【感想】貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考える

アビジット・V・バナジー, エスター・デュフロ, 山形浩生 / みすず書房
(77件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
25
27
13
3
0

ブクログレビュー

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  • かたくり

    かたくり

    このレビューはネタバレを含みます

    事例が多く、事例に引き込また、
    多くの本が引用、紹介されており、これ全部読めばいろいろ相当になるだろうなと感じた。時間がないのでトライ断ねん。

    貧乏人へ金銭支援をする。あげた人は解決してほしい問題に使ってほしいが、うまくいかない。貧乏人は目先の快楽にお金を使ってしまう。
    貧乏人は、何も持たないから何でも自分でしようとする。チャレンジ精神が旺盛で、小さい家業を営む者も多い。が、ほとんどが小さすぎる。家業が生活の暮らし向きを飛躍的に向上させることはあまりないと言える。
    政府からの支援は、その政策がまともで、それをしっかり実行する土壌があって成功する。
    貧乏人の多い国では。政策、実行する土壌が整っていないことが多い。結果の出ない支援になることが多い。
    支援が実を結んでいる例はある。

    第一部
    第一章
     貧困に囚われているのか?
     この議論は一般的な原則を理解するのに有効。所得や財産をすぐに増やす方法はあるが、投資をするにもお金がない人たちにとってその方法を選ぶことは難しく、障害となっている。大きく投資できる人が急速に増えるような状況では、貧困の罠が発生することになる。
    もし、貧困者の急成長の可能性が大きい場合、豊かになるにつれて貧困の罠はなくなると言える。
     貧困になってしまうルートがたくさんあるのではなく、主要な要因はごく少数。この問題を改善すれば、貧困を解消できる
     現在はデータとツール(RCT)ランダム化対比試がある。。貧困アクション研究所(のちのアブドゥル。ラティーフ・ジャーナル貧困アクション研究所 J-PAL)は新しい経済学を実践できるように支援し政策立案者に広めようとしている
    新しい経済学とは、理論だけでは不十分だった経済学を見直し、・・・?現実の状況がそうなっているのかを明らかにし。問題発見。解決策を模索する
    ■この新しい経済学の記述は私が書いたもの。本書では別の表現で不空箇所にちりばめられている。不足有)P29・32にグラフを用いて旧経済学、新経済学の違いが書かれている。

    第2章
     飢えているの定義を見直した方がいい。こんな現状がある。
     貧困者で収入が増えた場合その増えた割合分食費に回されるのではない。また食料購入できた多としても、カロリーの最大化のための購入ではなく。よりおいしい高価なカロリーを買う傾向にある。
    収入の増加について、貧困層と富裕層で食費に回す率は変わらない。収入が1%増加しても、食料総額は0.67%しか増加せず、この比率はに両層に差はなかった。
     多くの人が貧困のままなのは食が足りているせいではない。
    食事が十分になったととき、収入の劇的向上は見られなくなる。
    また食料が買うようになれたとしても、食事を増やしたがらない。カロリー的に実際には減っている。他の栄養バランスも改善が見られない。もっとおいしいものを食べることが優先されている。(本分では中国の支援。インドの経済成長が事例にある)
     ■この点、―運動しても痩せないのはなぜかーの本と同じ傾向が書いてあると思った。普遍法則は非合理的な世界にあるんだなと感じた。まぁ訳の分からないモノに規則性を見つけようとするんだから当たり前か。不自然になるわ、そりゃ。

    第3章
    貧困の世界では、公衆衛生の改善が重要となってくる。水を殺菌する塩素系漂白剤、塩、砂糖、水道と下水施設、蚊帳、駆虫剤、栄養強化小麦粉などが必要となる。
     貧困の罠の中にはしごを下ろしても、上り方を知らない、さらには登りたくないとすら思っているよう。
     だが健康改善願望はある。健康のへのお金は、民間の医療機関(医師のレベルが十分でない)や伝統的祈祷師に使われる。公的な病院があってもそれを利用することは少ない。なぜか、それは病院がうまく機能していないように見えるから。看護師は欠勤が多く。患者も少ない。誰も利用してないことを不信がり足が遠のく。看護師は仕事がなく、欠勤して・・・の負のループがそこにある。
     価格が安いという点も心理的に大きく影響する。人は高品質を価格で判断し。安いは無価値と判断してしまう。人は今の小さな出資をためらいリスクを未来へ先送りしている。小さな出資からの利益を過小評価していることが多い。
     貧乏な人々は、情報不足、弱い信念、問題の先送りなどの問題に直面している。実は貧乏ではない私たちもこれらの問題を抱えている。今の公衆衛生の仕組みも知らない。豊かな国でも過干渉な支援が行われているが、仕組みの中に埋没し多くの人がそれに気が付いていない。過干渉の支援を受けると、生活の他のことに専念することができる。
     貧乏な人々は、情報を得ても、うまくいかないことが多い。それが実情。
     貧乏な人々への過干渉な支援は大きな恩恵を得られるのも事実

    第4章
    教育は良い結果を生みだす。が貧乏は人は兄弟の中で最も頭がいい子供に集中投資をする傾向にある。ほかの落ちこぼれ兄弟は教育の恩恵にあずかれず、多くの才能が無駄になっている。
     公共教育の質は燦燦たるものが多い。私立の学校では公立の学校に通うよりも多くの勉強をする生徒が多い。しかし学力の低いも者も多くいる。P124 以下教育に正常な市場原理(学校間の競争による質の向上)が働いていない。教育の中にある独特の重要な問題などか書かれていた。割愛

    第2部
    省略

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    投稿日:2024.04.23

  • ももりんか

    ももりんか

    Twitter(現X)で見かけて気になったので図書館で借りてきた。共著者のE. デュフロという人は2019年のノーベル経済学賞を受賞した人とのこと。

    貧乏な人(1日99セント以下で暮らす人)を十把一絡げに論じるのではなく、現地に赴きランダム化対照試行という手法で、実際に施策をしてみた場合としなかった場合を比較している。
    机上の空論でなく、実際に足を運んで個別の問題について実証的にやっているので説得力もあり好感も持てた。

    そして読んでいる最中、本書で扱っている「貧乏な人」のみならずこれらの問題は今の日本の問題にも当てはまるなぁ、と思ったりもした。

    貧乏な人・貧乏な国はなぜ貧乏なままなのか、ということについて私自身の偏見にも気付かされたし、もっとこの分野について知りたくなった。また、貧困の問題についてもどこかにあっと驚くような解決法があるわけではなく、一つ一つの個別の問題を絡まった糸をほどくように個別に解決していくのが早道だと思ったりもした。
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    投稿日:2023.11.02

  • えいじ

    えいじ

    貧困問題について、こうだろうと思っていた先入観をバッサリ切ってくれる本。データ付きなのでぐうの音も出ないほど、論がスッキリと述べられていて面白い。

    投稿日:2023.08.29

  • しましま

    しましま

    収益を得るにはある程度まとまった投資をする必要があるため,それ以下の投資では逆に貧しくなってゆく貧困の罠について,その有無を机上で論じるのは無意味でで,調査してどちらの場合になるのかRCTで確かめなくては問題は解決できない.この方針で,様々な調査結果が示される.
    防接種率を,豆のオマケを付けることで向上させる著名な例の紹介.イデオロギーでは,右派からは無駄,左派からは不道理と言われる政策だが,それよりも実効性が重要と主張している.
    イデオロギー ideology,無知 ignorance,惰性 inertia の3I問題のため,実効性のない政策が行われる.インドで親が学校の運営に関わる政策で,人々に権限を与えるイデオロギーに基づいて,人々の要求を知ること無く政策が立案され,それの結果が評価されずに惰性で維持される例など.
    ドグマ・ルール指向の施策より,現実に有効なのはシステム指向であるという主張を支持する内容で,よく同意できる内容だった.
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    投稿日:2023.02.28

  • アワヒニビブリオバトル

    アワヒニビブリオバトル

    益井くん走行会@アワヒニ天満橋店「海外に持っていって読み返したくなる本」で紹介された本。
    2016.01.08

    投稿日:2022.10.30

  • yoshidamasakazu

    yoshidamasakazu


    みすず書房 ノーベル経済学者 バナジー &デュフロ 訳 山形浩生 「 貧乏人の経済学 」


    行動経済学の立場から 貧困原因を検証した本。個人が貧乏から脱却するための行動をし、まわりが それを支援をすれば、国の貧困も解消されるという論調。タイトルの「貧乏人」とは 開発支援が必要な国の国民を意味


    貧乏脱却例の数々は 当たり前の事を言っているように思うが、言うは易し行うは難し
    *食事は美味しさより 栄養素を重視せよ
    *健康は 高くつく治療より、安く済む予防に支出せよ
    *教育について投資効果を期待をするな、子供の学習を諦めるな
    *保険で備えろ、貯蓄をしろ


    「貧乏人は 大量のリスクを抱えている〜重要な情報を持っておらず、金融機関の融資や専門家の意見を受けられず、自分ですべて背負わなければならない」とある。ソーシャルビジネスは かなり厳しい環境と感じた


    名言「家族は、完全な調和で結ばれているわけでなく〜他のメンバーに対する責任を規定した契約〜 不完全、粗雑、とても緩い〜でまとまっている」


    続きを読む

    投稿日:2022.05.07

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