【感想】身体巡礼―ドイツ・オーストリア・チェコ編―

養老孟司 / 新潮文庫
(8件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 帆掛船

    帆掛船

    欧州の場合には、都市住民の文化と、森の住民の文化は、ほとんど決定的に断絶している。都会人は森の人を人と見なさなかったのであろう。それは欧州の被差別問題によく示されている。その境界がどこに位置するかというなら、自然の力を借りて生業を営むのは、都市に住んでいても、むしろ被差別民に属した。だから「美しき水車小屋の娘」なのである。身体もまた自然だから、身体を直接に扱う生業は、全て賤業に属した。医者と言えば内科医だった。外科医は理髪師で、産婆やペディキュア師と並んでいたのである。

    2019/10/6読了
    ――へぇ~、今では考えられん価値観である。
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    投稿日:2023.09.24

  • kitaRo-

    kitaRo-

    思いつくまま書きたいことを書き連ねたというような印象の文章なので本筋が見えにくいところがあったが、興味深い考えとか気になる情報がところどころちりばめられていて、読んでいておもしろかった。

    投稿日:2020.11.28

  • cats-paw

    cats-paw

    このレビューはネタバレを含みます

    世界の趨勢だと思うが、社会が死を排除しつつある。大きくいえば、自然を排除する方向にいっている。すべての文化が、死によっておこるマイナスを補償する装置のようなものを備えるに至った。身体に関することをタブー視するようになった。

    「メメント・モリ」・・「死を忘るるなかれ」
    二人称の死・・・身体にこだわっているハプスブルク家の埋葬儀礼
    死と共に「あの世」に移行する日本

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    投稿日:2020.01.30

  • violinprince

    violinprince

    2年ほど前にこの著者による『遺言』を読んで、何とも面白い語り口をする人だと感じた覚えがありまして。この本も、そうした著述の妙というか、死や死者といった社会がタブー視している内容を、かなり高度なことを述べているんじゃないか、ということをハードルを下げて、まるで居酒屋で酩酊しながら隣のおっちゃんがわかりやすく話してくれるような、そんな雰囲気で述べてくれる。

    内容としては、欧州への旅を通しながら、そうした死や死者についての考察を、ヨーロッパでの心臓信仰や骸骨の扱い方や墓の在り方等を通して、深めていってくれる。「墓ぐらい、役に立たないものはない。(中略)そういうところ(=街の中央にある鎮座する墓場)を訪問すると、経済も効率もない私の人生にすら、なにか意味があるような気がして、気持ちが和む。いくら合理性を追求したって、いずれはお墓だよ」、なんて、ふわっとした感触で深いことを言えるのは、養老さんくらいじゃないかな。
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    投稿日:2019.11.13

  • ashisas

    ashisas

    このレビューはネタバレを含みます

    養老先生の旅日記のようでもあり、思索集のようでもあり、死生観に関する随筆のようでもあり。不思議な内容ながら、自分が行ったことのないドイツ・オーストリア・チェコの教会や礼拝堂といったものへの関心と、巻頭の写真の美しさに惹かれて一気に読了。

    数万人分の人骨が組み立てられ、一大装飾と化している礼拝堂の写真なんかはインパクトが大きく、日本人の感性としては「こんなところにホトケさんを見世物のように晒すなんて!」とか思ってしまうのだが、この「死者をホトケさんと見て、自分の周囲から切り離す」という概念自体が日本人的であり、西欧の思想とは異なるのだ、というのがこの本を読むと分かる。日本人からしたら「見世物」のように映る人骨の使い方や、あるいは死んだ聖人を多くの信者が見られるようにする細工などもこの思想によるものなのかもしれない、と思わされ、死や死者に対する捉え方の違いについて、何となくではあるが理解することができた。

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    投稿日:2019.09.29

  • M

    M

    関連する書籍が気になって仕方ない。。
    知識欲に火をつける一冊になった。
    養老先生の本を読んだのははじめて!

    投稿日:2019.06.26

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