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ジーン・ポーター, 村岡花子 / 河出文庫 (9件のレビュー)
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ばななサンド
赤毛のアンの翻訳者、村岡花子の名訳が光る作品。赤毛のアンが大好きなので、すっかりはまってしまった。 ストーリーもさることながら、リンバロストの森の自然の表現が素晴らしい。また、蛾の羽化の様子が本当に美…しく描かれている。 主人公エレノアの美しい心とリンバロストの自然に囲まれ、私も浄化された思いがした。 下巻の梨木香歩の解説は、一読の価値あり。続きを読む
投稿日:2024.03.26
ナオ
翻訳者、村岡花子さんと言えば「赤毛のアン」シリーズだが、この物語は知らなかった。グリーンの森と黄色い帝王蛾が描かれた上巻から読み始める。 「骨折り仕事だけで、無知のまま一生を暮らすのはいやだ」リンバ…ロストの美しい森に母と住むエルノラは、町の高等学校へ進学した。 初日に教科書もなくみすぼらしい身なりを笑われた彼女は、授業料がいることを聞き呆然となる。なぜ母は知っていたのに、学校行きに賛成しながらも話してくれなかったのか…。 娘を冷遇する母親にも辛い過去がある。 夜の沼に向かい、溺死した夫を「返せ」と叫ぶ姿は壮絶だ。エルノラに愛情深く接するマギーおばさんとウェスレイおじさんがいて良かったと思う反面、終盤で明かされる"夫の死因"をなぜ本人に言わなかったのだろう…。 「勉強をしたい。できれば大学にも行きたい。」賢く努力家のエルノラは、収集した蛾や繭、インディアンの石器を鳥のおばさんに買ってもらい学費に充てる。 立派に成長したエルノラは、送別式の夜ついに母の仕打ちが許せなくなる。 頑なさを捨てられず、人と張り合いながら自分の正当性ばかりを主張する母親。娘が自分を必要としていないことを知り、初めてエルノラに赦しを乞う気持ちになれたようだ。母と娘の関係はこれからどう変化していくのだろうか。下巻を読むのが楽しみだが、思わぬ展開も待ち受けていそうで怖くなる。 続きを読む
投稿日:2024.02.28
赤木かん子【公式】
◆◆ ベッドでミステリー ◆◆ 第四十二回 ・・・ 第四十二回 「リンバロストの乙女」 ・・・ これはカナダの偉大な(と私は思います)作家兼博物学者であるジーン・ポーターの代表作です。 ジーン・ポ…ーターその人そのものがかなりの女傑だったらしく、150センチくらい、と非常に小柄ながら、12人の子どもを育てながらその家はいついっても気持ちよくかたづき、前触れなしにいっても暖かい食事とお茶が出てきた、とどこかに書いてあったと思います。 その上で彼女は近くにあるリンバロストという沼の生物の研究者で(夫は心配して、沼地に出掛けるときはいつも一緒についてきてくれたそうな……そういう男を捕まえるのも実力かね?(^^))作家で、何冊もベストセラーを書きました。 この本のテーマは児童虐待です。 ヒロインは賢くてしっかりもの。なのにお母さんはことあるごとに彼女をののしり、いじめます。 高校にいく費用も払わない、というので彼女は沼で珍しい蝶を捕まえて町の女学者に売って(モデルはご本人でしょう(^^))学費その他を稼ぎます。 近所の子どものいない老夫婦が可愛がってくれ、服を買ってくれたりお弁当を作ってくれたりして、彼女はなんとか生き延びる……。 えっ? そのどこがミステリー? ですが、それは単なる子どもいじめではなくて、お母さんには娘を苛める理由があった……! それがこの話の下を脈々と流れて支えていて、単なるミーハーなお涙ちょうだい物語ではなくしているのです。 昔から何度も訳されてきてるのですが(いろいろな題名がついてます“森の乙女”とか“なんとかの少女”とか)最初の頃の日本の読者はそこにでてくる見慣れない食べ物に心を奪われてしまって(みんなお腹すいてたんでしょう)物語のそういうとこには目がいかなかったみたいですが……。 (^^) (凄いんだよ。ステーキを“焼き肉”、ポップコーンを“とうもろこしのはぜ菓子”、クラムチャウダーを“貝の煮込み”とかって訳してます) だから読むならこれは完訳で読んでね。 角川から出てます。 続編というわけじゃないんだけど、同じ町を舞台にした、片手のない少年が主人公の「そばかす」というのもあって、それも面白いよ。 2018年12月04日続きを読む
投稿日:2018.12.01
tobenaitonbi
美しい少女のエルノラが高校に入学するところから始まる。 入学する、しかし母はお金は一切出さない。 前半は母との戦いで、母がお金を出さないので自分で稼がないといけない。 エルノラはそんな状況にも負けず、…近所のおじさん、おばさん、鳥のおばさんの協力を得、同級生に囲まれながら成績優秀で卒業する。 前半は赤毛のアンとシンデレラを掛け合わせて割ったみたいと思ってしまう。続きを読む
投稿日:2015.10.25
dollyosaka
このレビューはネタバレを含みます
1909年に出版されたアメリカ小説。女性作家ジーンポーターは生物学者としても優れていたが、この小説は彼女ならではの作品となっている。 (ネタバレ) 主人公エルノアは虫愛ずる姫君。蛾の収集オタク。シングルマザーに育てられるが、その母親が鬼母。愛する夫をなくしたことから立ち直れず、娘を可愛がれない。ドのつくケチで娘にお金を使いたくない。エルノアは高校に行きたいがお金がないので、インデアンの遺跡や蛾の収集でお金を稼いで、けなげに生きる。 最初はボロを纏って髪の毛も洗わず、クラスメイトに軽蔑されていたが、自分で稼いだ金で近所の人に服を縫って貰い、ついにはみんなの人気者に。 沼で溺れかけている夫を助けようとした時に産気づいたらことがきっかけで娘を恨んでいた母親は、夫が浮気をしていたことを知って急に娘に対する態度を改める。そして一緒に虫の収集を手伝うようになる。さらに虫の収集で知り合った金持ちのイケメンと最後はめでたしめでたしとなる。 このストーリーには突っ込みどころがいっぱいある。 美しい主人公は「蛾の収集オタク」。 自然愛好家でナチュラリスト。知識も豊富だ。でも知識をひけらかすし、思ったことをはっきり言う。 次に動物虐待のシーンが時々ある。二匹の猫の足を縛ってぶら下げる子供や、犬にいたーをかぶせて乗る場面など。いたずらっ子にさせるにしては残酷だ。 当時のアメリカ社会や価値観がよくわかって面白い。「ありえない」とわめきながら読むと楽しい。
投稿日:2015.01.11
tsurubami
昔、何かでタイトルを見て読みたくてたまらなかった小説。 いいですよねこの『リンバロストの乙女』って邦題。 イメージ的には表紙のまんまです。 が、可憐な乙女は虫を集めてました…。 そりゃまぁ、日本には『虫愛づる姫君』という超ぶっとんだヒロインが千年前にいましたけどね。 この可憐な乙女はそれをドレスやら教科書代に替えるわけです。 たくましすぎる可憐なヒロイン。 父親の死のせいで、娘に対しひどい仕打ちをする母親。 シンデレラの継母なんか尻尾まいて逃げ出すような行状です。 周囲はそんな母親に怒り乙女をかばいますが、ヒロインは自力で何とかしようと努力を重ねます。 そしてまぁ母親が心を入れ替えるんですけ・ど・ね ちょーまて、手のひら返しすぎじゃないっすか! かーちゃん! いっそすがすがしいまでの愛憎の配分の逆転に口空きました。 面白かったけど……私の憧れはこっぱみじんに砕かれましたとさ
投稿日:2014.12.23
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