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大江健三郎 / 新潮文庫 (26件のレビュー)
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総合評価:
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マサ
同時代ゲーム読了。いやー時間かかった。 この難解な一見訳の分からない、作者の物凄い創造力に満たされた文章を読破できたことは、今後の読書にも自信をもてる。 あまりにも奇怪な登場人物にクスッと笑ってしまう…が、あまりにも文学的なので笑っちゃっていいものか悩んだ。 面白いか面白くないかでは表現できない、混沌とした小説だったので自分としては高評価だった。 なにしろ、長時間よく読破できた。でも不思議と途中で挫折しようとは思わなかった。それは大江さんの脳内に少しでも入りたいと思ったからかも知れない。続きを読む
投稿日:2024.02.02
masudahidehiko
以前1/3くらいで挫折。今回も1年くらいかかった。これまでのいきさつと作者の現状の説明と故郷の歴史とのない交ぜと、大江独特の硬質な文体に慣れるまでの「第一の手紙」が一番の難所。大きな歴史としての時間、…家族の昔とその後、双子である主人公と妹の目を通して"現在"として移動する時間、と複層的な構造を往還しながら着地点がわからないまま運ばれていく。小説何個分にもなりそうな登場人物やプロットがたいして掘り下げられもせず惜しげもなく投入される。なんか"けり"もつかないまま放り出されて終わるのも凄い。とにかく圧倒的。続きを読む
六甲おろし
ストーリーのみを追えばSFファンタジー小説だが、緻密に練り上げられた文章で読書の醍醐味を堪能させてくれる文学小説だ。
投稿日:2023.05.20
がんちゃん
M/Tと森のフシギの物語はこの作品の後に続くものらしい。 長く、退屈な作品だった。 「森のフシギ」のようには入り込めなかった感あり。 でも味わいはなんとなくあるにはある。 結局視点は主人公から変わら…ず、書簡形式によって若干他者を匂わせるが、その相手も一度も登場しない。 結局この主人公が想像しているだけのことなのかと思うと、著者は想像している主人公を想像していることになる面白みはあるんじゃないか。 それぞれ違う時代の出来事を絵巻物のように一つの時間に閉じ込めるという小説の機能を利用して、後世にも冷凍保存しようとしたのではないかとと思う。 オシコメ、シリメ、フシギなど大江作品頻出キャラが勢揃い感がある。続きを読む
投稿日:2023.02.28
しんめん
大のオーケンファンにして著作もほぼ拝読しているが、これは少し読者に優しくなさすぎる。 内容や作品の文学的な重要性は別にし、作者の想いが強く入りすぎて文があくどい。読了後に純粋な評価をするには中途の苦…痛が大きい。 伊坂幸太郎大絶賛品だが、作者の見る角度が自分とは違うのかもしれない。続きを読む
投稿日:2022.09.09
kouhei1985
このレビューはネタバレを含みます
妹への手紙という形で語られる、四国の山奥にある故郷の村の歴史と伝承、兄弟の逸話。序盤は、現在の生活と村の神話・歴史がリンクするかたちで語られるので頭のなかで整理する必要があるが、次第に神話と歴史にフォーカスされていく。 面白いが、クセのある文章ですこし読みづらい。 以下、村の神話と歴史における主な出来事、および語り手の家族について ・藩を追放された武士集団が「壊す人」を主導として川をさかのぼり、行き詰まりの大岩塊を爆破して、森に囲まれた盆地に隠れ住む。(そのときに流れ出した大洪水によって追跡隊は押し流される) のちに「吾和地(あわじ)」と呼ばれるようになる。 ・村の開拓がひと段落したところで、地響きのような音が響き渡り、その影響の強弱によって住む場所の入れ替えが行われる。 ・「壊す人」が死んだ直後にふたたび大怪音が鳴り響き「住みかえ」が行われるさなか、「壊す人」の妻であるオシコメが十七、八の青年団を指導して、創建者の老人たちを一掃する「復古運動」を進める。(明らかに文化大革命の江青と紅衛兵がモデル) ・村の独立性を保とうと、藩権力と一揆集団の仲裁をしたり、天皇家との接近を模索した亀井銘助(メイスケサン)と、大正時代の大逆事件の際、天皇に抗議文を送った原重治(牛鬼)。 ・大日本帝国に組み込まれることへの対抗として、ふたりの人間をひとつの戸籍に登録するカラクリを思いつく。それを解消しようと村にやってきた大日本帝国軍との五十日にわたる戦争。 ・長兄(露一)は徴兵中、精神に異常をきたし精神病院に二十五年間収容される。解放されたあと、天皇に村の独立を要求するために皇居に向かう。次兄(露二郎)は女形として生計を立てている。 ・野球一筋の末弟(露留、ツユトメサン)は、マネージャーと一緒にアメリカやハワイに渡り、メジャーリーグ球団や日本の野球チームに売り込みにいく。 ・「壊す人」の巫女として育てられた双子の妹(露巳)は、銀座でキャバレーを開いていた時代にアメリカ大統領候補と知り合い、彼の大統領就任後に会見し、村の独立を援助するように要請する。その際に検査を受け癌を宣告され、帰国後に船から身を投げ死んだと伝えられていた。しかし、妹の生存と、キノコのようになっていた「壊す人」を見つけ、いまでは犬ほどの大きさにまで回復していることが手紙で伝えられる。 ・語り手である「僕(露己)」は、幼少時代より神主である父に村の神話と歴史を口承によりたたき込まれる。それに興味を持った東京出身の双子の天文学者(アポ爺、ペリ爺)とも親しくするが、父と国民学校校長との諍いが原因になり双子の学者は村を追放されてしまう。そのことを思い悩んだあげく、「僕」は素っ裸になって森をさまよい歩き、村で起こった過去・現在・未来の出来事を垣間見るのだった。
投稿日:2022.04.14
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