【感想】「理科」で歴史を読みなおす

伊達宗行 / ちくま新書
(14件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 内緒の読書録

    内緒の読書録

    二日酔いの頭で衝動買いした。一見おもしろそうで、よく読むとあまり面白くない。ほとんどが数字の話と、鉄や金などの金属の話。理科のわりには、根拠のない推論も多く、のりきれない。""

    投稿日:2018.11.06

  • P

    P

    歴史に興味はあるけれど、教科書を読んでも頭になかなか入ってこなかった中高生の時に出会いたかった本。「数字」「鉄」といった具体的で普遍的な事象から歴史を眺めることは、歴史をイメージする手助けとなる。

    「理科で歴史を読み直す」には、以下の二つの意味があると私は解釈した。
    1.人々が数字や科学をどのように身につけ、利用してきたかをひもとくこと。(自然科学の歴史に焦点を当てる)
    2.歴史を自然科学の知識から読み解くこと。(歴史を自然科学を用いて解明する)
    もちろん両者は切っても切り離せないものだが、とくに後者のアプローチがこの本のユニークな点だと思った。

    歴史研究の中心は文献史料の分析だが、当時のことを完全に理解しようと思えば「書かれていないこと」も知らなくてはならない。それを読み取るために、「理科」の知識はとても役に立つ。
    たとえば、鉄が世界史に与えた影響は銅よりもはるかに大きく、火の発見に次ぐほどのものだという(p.77)。そのことを知るためには、鉄の特質を考えることが助けとなる(筆者によると鉄は「知的複合体」)。

    昔の人々は、近代科学を持たなかった分、自然の法則を敏感に感じ取り、知識を得ていたはずである。「理科」的思考によって、史料には現れない、当時の人々の見えない行動基準について想いを馳せることも歴史の醍醐味なのだと思った。
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    投稿日:2016.09.27

  • 「おやっさん」

    「おやっさん」

    歴史を動かしてきたのは、政治や経済だけではない。
    数学的知識、暦の作り方、冶金技術など広い意味での「理科力」こそ、人間を人間として進歩させてきたものだ、という著者の主張です。
    特に縄文時代の天文学の記述を知りたくてこの本を読みました。
    結果として、世界最高水準の技術で作られた奈良の大仏のことなど、また、新しい情報を得ることができました。
    途中、あまり興味がないところは飛ばし読みしてしまいました(笑)。
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    投稿日:2016.04.26

  • ボブ太田

    ボブ太田

    「理科」で読み直す、というより、「科学的思考」がどのように歴史的遺産等から読み取れるか、というマニアックな歴史読本。
    科学的思考の一指標としての数詞に重きをおいている。
    目から鱗の内容です。

    投稿日:2013.08.17

  • polyhedron

    polyhedron

     著者の専門は物性物理なんだけど,歴史や文化にも造詣が深いらしく,「理科力」で日本史を見てみようという本。科学受容史といったところかな。でも網羅的でなく,話題は断片的。
     天文,鉱物史,魔法陣などいろいろだが,著者は特に言語に興味があるらしい。中でも数詞について詳しい。縄文時代など,文字の記録が残っていないから推測になってしまうのだけど,想像をたくましくして当時の数のありかたを描いている。
     著者の『極限の科学』が滅法おもしろかったので読んだのだが,さすが年長者だけあって博学。やはり門外漢なわけで,信憑性はいまひとつ。人生の総仕上げとしてざっくばらんに書いてみたという感じだろうか。戦国大名の伊達氏についても記述があったけど,別に祖先だとは言ってなかったな。
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    投稿日:2012.08.21

  • コロちゃん

    コロちゃん

     本書は過去の歴史のなかの個別課題を「理科」的視点から取り上げた論考であるが、興味深くおもしろいと感じた。
     著者はどれの専門家ではないという。そういう場合、内容がしぼりきれずに拡散してしまう場合が多いのだが、本書では、おもしろくまとめていると感じた。著者の「伊達宗行氏」は仙台生まれで東北大学理学部卒というから、あの「伊達」の眷属なのだろうか。
     「縄文の空の下で」の原人前後の内容は、すでに最新の知見ではないと感じたが、縄文や弥生時代についての論考はいろいろと多面的で興味深かった。その道の専門家でない著者の幅広い知識が伺えて、おもしろいと感じた。
     「いち、に、さんではじまる現代数詞」についての論考もおもしろかった。数詞の読み方は漢音と呉音が混在しているというのだ。「漢字」というくらいだから、漢の時代のものと漠然と考えていたが、本書によると「仏教は呉音の世界」だそうである。本書はその理由について幅広く考察している。もとより推測なのだが、実におもしろく説得力があると感じた。
     「金・銀・銅」についての考察もおもしろかった。「マルコポーロが13世紀に東方見聞録で黄金の国」と紹介したことは有名であるが、日本は歴史時代に黄金をとり尽して、その黄金は海外に流出したというのだ。当時の施政者の見識のなさを非難してもちょっと遅すぎるかとも思った。
     ただ、「数遊びの東西」は、多分著者の趣味なのだろう。歴史的な「数遊び」にはあまり興味が持てないと感じた。
     筆者は「異分野の交流」を主張している。まとまりがない結論になる場合も多いかとは思うが、本書のように興味深い論考にまとまる場合もあることを思うと、おもしろい提案であると感じた。
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    投稿日:2012.03.09

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