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木村友祐 / 新潮社 (4件のレビュー)
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yama40
八戸市出身の若手作家(1970(昭和45)年生まれの46歳)木村友祐氏の最新作を読んだ。最近地元紙のデーリー東北にも、前々作の2012年(第25回三島由紀夫文学賞の候補となった)「イサの氾濫」と共に…紹介されていたので、それに続けて読んでみた。(2009年には「海猫ツリーハウス」(既読)で「第33回すばる文学賞」を受賞している。)オビには「震災後文学で最高の一冊」と書いてある。そんなに素晴らしいなら地元贔屓の自分としても読まずばなるまい。 理系でも土木屋の自分は、いきなりタイトルでつまずいた。『聖地』は知っていても『Cs』がわからない。放送大学でも「化学入門」をとったが、どうも頭に残っていないらしい。そこで何時も頼りにしているカシオEX-wordを検索してみた。状況的に「セシウム」しかないのだが、そうだとハッキリ言ってくれる辞書がない。著者もはっきりとは書いていない。 「あらゆるものに『見えないもの』が付着しているのです。土Cs、草Cs、木Cs、水Cs、空気Cs、そして─、私Cs。」 渋谷で聞いた、昔60年安保闘争で活躍したと自負するここの牧場主仙道のアジ演説に煽られて、専業主婦しかしたことのない広美がボランティアにやってくる。最初のうちは牛たちの糞尿の多さと重さに辟易するが、演説やドキュメンタリーで見たり聞いたりした牛たちに出会うと、それでもまた愛情が湧いてきて、やがて牛たちに感情移入している自分に気付く。無収入の自分が、自宅にいて夫の虐待から逃れられずにいたのに、たった3日間のボランティアだった、最終的には自立しようとする自分の方向性をはっきりと見出すことが出来たようだ。 牛たちも世話人たちも、皆被曝しながら被曝したものを食っているが、かといってこれらに代わる物はそこにはない。線量計は常に「ピピッ、ピピッ」とスピードを変えながら鳴り続けるが、やがて気にならなくなる。 著者は最後に「本作品は、実在の場所と人物を参考としていますが、フィクションです。」と断り書きをしているが、ではどこまでがフィクションなのかと思うと、背筋が寒くなる思いだ。3.11から既に5年が過ぎたが、未だ (に帰還困難地域が存在し、作品の中に出てくるような家畜やペットの類が、人気のない町をウロウロしているかもしれないと思うと、やりきれないものがある。 こういう作品を発表出来る実力派の若手作家が八戸から出ていることに、誇らしいものを感じる。しかもいろんな文学賞の候補になっているのだから尚更だ。次はぜひ芥川賞を目指して欲しい。続きを読む
投稿日:2016.04.01
本屋のおっさん
ブンガクなんだろう。きっと。 かなりストレートにボワンとしたゴワンとしたものを放り投げてくる。 読み易くすいすい読めるけど、時々立ち止まって「ナニナニ?」と反芻する。 想像以上に入りやすく、想像以上…に色々思い巡らした。続きを読む
投稿日:2014.10.16
bukkubuku
このレビューはネタバレを含みます
なぜか励まされた。いまのタイミングで読めて良かった。まだ終わってない原発問題。改めて自分は何にも知らないのだ なぁと思う。 猫の描写が詳しい。知らない猫の仕草が沢山書かれてあって猫好きになっちゃいそうだ。
投稿日:2014.10.15
柴犬ミミ
最近の世相を反映させると、原発問題と、非正規雇用になるのかな。この本の2つの物語もそう。それを暗い感じで扱っているから、チョット重い。
投稿日:2014.10.01
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