【感想】シュルレアリスム 終わりなき革命

酒井健 / 中公新書
(9件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 鈴華書記

    鈴華書記

    現代において「シュール」という語が,不条理や意味不明なものに対してよく用いられる。しかしそれは元の意味のほんの一部に触れているに過ぎない。

    シュルレアリスムは第一次世界大戦を終えた1920年代,フランスで生まれた文化運動である。簡単に流れを言えば,偏った理性主義への批判から始まり,特に戦争体験より超現実を取得して,フロイトの精神分析を取り込み,マルクスの革命思想をも飲み込んで政治にまで拡張した。

    本書では,主に「シュルレアリスム宣言」の著書であるブルトンに焦点を当てて解説している。また周辺においては,バタイユやアラゴンなど,フランスでの潮流がメインである。

    難しいようにも思えるが,文学や絵画などに親しんでいる人であれば,多少なりともシュルレアリスムの要素に触れたことがあるはずである。また,シュルレアリスムは現代思想を知る上でも重要なポイントであろう。
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    投稿日:2021.06.30

  • jkrabi

    jkrabi

    先日、ルネ・マグリット展を見に行った。一番好きな画家かなと思い、自分も絵を描いてみたいなとも思う。改めてシュールレアリズムとはを知りたくて、読んでみる。

    出だしには「シュールレアリズムとは、1920年代、フランスで生まれた文化運動である。第一次大戦が終ったが、その後も根本的に社会は変わらない事への憤り、西洋の近代文明を根底から批判し、新な人間の可能性を表現した、文化運動である。」
    から始まり、寄与した人物が何をやったなどの説明が続くが、私のイメージするところの
    「シュルレアリスムは、思想的にはジークムント・フロイトの精神分析の強い影響下に、視覚的にはジョルジョ・デ・キリコの形而上絵画作品の影響下にあり、個人の意識よりも、無意識や集団の意識、夢、偶然などを重視した。(wikiより)」と繋がらず、途中までシュールレアリズムとは2種類有るのではないかと思うほど、私のイメージ、または今回知りたかったこととかけ離れ、また繋がる気配が無いので、混乱した。私のチョイスが悪かったのだと思うが、シュールレアリズム初心者には向かない。
    本書から得られたイメージは「シュールレアリズムとは、終わらない革命」と言うものだが、府には落ちない。
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    投稿日:2015.06.04

  • 深川ふらふら遊覧記

    深川ふらふら遊覧記

    近代国家への闘い。西欧の若き芸術家?たちの悪戦苦闘が興味深くたどっていける。社会の変革と芸術作品へのこだわりという永遠の課題に挑んだ人々だったのだろうか。彼らの理論は弱いところも多いが、その作品の多くが、今の私をこんなにも惹きつけるのは何故だろうか。続きを読む

    投稿日:2011.11.26

  • itou++

    itou++

    シュルレアリスムが第一次世界大戦の後に生まれたムーブメントであることを初めて知った。
    そして、学生時代に読んだバタイユの「眼球譚」のその意味するところも。

    投稿日:2011.08.18

  • すりむ

    すりむ

    美術の方では様々な流れを作りながらいまも確実に息づいているシュルレアリスムだが、この運動のリーダーだったアンドレ・ブルトンの名聞くくことがめっきり少なくなってしまったのは、詩文学の不人気とポスト・モダン思想の奔流に負けてしまったからだろうか。
    本書はバタイユ研究者が、そのブルトンに敬意をこめて語りつくした現代思想史の一断面である。ブルトンの発想、行動力、影響力は稀有なものであり、フロイトとマルクスを初めて目に見えるモノと言葉に表現した。唯一音楽に価値をおいていなかったことが残念だがそのユニークな解釈と方法は意外なところまで広がっている。
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    投稿日:2011.05.12

  • Nobuyuki

    Nobuyuki

     ジョルジュ・バタイユの研究者として知られる著者による、おそらくは国立新美術館における大規模な「シュルレアリスム展」に合わせて刊行されたこの20世紀を代表すると言ってよい芸術運動の紹介書。シュルレアリスムが生じてくる背景をなす、第一次世界大戦の経験から説き起こして、1924年のシュルレアリスムの誕生からその基本的な芸術変革の方向性を取り出すとともに、さらにはその運動の政治との関わりについても見通した好著。所与の現実を乗り越えるところに、新たな唯物論の可能性を見て取ろうとする第二宣言のテーゼや、ベンヤミンのシュルレアリスム論が検討されている点も興味深いが、後者の捉え方がやや表面的なのが惜しまれる。続きを読む

    投稿日:2011.03.22

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