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司馬遼太郎 / 中央公論新社 (71件のレビュー)
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nakaizawa
「空海の風景(上)」司馬遼太郎著、中公文庫、1994.03.10 371p¥720C1193(2024.01.19読了)(2024.01.15拝借)(2002.01.30/16刷) 文庫版の初版は19…78.01.10で1994.03.10改版です。単行本は、1975.10刊行です。 空海、密教について辞書には、以下のように書いてあります。 【空海】(774-835) 平安初期の僧。日本の真言宗の開祖。諡号、弘法大師。讃岐の人。804 年最澄らとともに入唐し、長安の青竜寺恵果に学ぶ。806 年帰朝して高野山金剛峰寺を開く。嵯峨天皇より東寺(教王護国寺)を賜り、その翌年には大僧都に任ぜられた。日本最初の庶民学校である綜芸種智院を設立。書にすぐれ三筆の一人にあげられ、「風信帖」などの名品がある。また、詩文にも秀でた。後世、広く庶民信仰の対象として尊ばれた。著「三教指帰」「十住心論」「弁顕密二教論」「性霊集」「文鏡秘府論」「篆隷万象名義」ほか。 [ 大辞林 提供: 三省堂 ] 【密教】大日如来を本尊とする深遠秘密の教え。加持・祈祷を重んじる。7、8世紀ごろインドで起こり、唐代に中国に伝わり、日本には平安初期に空海・最澄によって伝えられ、貴族などに広く信仰された。空海の真言宗系を東密、最澄の天台宗系を台密とよぶ。 [ 大辞泉 提供: JapanKnowledge ] 密教というのは、仏教ではないというか、お釈迦様の教えではないんですね。知りませんでした。 この本は、小説というよりは、随筆というか、随想という感じですね。空海について生まれてから勉強して、修行して、唐に渡って日本で勉強したけど、よくわからいところがあるので確かめたい、といったあたりのことを、あんなことを考えたのだろうか、こんなことを考えたのだろうか、あの人とこんな会話をしたのだろうか、と思いを巡らせたことを書いています。 【目次】 空海の風景 一~十五 ●「三教指帰」(58頁) 演劇的構成でもって『三教指帰』を書くことによって、かれが大学で学ばされている儒教と道鏡と仏教の三者の優劣を比較し、結論として仏教のほうが他の二者よりはるかにすぐれているということをひき出すのである。 ●思想家(166頁) 思想家は本来、天の一角から思わざる思想を啓示されて誕生するのではなく、かれの思想を触発したものが何であれ、やがてかれが生むにいたるその思想は、かれの生まれながらのものの中に蔵されていると見たほうが自然でいい。空海は生命や煩悩をありのまま肯定したい体質の人間だったにちがいない。 (「煩悩も菩薩の位であり、性欲も菩薩の位である」) ●日本の船はあぶない(199頁) 朝鮮半島ではすでに中国式の造船法と航海術が定着していたにもかかわらず、四囲海洋にとりかこまれた日本にその技術が薄くしか入っていなかったということはふしぎというほかない。 ●逆風の季節に航海(237頁) 夏には風は唐から日本へ吹いている。が、五島から東シナ海航路をとる遣唐使船は、六、七月という真夏をえらぶ。わざわざ逆風の季節をえらぶのである。この当時の日本の遠洋航海術は幼稚という以上に、無知であった。 ☆積読中 「空海入唐記」前嶋信次著、誠光堂新光社、1983.11.25 「空海」上山春平著、朝日選書、1992.10.25 「徳一と最澄」高橋富雄著、中公新書、1990.06.25 ☆関連図書(既読) 「空海の思想について」梅原猛著、講談社学術文庫、1980.01.10 「司馬遼太郎の風景(1)」街道を行くプロジェクト、日本放送出版協会、1997.10.25 「司馬遼太郎の風景(2)」街道を行くプロジェクト、日本放送出版協会、1998.01.25 「司馬遼太郎の風景(3)」街道を行くプロジェクト、日本放送出版協会、1998.04.25 「司馬遼太郎の風景(4)」街道を行くプロジェクト、日本放送出版協会、1998.07.25 「司馬遼太郎の風景(5)」街道を行くプロジェクト、日本放送出版協会、1998.12.25 「司馬遼太郎の風景(6)」街道を行くプロジェクト、日本放送出版協会、1999.03.25 「司馬遼太郎の風景(7)」街道を行くプロジェクト、日本放送出版協会、1999.05.25 「司馬遼太郎の風景(8)」街道を行くプロジェクト、日本放送出版協会、1999.07.25 「司馬遼太郎の風景(9)」街道を行くプロジェクト、日本放送出版協会、1999.11.25 「司馬遼太郎の風景(10)」街道を行くプロジェクト、日本放送出版協会、2000.07.30 「司馬遼太郎の風景(11)」街道を行くプロジェクト、日本放送出版協会、2000.09.30 (「BOOK」データベースより)amazon 平安の巨人空海の思想と生涯、その時代風景を照射して、日本が生んだ最初の人類普遍の天才の実像に迫る。構想十余年、著者積年のテーマに挑む司馬文学の記念碑的大作。昭和五十年度芸術院恩賜賞受賞。続きを読む
投稿日:2024.02.02
なおき
このレビューはネタバレを含みます
空海の幼少期から唐に入り密教を授かるため恵果を訪問するまで書かれています。空海の風景という題名の通り、空海が見た風景、あるいは空海を写した風景を司馬遼太郎の考察を多分に含み表現しています。小説というよりは考察文に近い印象を受けるほどです。10代で三教指帰を書く天才性(しかも仏教の優れさを戯曲で表すという発想性)、唐に入った後の地方役員に上奏した漢文の見事さなどが伝わってきます。また仏教にただ詳しいだけでなく社会を渡り歩く機微も持ち合わせており、本当に杞憂な人物だなと思います。空海についてもよく分かり面白いのですが、遣唐使の航海の厳しさや唐の長安の先進性(人種差別がなく、多様な人種を受け入れ、宗教でさえ様々な宗教が保護されていた)や街路樹を植えていたなどの街造りとしての先進性もあったことに驚きと魅力を感じました。改めて司馬遼太郎の造詣の深さを感じることができる本です。
投稿日:2024.01.19
MY
司馬遼太郎の本は久しぶり。梅原猛の「空海と最澄」を読み、空海に興味を持った。下巻にはまさに空海の全盛期が出てくるので今から楽しみ。そのイントロ的上巻として実に面白かった。
投稿日:2024.01.06
Mkengar
完全な小説でもなくノンフィクションのドキュメンタリーでもないという難しいスタイルにもかかわらず、とても引き込まれました。本書を通じて題名通り空海がどういう人物であったか、空海がどういう風景を見ていたか…ということで、司馬遼太郎氏の執念のようなものを感じました。かすかな手がかりでさえ用いて空海がどういう人物であったのか、どのような人物に囲まれていたのかということで、司馬遼太郎氏の想像力の世界を通じてですが、空海の深奥な世界に引き込まれました。一気に読めます。続きを読む
投稿日:2023.04.27
Teddy
日中合作の映画『空海 KU-KAI』が公開された時に、関連図書ってことで平積みになっていた時に手に取って以来の積読。一応中国も絡んでいるんだよなと思い出して取り出して読了。 一応、うちの檀家の寺は真言…宗。善通寺にもお参りしたこともあるくらいなので、弘法大師さまの思想と生涯を知る。 いつも通りの司馬遼太郎節。小説というよりは、今ここにいる司馬遼太郎が空海の伝記の講釈をしているって感じ。 空海も行った白馬寺に俺も行ったんだと思ったり、もう一度長安=今の西安に行きたいなとも思ったり。 さっさと下巻も読みたいと思います。続きを読む
投稿日:2023.02.19
のえる
難しい言葉もあったが、Kindleで検索しながら読了。香川旅行に行った直後に読み始め、最初の香川の情景の文章だけで胸が高鳴った。
投稿日:2023.01.21
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