【感想】ソロモンの指環 動物行動学入門

コンラート・ローレンツ, 日高敏隆 / ハヤカワ文庫NF
(99件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
37
25
14
5
0

ブクログレビュー

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  • jerico

    jerico

    エクストリーム系動物行動学者ともいうべき著者による、愛を持って動物生態を観察した記録をユーモアとともに綴った一冊。
    突き抜ける人はやっぱり凄い。
    家族や後お近所の人も大変だろうけども。。。

    投稿日:2025.05.02

  • esoterica

    esoterica

    著者のローレンツは、自宅で数多くの動物たちと暮らしながら研究を続けた市井の科学者。たとえば、シチメンチョウの求愛行動の観察から、彼らが人間の長靴に恋をしてしまう可能性まで発見します。

    見慣れた家禽が突然、首を伸ばし羽を広げ、まるでダンスのような動きを披露する様子は、思わず目を見張るような驚きです。さらに著者は、カラスの仲間であるミヤマガラスの知性を観察し、彼らが複雑な社会を築き、個体間で養子縁組までする事実を明らかにしました。

    また、ハゲワシの群れの中に見られる「偽の威嚇」の仕組みも興味深い発見の一つです。

    食事の時に見せる誇張された威嚇行動が、実は群れの秩序を保つための儀式的な振る舞いだったという解釈は、動物の社会にも人間顔負けの洗練された掟が存在することを教えてくれます。

    著者の文章は、科学者らしい正確さを保ちながらも、まるで動物たちとの思い出を語るような温かみがあります。時には失敗談も交えながら、魚の配偶行動を観察しようとして池に転落してしまった話など、ユーモアを含んだエピソードも随所に織り込まれています。

    この本を読んでから、身近な動物たちの行動がまったく違って見えるようになりまし
    た。例えば、犬が飼い主に見せる「罪悪感」の表情が、実は狼の群れの中で見られる「服従」の仕草から進化したものだと知り、愛犬との関係も新たな視点で見つめ直すことができました。

    伝説の王ソロモンは動物たちと話ができたといいます。著者のローレンツも、長年の観察と愛情を通じて、動物たちの行動の意味を一つ一つ解き明かしていきました。この本は、私たちの周りにいる生き物たちの行動が、進化の過程で獲得された精緻な意味を持つことを教えてくれます。動物が好きな人はもちろん、生命の不思議に興味がある人、自然との関わり方を考えたい人にとって、新しい発見に満ちた一冊になるはずです。
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    投稿日:2024.11.22

  • Rico

    Rico

    齋藤孝さんの新書でお勧めされていたので読みました。
    いろんな動物と博士のエピソードがメインで、読みやすくとても癒される。
    人間という動物に対しての鋭い考察も最後にあります。
    登場する動物をYouTubeで実際に見ながら楽しく読みました。続きを読む

    投稿日:2024.09.19

  • おがちゃん

    おがちゃん

     興味深い本でした。わたしが読んだ本は,1976年発行の単行本。
     ずっと前に古本屋から購入して本棚にあったのだけれども,やっと読んでみた。
     ローレンツのこの本は,大学で学んだ教育心理学の時に知った著作なので,出会いはずいぶんと古い(40年以上前)。「動物行動学」「比較行動学」という学問を世に知らしめた人といえるかな。有名なひな鳥の刷り込み理論のもとになった実験など,貴重な話を読むことができる。
     訳者の日高敏隆氏は,「訳者あとがき」で「ローレンツのこったドイツ語には,かなり頭をかかえたこともある」と書かれているが,翻訳ものにしてはたいへん読みやすくて,ここに取り上げられている動物たちとローレンスとのかかわりが手に取るようにわかる。
     いやー,わたしも動物を飼うのが好きなんだなあって思えたわ。アクアリウムもゴールデンハムスターもマヒワもインコも買ったことあるしね。さらに,ずっと犬も飼っているし。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.24

  • オサム

    オサム

    非常にユーモアのある、動物に関する本だ。本書は、動物行動学をつくりあげてノーベル賞を受賞したコンラート・ローレンツ氏によって書かれた。
    もっとも有名でおもしろい例は、鳥類の刷りこみだろう。通常、人間を含むほとんどの哺乳類では、性的な愛の対象は遺伝に刻まれており、しかるべき時になれば適切な対象に気づく。しかし、鳥ではまったく違っている。ヒナのときから1羽だけで育てられ、同じ種類の仲間をまったくみたことのない鳥は、自分がどの種類に属しているかをまったく知らない。すなわち、彼らの社会的衝動も性的な愛情も、彼らのごく幼い、刷りこみ可能な時期をともに過ごした動物に向けられてしまう。ニワトリとともに育てたメスのガチョウは、オスのニワトリに夢中で、オスのガチョウの求愛など見向きもしない。ある動物園で巨大なゾウガメの部屋で育てたれたクジャクは、ゾウガメにばかり求愛し、メスクジャクの魅力には盲目になってしまった。著者の家庭で飼っていたカラスは、世話をしていたメイドに恋をした。
    動物の世界には私たちの知らない、おもしろい話がまだまだたくさんあることを教えてくれる良書だ。知的な中高生にぜひ勧めたい。
    続きを読む

    投稿日:2023.10.20

  • 正岡

    正岡

    筆者の動物愛がものすごく、本に収録されているエピソードが全て面白い。
    古い本のため現在の生物学的に間違った記述も結構あるようで、注意が必要。

    投稿日:2023.09.21

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