【感想】日本の風俗嬢

中村淳彦 / 新潮新書
(47件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
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ブクログレビュー

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  • ほんむら

    ほんむら

    風俗嬢はお金がなくなった挙句仕方なくやる仕事というネガティブな印象を持っていたが、今では素養や技術があり選ばれた人だけが続けられる仕事でありポジティブに働く人も多いということを知った。風俗といった性的サービスを対象とした店が営業していくために暴力団にお金を払っていることや、スカウトマンが月9000円の利益しかうまない女性に対して精神的ケア・送り迎え・食事の奢りなどをしなければいけないハードな仕事であることなど、性的サービスに関する仕事が実に大変なものだということを感じた。続きを読む

    投稿日:2022.08.22

  • よっ

    よっ

    後輩に無理やり持たされた一冊。
    持たされたからには読まなくてはということでサラッと読破。

    さて、男性なら高確率でちょっと興味を惹かれる題名。

    その中身はというと、かなり真面目な作品となってます。
    風俗の歴史、現在の実態、今後どうなっていくのか、そしてこの産業の問題をどのように解決してけるのか等々。

    オリンピックが近づくに連れて、やっぱりこの産業が受ける影響は少なくないと予想される中、どのような決定がなされていくのでしょうか。
    色々学んだ今、都合よく体裁を整えることが優先されて、不幸な人が増えるだけの政策は避けて欲しいですね。

    この業界で働く人の意識の変化は結構興味深くて、やはりどの産業もネット普及を堺に想像できないほどの速さで動いていることを再認識させられました。
    もうどの商売も先を見なくなった瞬間に衰退していきますね。

    エロ目当てでは楽しめませんが、純粋にこの業界の実態に興味ある人は一読の価値あり。
    続きを読む

    投稿日:2022.01.06

  • あああら 1646886番目の読書家

    あああら 1646886番目の読書家

    このレビューはネタバレを含みます

    日本の風俗嬢(新潮新書)2014/8/9

    安全な環境下で風俗嬢が働けるようにするべきだ
    2016年2月13日記述

    1972年生まれの団塊ジュニア世代、フリーライターの
    中村淳彦氏による著作。
    中村淳彦は、日本のノンフィクション作家,ノンフィクションライター。
    東京都目黒区生まれ。 明治学院中学校・明治学院東村山高等学校、専修大学経済学部卒業。
    編集プロダクション、出版社を経て、フリーライターとなる。

    本の題名にあるように風俗嬢の労働、その実態、1990年代と比較した現在の性風俗の状況について解説している。

    性風俗というのは重要な問題ではある。しかし普段のニュース、新聞でも報道される機会は少なく、実態が殆ど知られていない。
    ドキュメンタリーもやはり地上波では報道しにくいのかこういったテーマを見る機会はまず無い。
    その意味で本書は貴重である。

    本書のP35より警察白書から風俗店の数を推測している。
    それによるとずばり1万3千店はあるのだそうだ。
    (セブン-イレブンが1万6千店 マクドナルドが約3300店 スターバックスが約1000店)

    暴力団からの嫌がらせ(空指名による営業妨害)を回避する為にみかじめ料を払ったりというのは現在も続いている。

    月100万円以上稼ぐような嬢は相変わらず存在するが
    全体で見ると収入減となっている。
    それにも関わらず、応募者は増えている。
    女性のレベルが90年代と比べると上がっている。
    現在は裸になると決意しても誰でも風俗嬢になれる時代ではない。
    ⇒これには驚いた。青木雄二氏の描いたナニワ金融道の世界はやはりもう過去のものなのだ。

    地方出身、一人暮らし、親の仕送りに頼れないような女子大学生が風俗で働いているケースの紹介には驚いた。
    また学費が昔より上がっていること。地方経済の衰退、
    日本人の所得が若い世代ほど昇給出来ていない現実を考えると納得感もあった。
    むしろ本書で登場した女子学生はまだ一部だろうが、増えてしまう可能性も高い。
    今の20~30代で大学に進学させる学費をまともに賄える人がどれだけいるだろう。
    本書で反響があったのか著者もこの部分を更に調べて本を出しているようだ。

    介護職からの風俗への転職が多いというのも驚いた。著者の言うように低収入で仕事内容的に親和性、共通項があるという指摘には納得できる。
    ⇒共通項(一対一の会話や肉体を使ったサービス、相手が高齢者から男性限定に変わるだけ)
    男性客が求める明るさ、コミュニケーション能力の高さ、気がきく、優しさ等は介護職員に求められる適性と一致する。

    本書最終部分では性風俗は社会にとって必要であり、あることを前提に現実的な議論、安全な環境下で風俗嬢が働けるようにするべきという指摘はその通りである。
    その取り組みとしてNPOの働きを紹介している。
    ホワイトハンズ
    Grow As People
    SWASH

    著者も指摘するように高収入が得れる可能性が無い女性は風俗ではなく別の道を探すべきであるという指摘も納得だ。
    ただ今の性風俗がそういった容姿がそこまで優れないプア層の女性のセーフティネットになっておらず社会問題化している事も踏まえた対策が求められる。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2021.12.15

  • midnightwakeupper

    midnightwakeupper

    1999年店舗の新設が不許可になるとともにデリヘル(無店舗派遣型)が合法とされた。インターネット普及で細分化欲求に応じる“買い”だけでなく“売り”も障壁が下がり、現在では著者の推計では30万人、志望者も同数程度で志望超過、容姿接客技術淘汰らしい。介護士が過酷労働と低賃金で人手不足になっているのと真逆。触れ合い的サービスで共通することもあり後者からの流入は不可避。また江戸という女不足都市時代からの伝統もあろう。明治維新で肉食、僧侶妻帯などをすぐに受け容れたように絶対倫理のない日本。せめて外人売は排除したい続きを読む

    投稿日:2021.09.14

  • show5

    show5

    コロナ前の性風俗業界は既に壊滅的と言い得る状態だったようだ。もはや、店も風俗嬢も簡単に儲かる商売ではなくなっている。貧困女性のセーフティネットとしての機能は死んだ。参入規制がなくなり、競合が急激に増えて、価格相場が下がり、全体の平均利益は激減しつつ、内部で二極化する。我が業界の話を聞いてるようだ。どこの業界も同じだなとつくづく思う。自由競争が生むのはほぼ全員に近い敗者と一握りの勝者であり、最終的には独占に行き着く。最も深刻なのは中間層が存在しな得なくなることだ。そこそこの値段でそこそこのサービスを提供してそこそこの利益を出し続けることができない。経営者も風俗嬢も同様に。これでコロナが来たわけだから、今はどうなっているのか。資本力のある会社の寡占が進んでいるのではなかろうか。全国的な業界地図があればぜひ確認してみたい。おそらく、筆者も指摘するように、日本の風俗嬢の一部は今後海外市場に活路を見出すだろう。ビザの問題はさておき、売春自体が合法な国でクリーンに売春ビジネスに身を投じた方が安全で儲かると思う。最後に、ホワイトハンズとGAPの代表にもインタビューしており、この辺時代を感じる。いつもながら、前者の青臭い法律論と後者の徹底的な現実主義の対比がとても鮮やかである。やはりホワイトハンズとは組めないなぁ。続きを読む

    投稿日:2021.04.11

  • rokkosanjin

    rokkosanjin

    風俗ライターを皮切りに貧困・介護・超高齢社会などをテーマに社会に斬り込むフリーライターが、 ホテヘル・デリヘル・ピンクサロンなどの表風俗から「ちょんの間」・「本サロ」・そして「大陸系デリ」と呼ばれる裏風俗まで、その実態を追いながらそこで働く女性たちをレポートする。経済的な理由で「泣く泣く」風俗に身を落としたと言われたのは戦後からバブル崩壊の1990年頃までで、今ではごく普通の一般女性が明るく「ポジティブ」に働く世界であり、高学歴・高スペックのいわゆる「勝ち組」の女性も少なくない。現代日本の風俗嬢たちのリアルがそこにある。続きを読む

    投稿日:2020.12.12

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