【感想】その街の今は

柴崎友香 / 新潮文庫
(66件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
14
21
18
2
3

ブクログレビュー

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  • みどり

    みどり

    大阪が舞台の話なので会話が関西弁で、同じ関西に住んでる私にはすごく自然に頭の中へ入ってくるので、めっちゃ読みやすかった。

    私も去年あたりから自分の住んでる、よく知ってる場所の昔の写真やらYouTubeに転がってる昔の映像やらを見るのにハマったので、主人公の歌ちゃんの気持ちにとても共感した。私は京都で育って今も京都に住んでるから、京都は昔も今もそんなに変わらないことを知って、すごく不思議な気持ちになった。お寺なども変わってないし、見覚えのある建物も沢山あったし、車や人々のファッションなどが違うだけで、ほとんど同じような景色を見ながら現代とそんなに変わらない暮らしをしていたのかなぁ〜って思った。昔から沢山の人が同じ景色を見てきたんだと思うと妙な気持ちにもなる。

    この本自体も平成18年、つまり2006年に発行されたものだから(私は元号より西暦のほうが分かる世代)、またその時と比べて大阪の街並みも変わってるかも。2006年は私もまだピカピカの小学1年生だったので、心斎橋にソニータワーというビルがあったこともこの本を読んで初めて知った。検索してみるとすごくかっこいい姿だった。今はもうとっくに解体されてしまい実物を見れないのがとても残念。読んでると頭の中で懐かしい平成の雰囲気が蘇ってきたのも面白かった。

    最近、京都でも老朽化などであちこちが変わっていく姿を目の当たりにしてちょっぴり寂しい気持ちになってたので、この小説を読んでより何気ない普段の街並みも愛おしく感じたし、私も積極的に写真に残そうと思った。もしかしたら未来の人たちが今の街並みの写真を見て、歌ちゃんや私と同じような気持ちになったりするのかもしれない。
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    投稿日:2024.03.03

  • なんてひだ

    なんてひだ

    日日是好日。上がりも下がりもない 劇的に事件もない 何かが起こって起承転結もない、んー凄く良い感じの柴崎友香さんだった。良太郎とベタベタの飲み会の次の日にお互い酔ってたと言いズバッと闇金と聞く あー友達になるんだろうなと 友人から恋愛の仕方が間違っているのではと疑問を投げかけられ、なるほどと付き合うことを意識すればいいのにせずに ラスト良太郎の家に行きランチの約束をするが、幕ですか、気になる人と何かある訳でもない 嫌な気持ちにならない平坦な気持ちのまま幕でした。これ気になってて取り寄せて読んだ、通ってる本屋にはこういう本を並べて欲しいものだ、本棚減らすとか意味がわからない。悲しいかな本屋がどんどん潰れてないんだよ続きを読む

    投稿日:2024.02.15

  • pinkchou

    pinkchou

    古書店で購入したまま、いわゆる積ん読になってしまっていたが、「千の扉」購入をきっかけに、こちらを思い出して読んだ。
    結果的に、あまり意図していなかったが、「千の扉」と関連する内容でもあり、続けて読むことで面白く読むことができたと思う。
    こちらは大阪の街をめぐる物語であり、端的に著者自身の大阪への愛着のようなものも現れているのではないだろうかとも感じた。
    ただ、私にとってはあまり馴染みのない街であり、具体的な通りや土地の名前からその場所に思いを致すことができず、その点は残念であった。
    また、生まれて以降ずっと住んでいる土地の過去の風景、出会うこともないはずの過去の人たちの暮らし、そうしたものに興味を持つこと自体は、大いにあり得るし私自身面白いと思う。一方で、あえて極端に言えば、それを興味以上の、その人に固有の意味のあるものとして表現することは難しいのではないかと思うし、一読した後に、歌子にとって例えば過去の写真や映像に興味があるということとはどういうことなのかが、私には少し見えづらかったようにも思う。
    その点、「千の扉」では、千歳の人物像にも独特な要素というか、変な表現かもしれないが、同じように過去のことを知ろうとしているのにもその人なりの「理由づけ」があるようにも感じた。
    ただ、本書は全編を通して、万事順調とは言わないまでも、爽やかな調子で物語が進んでいき、読みやすかった。自分の若い時の生活を思い出して、こんな風に暮らしていたこともあったと、大阪に住んだことはないのに、どこか懐かしいとさえ思える作品だった。
    続きを読む

    投稿日:2022.09.12

  • れんこん

    れんこん

    大阪の街を舞台に繰り広げられる日常劇。
    主人公のウタは、街がずっとそこにあるものとして、誰かの生活や、生や死を見つめ、絶えず生まれ変わってゆくものとして歴史を刻んでいくことに、なんとも表現しがたい強い想いを抱く。
    なぜなのかと分析したり、良いとか悪いとか評価したりせず、想いをただそのままに受け入れているところが素敵だと思った。
    続きを読む

    投稿日:2022.06.19

  • ゆりこ

    ゆりこ

    たぶん、私はうたちゃんと同年代で、ミナミをフラフラしてた頃の物語で懐かしいなー、今はもう街の様子がだいぶ変わってしまったけれど、あの頃私も若かったなーと思い出させてくれるお話。

    投稿日:2022.05.05

  • みんみん

    みんみん

    大阪には、昔ながらの素敵な建物がありますね。なんだか、思い出させてもらいました。ゆで卵のこと、にぬきって言ってました(笑) 大丸心斎橋もそごうも耐震で、すっかり建て替わり、でも店内の所々に昔の名残があって。心斎橋もあちこち工事中で「ここ、何やったっけ?」と考えてもわからん。昔の風情はどんどんなくなっているけれど、小説の中では、どこか懐かしみながらの暮らしが続いている。いいなあ。私もゆっくりコーヒー飲みに行きたいわ続きを読む

    投稿日:2021.11.07

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