【感想】ホームタウンブルーバック

いろんなジャンルの話を描ける作家さんなんですね。リーマンもののようなカッコいい話もいいけど、こんな純朴ラブコメもよかったです。
田舎を舞台にした幼馴染みものです。
ずっと一緒に育ってきた二人。大人にな…って勇十は高校の体育教師に、穂は地元の消防士を仕事にしています。どこの田舎でもあるように高齢化が進んでいる町で、彼らは青年団を結成して、地域の活性化に頑張っています。主要メンバーは勇十と穂と、これまた元同級生の耕生と千春の4人。
高校生当時の彼らと比べると、良くも悪くも確実に成長していて思わず笑ってしまいます。
ゆるキャラのまつもっちを中心にした青年団の活躍や、彼らのゆるぎない友情とチームワークにほのぼのさせられます。

恋愛面では前半、攻の勇十視点になっています。勇十はずーっと片想いし続けて、親友というポジションを無くしたくないために、恋心は胸の奥に閉じ込めたままだったのですが、人生26年目にしてある日突然バレることに。
片想いの切なさがいろんなところでにじみ出ていて、勇十に思わず同情。
穂が明るくていいヤツで、まったく何にも気づいていないんですよね。ところが同級生たちは…というのが、ツボ。
面白かったのは、階段の足音と車の音。愛ですよね～！キュンとしました。

田舎の幼馴染みという設定がすごく生かされていると思います。土着で密着だから、感情の距離も近すぎるところとか。
一人一人のキャラクターがはっきりしていて、ぼやけていないのもよかったです。耕生とか千春もきちんとキャラ立ちしていて、彼らの様子も楽しかったです。
なんてことない田舎の幼馴染み同士のラブコメだけど、ちょっとしたところに面白みがあって、飽きさせずに読ませる秀でたエンタメ性、センスをすごく感じました。ハッピー感もバツグンです。

エロ的には、清々しくも肝心なシーンがありませんでした。恐らく意図的なものかと思いますが、ちょっと残念。スピンオフ、あるいは続編に期待してしまっても、しかたないですよね～？？続きを読む