【感想】赤猫異聞(新潮文庫)

浅田次郎 / 新潮文庫
(34件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
5
17
6
1
0
  • 複数人の語りで描く『解き放ち』の多面性と、衝撃の結末

    相変わらず面白かったですが、浅田次郎作品の中でもこのプロットの面白さは出色の出来。長い江戸時代が終わって、開明な世の中に移る直前の、まさにどさくさ紛れのストーリー。浅田次郎ファンなら必読!

    投稿日:2015.09.15

ブクログレビュー

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  • ibarakimaru

    ibarakimaru

    面白く無い訳が無いという舞台設定と侠気溢れる男女の物語からグイグイ引き込まれてしまいます。
    時は明治元年の年の瀬。
    江戸の町を襲った大火事の迫る伝馬町牢屋敷から解き放ちとなった訳ありの重罪人三人。
    打打ちの信州無宿繁松、旗本の倅岩瀬七之丞、夜鷹の元締め白魚のお仙。
    牢屋同心の「三人のうち一人でも戻らなければ戻った者も死罪、三人とも戻れば全員が無罪」の言葉を胸に、一時、自由の身となった三人は戻って来るのか?
    幕末から明治へ、激動の時代を生きた人々の不思議な物語です。
    死罪を含む重い刑を申し渡された罪人3人だが、「赤猫」(火事による一旦放免)という逃走機会を得ながら、紆余曲折ありはするものの逃げずに指定の刻限までに戻るという義侠心や義理人情が心を熱くする。
    一方で彼らの罪の源となった恨みを一身に背負い弱きを助け強きを挫く牢役人。
    ネタバレになるので多くは語れないが、胸をすく浅田節が炸裂し読了後にスッキリします。
    あと、当時の罪人、牢屋の仕組み、役人、武士の役割や実体、明治政府発足後のバタバタなど、非常にわかりやすく紹介され教養が高まりました。
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    投稿日:2024.06.14

  • kyi

    kyi

    博奕と人生の違いは、神に恃むかてめえの力でどうにかするかってことさ

    次郎兄ィにしか書けないストーリーとセリフの数々、本当に心に沁みる。
    ありがとうございます✨

    投稿日:2024.04.25

  • memo

    memo

    明治元年、御一新直後の東京で大火が出た/ 小伝馬町の牢屋敷は囚人を解き放ち、消火後の帰参を待つ/ そこにおいそれと放てない事情を抱えた三人/ 親分に売られ身代わりに収監された深川一帯の大博徒、大政奉還後も官軍を斬って回った辻斬りの旗本次男、奉行所の悪事を知り尽くした夜鷹の元締め/ 珍妃の井戸よろしく浅田次郎らしいインタビュー形式/ 徐々に明らかになっていく火事のあと幾晩かの出来事/ めちゃくちゃ面白いし、東京に住むものとして東東京の当時の状況が非常に興味深い/ 合羽橋が新堀川の暗渠だなんて知らなかったし、浅草寺の東側が火除け地で飲食店は勝手に出されてあたりが繁華になったなんてのも知らなかった/ まったくもって個人的にだが、夜鷹の姉さんの証言を最後に持ってきた方が良いのではないか/ 最初にあるから以後語られる事件の犯人が分かってしまう/ 続きを読む

    投稿日:2023.07.05

  • びん

    びん

    死罪を含む重い刑を申し渡された罪人3人が、「赤猫」という逃走の絶好の機会を得ながら、紆余曲折ありはするものの逃げずに指定の刻限までに戻るという身を捨てた義侠心や義理人情が心を熱くする。 一方で彼らの罪の源となった恨みを一身に背負い、弱きを助け強きを挫くごとき牢役人に心を強く揺さぶられた。 浅田さんに、また泣かされちゃった。この本も再読本だなぁ〜。(o^^o)v続きを読む

    投稿日:2023.04.29

  • 元気で良く寝る

    元気で良く寝る

    このレビューはネタバレを含みます

    久しぶりに読み直しました。
    昔読んだ時より、お仙の「こんな命の瀬戸際に〜やさしく労ってくれる男達を見せてくれた」がなんか沁みた
    今まで別嬪が度を過ぎたばかりに被ってきた仕打ちやそんな中どんな気持ちで生き抜いてきたのかを、少し世の中が見えた今だからこそ想像してしまったからかも(十人並みの自分では、美人がゆえに辛い目に遭わされることもあるなんて若い頃は気づけなかったので)
    中尾、お仙、繁松、七之丞と来てページ数的にも最後の語り手だな、和尚さんでこの歳ならあの人か、無事で良かった と思いつつ読み進めての杉浦かー!!
    そして杉浦の口から語られる丸山…正直、個人的に浅田次郎作品でよくある度の過ぎた献身的なのがちょっと苦手ではあるけど、まぁそうなったか…という感じでした
    丸山の思いの分三人には幸せになってほしいという気持ちと、いや丸山も普通に生きてて欲しかったわという気持ち 杉浦にとんでもないものを背負わせていったな丸山

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    投稿日:2023.03.12

  • カレン

    カレン

    火事と喧嘩は江戸の花、と言われたのは昔。
    時は明治。とはいえ最後の将軍はとうに大政奉還されているのに、新政府の機能は整わないまま、何もかも以前と変わらぬまま物事が動いていた宙ぶらりんな時代の話。
    牢人を収監する牢屋敷も多分に漏れず、急な沙汰で一人の罪人が今まさに斬首されようというその時、遠くで半鐘が鳴り響いた。
    すぐさま執行は取りやめ、解き放ちの相談が始まる。
    その昔、火事が出ると、罪人といえども牢内で焼け死ぬのは忍びないと、一時解き放ち、という決まりがあり、鎮火の後は決められた場所に必ず戻ることとして、全員解放された。戻れば一段階、罪の軽減、戻らなければ捜して死刑。
    まぁ今考えればずいぶんとのんびりした話であるが、当時はほとんどが言いつけ通りに戻ったというのだ。
    情けには情けで答えるということか。
    さて、この牢屋敷には先ほど刑が取りやめになった者の他に、後二人、重罪人が収監されており、この三人の処置を巡り役人たちの議論が繰り広げられる。
    結果、いくつかの条件付きで異例の解き放ちとなった。
    三人三様事情を抱え、目的を果たすべく向かった先には・・・何とも奇怪な事態が待ち受けていた。
    その謎解きは、後年関係者に対する聞き取り調査で明らかにされる。
    驚愕の真実。
    理不尽な仕打ちを受けても、腐らず真っ当に過ごしていたらお天道様は見ていてくださる、ということか。
    ちょっとほろりとして、胸のすくミステリーだ。
    続きを読む

    投稿日:2022.03.09

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