【感想】人体の物語 解剖学から見たヒトの不思議

ヒュー・オールダシー=ウィリアムズ, 松井信彦 / 単行本
(2件のレビュー)

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  • Flooding Throne

    Flooding Throne

    17世紀の人体解剖は劇場で見物料を取って行われたという(そういえば、手術室のことを英語で "operating theater" と言うのだった)。MRIやらCTスキャンに慣れてしまった身からすれば忘れがちなことだが、自分の皮膚の内側の様子を伺うことに伴う興奮は、当時の人々でなくとも見世物として機能するに充分だということだろう。「我々は自分の体の内部を実はよく知らない」と言う当然の事実を、本書は改めて再認識させてくれる。薀蓄満載の本書だが、やや口調が衒学的でのめり込むことが出来なかった。続きを読む

    投稿日:2015.04.19

  • michy110

    michy110

    日本経済新聞社


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    人体の物語 H・A=ウィリアムズ著 身体と向き合った文化の歩み
    2014/10/19付日本経済新聞 朝刊

     実体が完全には分かっていない人間の身体は、いまでも「小宇宙」などと称される。科学ライターのかたわら博物館の展示企画も手がける著者が、ルネサンス以降の絵画や文学作品を引き合いに、身体に向き合ってきた人間の歴史をつづる。日常的な言葉によるユーモラスな語り口で、素朴な疑問を取り上げていく。







     16世紀の宗教改革や技術革新を背景に、欧州で本格的な解剖学が始動。人体解剖は当時、ショーとして執り行われた。「解剖劇場」の文字が刻まれた建造物も現存しているという。入場料は演劇よりも高額で、音楽が奏でられ、料理やワインを楽しみながら見物したというから驚きだ。


     閉ざされていた人体への関心が一気に噴き出し、医学の進歩だけでなく文化面での受容も進んでいく。「シェイクスピアが作家として活動していた頃、人体に対する私たちの理解の進展が重大な局面を迎えていた」。例えば「ヴェニスの商人」では「肉」を巡るやりとりが見せ場となり、「マクベス」では「血」がストーリーをつないでいる。


     「鼻を利かせる」「神経に障る」といった身体にかかわる慣用表現が言語を超えて通用する例や、心臓を表すハートマークが成立した経緯なども詳述。硬軟織り交ぜた豊富なエピソードで解剖学と文化の歩みを満喫できる。松井信彦訳。(早川書房・2600円)


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    投稿日:2014.10.19

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