【感想】ファウスト(二)

ゲーテ, 高橋義孝 / 新潮文庫
(43件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
7
13
13
3
1

ブクログレビュー

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  • izusaku

    izusaku

    入院中に自宅の本棚から供給してもらったが、読んだ記憶もなくなっている。購入したのはもう20年以上前だ。第一部に続いて読んだ。
    第二幕と第三幕はギリシャ神話の知識がないとほとんど意味が理解できないのではないだろうか、なんとかめげずに頑張ったが、我が身にとって内容が頭に入るとか理解できるできないという次元にないことが分かっただけか…。
    第五幕になると言葉としての意味は理解できるが、最後にファウストの魂がなぜ救われるのかがまた理解できない。それになぜ死の直前でファウストの身体が盲目にされたのかもわからない。ファウスト晩年の行いに基づいて天使が魂を救済する、一方、死の直前に「憂い」によって盲目にされるのはやはり人間の罪の一部を被る(「人間は一生盲目なのです」)と言った意味合いがあるのだろうか。おそらく第一部と第二部まをしっかり理解しながら読むことでなぜゲーテの考えを読み解くことができるのだろう。やっぱりしっかりした副読本が欲しいし、しっかり読まないと答えがわからない大作なんだな。
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    投稿日:2024.02.18

  • 弁天

    弁天

    陽の光なんか要らないわ。
    魂の中に夜明けがきて、どこを探そうとも得られないものが、自分の心の中に見つかったんですもの。

    まだ小説を読む気にならないのでファウストの続きを。

    上巻とは全く変わり、大冒険のファンタジー長編。解説も面白い。ゲーテのPagan文化への深い造詣がいかんなく発揮される。
    最近、斉木楠雄のアニメを見始めたので、中二病?と思いそうになるけれど、そうじゃなくて古代ギリシャと中世キリスト教世界の奇跡の共演です!と言い聞かせる。

    上巻はファウストの欲を満たす旅、酒や若さや恋や、そういうものを求めていたのが、下巻ではファウストは絶世の美女ヘレネを、ホムンクルスは肉体を、メフィストフェレスは魔女を探す旅に変わる。

    それが戦争、海と続く。海を埋め立て、人々が移り住み、生活のために勤勉に生きることではじめて満足できるのだと気づく。人々が美しく生きている瞬間に向かって、あの有名なセリフ、止まれ、お前はいかにも美しい、と言う。

    街にある娯楽も、豊かな歴史も、ありあまる権力よりも、日々の自由と生活が何より素晴らしいという結論からのセリフとは知らなかった。なんか色々あって満足したので、時よ止まれ、汝はいかにも美しい、って言うのかと思っていました。
    素晴らしい終わり方ですねえ。最高!

    ただ、ドラえもんの如く尽くしてきたメフィストが契約を果たせないのはかわいそう、というかご都合主義じゃない?とは思うけれど。悪魔は損ですね。

    でも本当は欲云々より、どちらかというとユリイカのインタビューで見た、ファムファタールの否定、というのを思い出してしまった。
    男の失敗の原因を押し付けられる、責任転嫁される魔性の女、の否定。
    これも男性に虐げられる女性像のひとつなんだなって。
    性別に関わらず、自分の行動に責任をもつことをそろそろちゃんと教えるべきだと思う。

    これもユリイカの感想ですが、マイノリティへの共感は大きな声で言えるけれど、男社会への否定は怖くて言えない、それが2023年なのかなと。

    より危ないことをしたやつが、より楽をしていい思いをしたやつが、より女の子をモノ扱いしたやつが勝ちという社会。
    男の人もそこから落ちないように必死で誰も彼も辛い。

    そういえば昔、はたちそこそこの男の子が、地元の友達は女の子をモノ扱いする奴らばかりでくそだ、って言っていて、この子若いのにすごい、世の中見えてると思ったことを思い出しました。
    最近フェミニスト的感想ばかりになってしまう。人権に興味があるのかもしれない。

    それよりファウスト。
    ヘレネはいつ会っても何考えてるかわからない。オデュッセイアでも騙されてトロイアに連れて行かれたのです、どうかしていましたなんて言っていたり。一方でパリスと新婚旅行楽しんでからトロイアへ行ったなんて説もあったり。本当はキモいおっさんの夫より若く美しいパリスのほうがいいとも解釈できるし。

    クリュタイムネストラみたいに間男して夫を殺すくらいの行動はとらない。これならまだ、娘を生贄にされたことで恨んでいたとか感情が見えるのに。これ誰の説?阿刀田高だっけ。

    ヘレネ自身はほとんどモノみたい。
    だから、というかファムファタールを否定しておいてあれですが、ナオミはパリスが迎えに来ないと知って、キモいおっさんと生きていくしかないと腹を括って、強く美しく責任ある大人になったのかなあなんて。痴人の愛を考え直してみました。

    あてずっぽうで書きます。
    ヘレネたちと3人で1つ、の話は三位一体を連想させられたので、キリスト教世界へ戻ることを示唆しているのかなと。
    戦争は教皇派と皇帝派の争いであり、破門といえばフリードリヒ2世?(まだ読んでません)。
    上巻で、設定は15世紀のはずなのに16世紀の話がでてくる、という解説があったので全然違いますね。
    しっかりめの解説も読んでみたいような気がする。けれどそこまでは大変な気もする。
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    投稿日:2023.11.16

  • 天須次郎

    天須次郎

    読んだ本 ファウスト(二) ゲーテ 20230416

     本読んだ後に、ネットであらすじを探すのは初めてですね。
     この第二幕(二巻)は、ゲーテの死後に発表されたものらしく、一般的なファウストなるものは、第一幕(一巻)のことらしいです(間違えてたらご免)。
     第二幕は、よりストーリー外の描写が長く、ギリシャの神様や戦争中の皇帝(こっちはストーリー内か)が長々と描かれていて、その中で物語と言えるのは極々簡単なもので、それが埋もれて見失ってしまうって感じです。
     手塚治虫も漫画化している名作ってことですが、確かに悪魔のメフィストーフェレス、人造人間(魂?)のホムンクルスとか、創造力は素晴らしいものがあるかも。
     戯曲なので、読み易いですが、わかりづらいです。
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    投稿日:2023.04.16

  • yone97

    yone97

    この本は難解で言いたいことがよく分からなかった。何故最後に天上高く昇っていくのだろうか?ところどころギリシャ神話の神が出てくるのでキリスト教とギリシャ神話の理解が前提になっているのだろうか?

    投稿日:2021.09.11

  • いしか

    いしか

    【始】第一幕 優雅な土地
    ファウスト、花の咲く草地に、疲れて不安な身を横たえ、眠ろうとつとめている。
    薄暮。漂い動く妖精の群、優しい小さなすがた。

    アーリエル(アイオロスの竪琴の伴奏でうたう)
    花々が春の雨のようにすべてのものの上に漂い落ち、野の緑の祝福が地上の子らの上に輝くと、小さな妖精の広やかな心は、救うことのできる人のもとへと急ぐ。

    【終】
    神秘の合唱 
    すべての移ろいゆくものは、永遠なるものの比喩にすぎず。
    かつて満たされざりしもの、今ここに満たさる。
    名状すべからざるもの、ここに遂げられたり。
    永遠にして女性的なるもの、われらを牽きて昇らしむ。


    第一部より神話の話がかなり多くなってきて、あまり理解はできなかったけど雰囲気は楽しめた。 
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    投稿日:2021.02.14

  • ukaiya

    ukaiya

    ゲーテが生きた時代への風刺など、
    理解できたとは言えないが、
    壮大な物語の構造、巧みなセリフ回し、
    時折、挟まれる深遠な詞章、
    時代を越えて読み継がれるのも
    わかる名作。10年後、読み返したい。

    投稿日:2020.04.29

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