないっていうね。続きを読む
投稿日:2020.09.28
りく
ブッ飛びまくった内容と展開、数多くの文化的要素にニヤけながら抵抗不能で振り回され続け頭はすっかり疲れまくりつつ脳内からは何かがドバドバ分泌されて読む事を止められない自分を「アイツはもうダメだな」と誰か…が言ってる妄想に取り憑かれ、結局また本の世界に逃げ込む事になる続きを読む
投稿日:2020.07.19
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