【感想】草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 絆の煙草入れ

平谷美樹 / だいわ文庫
(7件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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ブクログレビュー

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  • 煌

    このレビューはネタバレを含みます

    江戸の作家と版元(本屋)を主役と舞台に謎解きをするシリーズ2作目
    幽霊や妖の噂話、それは口伝の果てに不可思議になった人為的な謎
    その謎や犯罪を解き明かしていく女流作家の卵、金魚と仲間達の痛快劇

    実在の女流文学者、只野真葛も登場して、さらに賑やかに楽しくなった今巻
    強烈なキャラクターだった故に、仙台に帰っちゃうのが寂しかったです

    江戸時代の作家たちや本屋、版元の仕事内容や作業工程などを知れるのも面白い

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    投稿日:2022.09.22

  • isutabi

    isutabi

    ★これから先、本物の幽霊に出くわさねぇとも限らねぇ(p.40)

    【感想】
    ・たのしく読めるシリーズ。
    ・真葛さん、再登場を期待。

    【内容】
    ・新キャラ只野真葛(実在の人物らしい)。金魚と最強コンビ
    ・内職で筆工をやってる小普請組の武士のもとに女の幽霊。
    ・ドッベルゲンガーが出た。
    ・小塚原刑場あたりで化かされた男。
    ・拐かされた金魚。

    ▼薬楽堂についての簡単なメモ

    【岩次郎】関西でブイブイ言わせてた稀覯本専門の盗人。伊勢の出のようだ。殺さず傷つけずが信条。
    【上杉幸三郎/うえすぎ・こうざぶろう】駿河国池谷家中で北野勘兵衛の上役だった。
    【卯助/うすけ】岡っ引き。島田屋から袖の下をもらっている。
    【花魁】公的にはもう花魁という制度はないがいくつかの妓楼ではその習慣を残している。昼三(ちゅうさん)、附廻(つけまわし)、座敷持(ざしきもち)の三つの階級があり、昼三の中でも呼出昼三(よびだしちゅうさん)が最高位。梶ノ鞠はそれに位置する。
    【推当物/おしあてもの】金魚の造語らしい。今で言うミステリ。
    【織田野武長/おだの・たけなが】戯作者。本名は加藤権三郎。尾張藩士で定府の勤番侍。暇潰しで書いている小説がそこそこ売れている。
    【掛香/かけこう】梶ノ鞠の禿の一人。名は邪気を祓うために匂い袋を部屋に掛けたりすること。夏の季語。
    【梶ノ鞠/かじのまり】吉原の妓楼、松本屋の花魁。
    【北野貫兵衛/きたの・かんべえ】元武士で今は在野の国学者。駿河国池谷家中で忍をやっていた。
    【鼎逸道/かなえ・いつどう】絵師。東雲夕月と同時期に白澤屋に拾われた。
    【金魚/きんとと】鉢野金魚。主人公。粋な女。持ち込み原稿を携えて薬楽堂にやって来た。「お前ぇの戯作、まだ誰も読んじゃいねぇだろう」「あたしが読んでる」第一巻p.35。ふてぶてしいが自分の間違いを認めるのにやぶさかではない。長右衛門はどこかで彼女を見た気がするが思い出せない。雰囲気的には吉原の花魁だったんじゃなかろうかと思われるが? それなら客としてとか、摺物とかで見ている可能性もある。もっとも当時の絵でそれが誰を描いているのかわかるというのはぼく的には不可解なんやけど。
    【戯作】只野真葛いわく「怒りなさんな。戯作ってのは、一時別の世に遊ぶ暇つぶしじゃないか。面白い戯作だからこそ暇をつぶせるのであって、下らなきゃすぐにぽいっと放り出されるよ」第二巻p.119
    【故山堂】書肆。武家の多い通りにある。古書売買に重点を置いている。
    【東雲夕月/しののめ・ゆうげつ】→夕月
    【島田屋】薬楽堂の二軒隣の呉服屋。主人の惣右衛門が薬楽堂の土地を欲しがっている。
    【書物屋】お堅い本を扱う書店。読み物類とは明確に区別されていた。
    【白澤屋天下堂/しらさわやてんかどう】地本屋。「華之吉原 傾城揃踏/はなのよしわらけいせいそろいぶみ」という摺物を吉原とタイアップして花魁たちの、いわばブロマイドを比較的安価に発行した。
    【慎三郎】帳屋の益屋大五郎の息子。金魚のファンだが親は戯作を読むことを許さないのでこっそり読んでいる。うぶくて一途でかえってちょっと怖い。
    【真理】金魚いわく《仏教も儒教も、人が作ったものだから、どこかに穴があって、真理とは言えないとあたしは思うね》第二巻p.126
    【清之助/せいのすけ】薬楽堂の若き番頭。優男。ヤットウを学んでいて木刀を持つと人が変わるとよく言われる。ふだんは真面目だがおもしろそうなことには食いつく。
    【多嘉良屋/たからや】浅草の書物屋。
    【竹吉】薬楽堂の小僧。松吉とちがって気が利く。
    【出し看板】店の前に置く看板でごみ箱兼用。放り込まれた紙ごみは再生して使う。
    【只野真葛/ただの・まくず】随筆を薬楽堂に持ち込んだ女性。本名は綾子。長右衛門の幼馴染み。滝沢馬琴も認めているがお上への批判満載で本にできない。いちおう武家。仙台在住だが江戸に出てきた。実在の人物らしい。
    【巽屋短右衛門/たつみや・たんえもん】薬楽堂の主人。
    【巽屋長右衛門】薬楽堂の主人の父親。「巽屋」と呼ばれたら怒る。薬楽堂という名前がお気に入りのようだ。ご隠居と呼ばれたら怒る。「大旦那」と呼んでもらいたいらしい。さっぱりした性格のようだ。おもしろそうなこと大好き爺い。
    【常世/とこよ】元常世大夫。松本屋にいた。今はお歯黒溝の女郎。金魚の推当の師匠みたいなもの。
    【利三と介/としぞうとすけじ】読売屋。
    【富五郎/とみごろう】摺り師。
    【中野勝之慎/なかの・かつのしん】浅草小石川富坂町代地に住まう小普請組の武士。内職は筆工。家の前に女の幽霊が出るというウワサ。
    【鉢野金魚/はちの・きんとと】→金魚
    【彦次郎/ひこじろう】吉原の四郎兵衛会所に詰めている若い衆。
    【ひさ】多嘉良屋の女中。
    【筆工】版木用の原稿の文字を書く仕事。内職にしている武士も多い。金魚は文字が上手なのでそのまま印刷に使えるが、場合によっては男文字の方がいいと考え他者に依頼した。
    【他人事】「なに言ってんだい。他人事だから面白いんじゃないか――。それに、他人の方が物事の本質がよく見えるもんだよ」第一巻p.105
    【一ツ葉/ひとつは】梶ノ鞠の禿の一人。名は羊歯の一種で夏の季語。
    【ひょっとこ屋】伊勢町河岸にある居酒屋。金魚や無念など戯作者のたまり場でもある。
    【舞台】時代は文政。徳川家斉の治世。江戸。
    【北斎】あの葛飾北斎。夕月に絵を見せた。
    【本多左門/ほんだ・さもん】北町奉行所の同心。島田屋から袖の下をもらっている。
    【本能寺無念/ほんのうじ・むねん】→無念
    【又一/またいち】白澤屋の主人。商売は成功しているが人間性は小物っぽい。
    【又兵衛】故山堂主人。屋号は藤田家。
    【松吉】薬楽堂の小僧。ちょっと抜けているところがある。なんか怖いものを見た。
    【美濃屋藤兵衛/みのや・とうべえ】とある怪異に出会った。
    【みよ】ひょっとこ屋の小女。こいばな好き。
    【無念/無念】本能寺無念。わりと有名な戯作者だがそれでも生活は苦しく薬楽堂に居候している。むさ苦しい男。北条氏が鎌倉で執権政治を行っていた時代を舞台にした伝奇小説が得意。幽霊噺を一笑に付すあたりに限界がある。じつは幽霊が怖いようだ。
    【薬楽堂/やくらくどう】草紙屋(地本屋)。まあ、街の本屋。施設はけっこうデカいがそれでも「うちは手狭だからよ」と言う。
    【夕月/ゆうげつ】東雲夕月。絵師。梶ノ鞠を描いていて行方不明になった。天狗に拐かされたというウワサも。
    【六兵衛】薬楽堂の隠居した元番頭。清之助の父。「面白いことはみんなで楽しむのがようございます」第一巻p.63。わりとノリノリの爺さんだ。
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    投稿日:2022.01.23

  • tomojuju

    tomojuju

    ちょっと勢い落ちたると思ったけど最後の話は面白かった。
    金魚の粋な感じがいい

    2020.8.22
    81

    投稿日:2020.08.22

  • 三田主水

    三田主水

    http://denki.txt-nifty.com/mitamond/2017/05/post-ef26.html

    投稿日:2020.02.02

  • 永遠ニ馨ル

    永遠ニ馨ル

    金魚さんの姐さんっぷりが相変わらず心地いい二作め。

    初めて目の当たりにするご贔屓さんで金魚は浮かれぎみだけど、ピンチも自分の筆力でなんとかしちゃうのはさすがです。
    無念も、なんやかやと言いつつも、ご贔屓さんと出かける金魚の後を心配してつけちゃったりなんかして、かわいいところもある。

    主人公ふたりが本当に好ましい。
    今後も楽しみな作品です!
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    投稿日:2020.01.04

  • yuuyom

    yuuyom

    シリーズ2作目というのは、1巻の雰囲気からそれほど変化がないかと思っていたら、大きく動いた。必ずしも1話完結でなくてもいいというのもあるが、何と言っても只野真葛という新キャラクターの存在が大きい。巻末の参考文献を見ると実在の女性らしい。真葛と金魚の推理対決が面白く、この後も登場してほしい。続きを読む

    投稿日:2018.09.30

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