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パオロ・ジョルダーノ, 飯田亮介 / 単行本 (1件のレビュー)
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afro108
パオロ・ジョルダーノによる2作目。2010年にアフガニスタンへ派遣された兵士たちの群像劇でオモシロかった。実際に起こった事件から着想したらしい本著の特徴は戦争小説ながらかなり内省的な点だと思う。戦争に…やってくる兵士たちはそれぞれ背景も階級も異なり、抱えている考え、悩みは異なる。そういった異なる1人1人の立場を丁寧に深掘りしていくことでクルーの全貌が立体的に浮き上がってくる。また戦闘が開始するまでの軍隊の生活に関する描写もかなり細かいので実際に自分もそのクルーに帯同しているような気持ちになった。(現地の牛を食べてしまい皆で腹を下すシーンがお気に入り)冒頭で過去にとんでもない事故が起こったことが匂わされてから始まる。したがって時限爆弾のように「いつくるんや…」と構えざるを得ず次が気になってしまうので400ページ強あるけどサクサク読めた。実際の戦闘シーンの描写もドンパチはドンパチなんだけど、クルーの足止めに利用された羊にフォーカスが合っている歪さが好きだった。この手の戦争ものは人が死ぬのは避けられない訳で、前半から中盤にかけてこれだけ丁寧に人物描写しておいて、誰がどんなシチュエーションで死ぬのか全く想像つかなかった。その中でもたらされる残酷な結果がかなりドライというか淡々としている点も印象的だった。好きなキャラクターはチェデルナ。マチズモ全開で同じクルーには絶対いて欲しくないタイプの人間だけど自分の弱さを隠すために強がっているところがあり好きだった。とくに「種の進化」という章では丸々彼の1人語りが展開されるのだけど最後にある以下のラインにグッときた。 とにかく、夜ってやつが多すぎて困るようになるんだ。次から次に夜が来て、本当に、きりがねえ。どう時間を潰したものか見当もつかなくなるんだ続きを読む
投稿日:2020.08.09
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