【感想】紀ノ川

有吉佐和子 / 新潮文庫
(63件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
22
23
12
1
0

ブクログレビュー

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  • ロッキー

    ロッキー

    明治、大正、昭和へと続く、母から子、孫に至るまでの年代記。
    有吉版『細雪』のよう。細雪よりはだいぶコンパクトながら、明治のお家騒動にとどまらず、昭和までの時代の移り変わりが書かれているのがすごい。
    の流れのように続いていく命と、変わっていく「家」のあり方を体感することができ、しっかり満足感。
    「〜のし」という独特の方言も癖になる。
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    投稿日:2024.02.24

  • すー

    すー

    明治時代に和歌山に生まれ育った花を中心に、子の文緒(大正)、孫の華子(昭和)を通して、時代の移り変わりを描いた作品。
    私の義実家は和歌山なので、話言葉や食べ物(駿河屋のまんじゅう、富有柿)、地名(岩出)和歌山城やぶらくり町が聞き覚えがあるもので、読んでいておもしろかったです。
    私は強い女性の話が好きなので、この小説は大好物でした。
    主人公の花は明治時代の女性の見本のような、夫をかいがいしく世話するように見えて自分の野心のために動かすような女性(に見えました)。
    その母を反面教師とした文緒は、「女性でも自立していく時代だ」と大口を叩きながらも、実家のお金を頼りにする女性。
    孫の華子は、花の隔世遺伝を受け継いでいるような女性。花に親しみを感じ、受け継がれてきたものを客観的に見ています。

    女性が直接的に社会に出ていないながらも、家の中のやりとりを通して、間接的ながらも社会に貢献してきたこと、こまごましたやりとりを通して考えが次世代に繋がっていくさまが描かれていておもしろかった。

    「原始社会の母系家族は自然やったんやと思いませんか。いざとなって頼るのは、男の家やのうて、女の実家方ですよ。」
    紀本家の豊乃から、花へ、そして文緒から自分へと確かな絆が力強く繋がれて、花の胸の鼓動が直に華子の胸に響いているのを、華子は感じたのだ。
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    投稿日:2024.02.24

  • nanako

    nanako

    めちゃくちゃ面白かった。
    第1章が終わり、第2章が文緒が女学生になったところから始まることに気づいた時点で「文緒が女学生になるまでに何があったかも教えてよ!!花の視点を共有してよ〜!」と駄々をこねたくなった。

    内孫、外孫、長男がどう、と家父長制的な視点を持つ花に対し、文緒が「実際に深い交流があるのは外孫ばかりではないか、母系家族は自然だったのではないか」と訴えるシーンは特に印象に残った。
    母と娘が反発し合いながらも、宥和できる部分は時間をかけて宥和し、その様子を見る孫娘は祖母に対して親近感を持つ、という描写は、そうやって昔から連綿と命が続いてきたのだなと思わされた。
    一方で、晩婚化や出産の高齢化、核家族化が進むいまでは、祖母と孫娘の距離はこの作品ほどは近くないのだろうなと少し残念に思った。
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    投稿日:2024.01.17

  • gakudaiprof

    gakudaiprof

    朝日新聞の和歌山紀行での推薦本である。有吉佐和子は、恍惚の人や複合汚染で有名になっていたので、その本を読んだが、こうした昭和の初めの地方の和歌山の女性を描いたとは思わなかった。和歌山を昭和にかけて知るにはガイドブックとして最適であろう。続きを読む

    投稿日:2023.07.23

  • wren

    wren

    23.1.21〜2.5

    有吉佐和子、面白すぎ❗️
    花と祖母の関係性、習慣。絆。嫁入りの様子は鈴木清順の映画を思い出した。
    カバンに大量のキューピーをぶらさげて田舎を闊歩してる文緒、可愛げありすぎ。
    華子を見つめる花の目線と、終盤に彼女が語る言葉で感極まった。

    武蔵美に友達の卒制を見に行った帰りに、近くにあった古本屋さんでこの本と『複合汚染』を買ったんだけど、複合汚染を見た老齢の店主さんが「うん……うん…‥いい本だよね、これ」って呟いてた。紀ノ川も良い本だったよ、店主さん❗️
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    投稿日:2023.04.27

  • りょー

    りょー

    三代に渡る女性の人生を描いた作品。戦後を迎え、封建的な一族も衰退し没落していく様子は残念でならなかった。
    そしてこの一族の女性たちは皆強く逞しいことにも胸を打たれた。男尊女卑が残る時代においても男を黙らせるほどの女性の行動力、発言力には読んでいて惹かれる部分もあった。続きを読む

    投稿日:2023.04.01

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