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内田樹 / アルテスパブリッシング (67件のレビュー)
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ててて
結婚は安全保障である。お互いの元気で良い時ではなく、病める時貧しき時に助け合うためのものである。 その他、結婚や恋愛や家族生活における不安や問題に対する心構えをエッセイのように綴っている。
投稿日:2023.08.17
ジャストかもかも
このレビューはネタバレを含みます
ふわっとしていた結婚や結婚生活についての捉え方が非常に明確になるだけでなく、葛藤や人間的成熟など哲学的な視点も豊富で、個人的には金言に溢れた一冊となった。 見方によっては、硬派で時代錯誤的な結婚観と捉える人もいるかなとは思ったが。 「祝辞」も示唆に富み、読み応えがあった。 以下、気になった内容の要約。 ■結婚 ・結婚というのは、 ①「病めるとき」や「貧しいとき」といった人生の危機を生き延びるための安全保障契約 ②配偶者双方にとって市民的成熟のためにきわめて有意義な訓練の場 ・配偶者を選ぶときに絶対見ておくべきは、「健康で、お金があって、万事うまくいってるときに、どれくらいハッピーになれるか」のピークじゃなくて、「危機的状況のときに、どれくらいアンハッピーにならずにいられるか」、その「危機耐性」 ■結婚式 ・結婚式の本質は、男女の結びつきという私的な出来事を、公共な場において公開し、参列した人々に向かって「誓言をなす」ということ ・人を好きになる、一緒にいたくなるという心情そのものの起源を人間は誰も知らないから、結婚式に神さま仏さまを「ステイクホルダー」としてお招きし「神頼み」することが大事 ■結婚生活 ・傷だらけの中古車を運転しているような気分で結婚生活をしていると、そのうち大事故が起きる ・家庭には「ボス」がいた方がいい ・自分にはよくわからない人といっしょに暮らせるということ、そんな人と折り合ってゆけるような幅の広い「ゆるい」空間を作り上げること、結婚する前は共有されていなかったものが気がつくといつの間にか共有されていること(だんだん似てくる)が結婚のおもしろみ、醍醐味 ・その「よくわからない人」がいつも自分のかたわらにいて、いっしょにご飯を食べたり、しゃべったり、遊んだりして、支えが欲しいときには抱きしめてくれる、それって感動的じゃないですか ・結婚生活にかぎらず他者との共同生活を適切に営む上でいちばんたいせつなことは「機嫌がよい」ことであり、そのためには目標を低めに設定してひとつずつ積むこと、機嫌がよいを先取りすること ・さまざまな微細な「不調」が加算されて、水がコップのふちからあふれそうになったときに、「最後の一滴」となるのが、だいたい家の中のいさかいなので、ちまちました補正によって「コップのふち」までたまっていた水を、「コップのふちから指1本分」くらいまで水位を下げておく努力の積み重ねが夫婦の危機を解消する唯一の方法 ・結婚生活が破綻しかけたときに最後の支えになるのは、「私たちの結婚生活というのはたまたま二人の合意によって成り立った暫定的な制度ではなくて、山や川や海のような自然物と同じく、存在すべくして存在しているリアルだ」という確信犯的な嘘 ・結婚ははじめから公共的なもの「である」わけじゃなく、公共的なもの「にする」ための日々の努力が結婚生活を支えている ■家事 ・家事なんて気がついた方がすればいい、厳密に区別するとグレーゾーンに落ち込んだ家事は誰も手を出さなくなり家の中はたちまちカオス ・家事分担のおすすめは「家事は誰の担当でもない」というルールを採用すること、これを長くやっていると、阿吽の呼吸でなんとなく予測が立つようになる ・女の人がものを置く秩序については、あなたの理解を絶した秩序に従って構成された「都市」の風景を見ているようなつもりで「鑑賞する」という立場に徹底することをおすすめ ■哲学的内容 ・ある特権的条件においてのみ発現してくる唯一無二の「ほんとうの自分」なんてものはなく、ぜんぶ等しく同格の「自分」 ・仕事を「続けるべきか辞めるべきか」はシンプルな基準で判断せず、悩み、できるだけ葛藤した方が成長できるからいい ・仕事選びや結婚相手などの本質的な問いにシンプルな一般解などなく、そのつど唯一無二の特殊なケースなので、真剣に葛藤しないといけない ・葛藤とは、「自分固有のオリジナルでパーソナルな判断基準」を手作りするための生成的なプロセス ・たった一つの正解に固執するせいで、さっぱり問題が解決しないということより、「正解はなんだろう」と悩んでいるうちに、気がついたら問題が消えていた…という方が効率的だし現実的 ・ランダムに生起しているかに見える移ろいやすい現象の背後に、ある種の美的な階調というか、数理的秩序というか、多いなる意志が存在すると直感することは、自分たちが閉じ込められている「いま・ここ・わたし」という「檻」から一歩踏み出すことを要請するため、人間的成熟にとって必要不可欠 ・転機というのは、不意に、なんの脈絡もなく、でも、抵抗しがたい圧倒的なリアリティを以て切迫してくる ・病気になっても、投獄されても、人に裏切られても、裏切っても、何かを失っても、何かを得ても、それらの経験のうちに無駄なものは一つもなく、「人生の厚み」が増す ・およそ人間が経験できる極限まで経験してきた人が読んでも頷かせるだけの迫力がないと哲学にならない ・他者に対する好奇心は、自分に対する好奇心に相関する ・ある年齢を過ぎた人間に「人生観を変えろ」と言うのは無意味で、問題をこじらせるだけ
投稿日:2023.03.02
夏海
書いてある通り、結婚に対して気楽な気持ちになった!いっちばん最後のところはゲキむずだった。結婚は、誰でもできるものっていう前提で考えるとか自分の捉え方とか、内田樹さんやはり面白い。しかし、これを読んだ…からといって、スマートに人生歩めないんだろうなぁ、激動のこれからの日々を思っちゃうよ。続きを読む
投稿日:2023.02.06
だりん
アラサーで独身、結婚について悩む時期に自分では思いつかなかったことが色々と記されていて読みながらついなるほどと勝手に納得しながら読んでいました。それはそうかな?と思うこともありましたがそれは今までの自…分の考えとは違っただけでそういう考え方もあるしそう考えたほうがずっと楽だと思えることもたくさんあって人生の教訓にしようと思いました。続きを読む
投稿日:2022.12.14
Kanako
地に足がついた話。作者の経験など踏まえられ、とても読みやすい。好き嫌い分かれるかもしれないが、読み終わりはスッキリ!ためになる
投稿日:2021.07.23
ひろき
そもそもなぜ結婚をするのか。メリットデメリットが記されている。 作者が東大卒というのもあり、非常にリアリストで読んでいて心地よい。 特に印象に残っているのは、 ◎結婚式は私事の関係を公事の関係にシフ…トさせる宣言であること →結婚式の意味が親への感謝という意見がしっくりこなかったが、この内容を知ると結婚式の有用性が理解出来た ◎結婚は誰としてもいいこと →相手により自分が変わるが、本当の自分は存在しない。相手を変えてもこれは不可逆である。 ◎結婚のセーフティネットとしての機能 →経済的にも。病気の時に支え合える。 ◎家事への適切なマインドセット →好きな家事を増やす。公に家事が好きと公言することで、家事が好きな自分を作る。 続きを読む
投稿日:2021.05.04
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