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レーモン・ルーセル, 岡谷公二 / 平凡社ライブラリー (3件のレビュー)
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トルノス
著者は20世紀初頭に多くの著作を発表したフランスの詩人/小説家。奇想天外で難解なこの作品は、言葉遊びにも似たルセール独自の創作法により紡ぎ出された文章なのです。チターを奏でる大みみず、同時に4つの歌…を歌う歌手などが登場する摩訶不思議な出来事が、熱帯アフリカを舞台に繰り広げられます。ストーリーを楽しむ小説を読むつもりで手に取るとびっくりするかもしれませんが、詩を読むように、アートを楽しむように、何かを「感じる」ことができるでしょう。多くのダダイストやシュールレアリストたちに注目されたというのもうなずけます。続きを読む
投稿日:2011.09.09
ヨイヨル
とりとめなく去来する膨大なイメージ群。半ばくらいまで全く筋がわからなくてなかなか読み進められなかったけれど、友人に「イメージの上を滑るように読んでいけばいいんだよ」と言われなんとか読了。 私には大変辛…い読書でございました... しかし、そもそも大いなる言葉遊び(!)であって翻訳不可能なのでは、と思われるこの作品が日本語に訳されているのはほんとにすごい。言語の解体と再構築、言語そのものの不思議さが詰め込まれている。 フーコーが彼の作品について書いているのでそちらを合わせて読むともう少し面白さが理解できるのかも知れない。続きを読む
投稿日:2011.05.04
cerisaie
ルーセルは20世紀初頭のフランスの作家さんで、本人は大衆に愛される作家になりたかったのに、一部の芸術家(シュールレアリストとか)以外には全く認められず、最期は失意のうちに自殺してしまったのだそうです。…でもその後ミシェル・フーコーはじめ、そうそうたる面々に影響を与えたとか。 この小説、前半は、架空のアフリカの王国を舞台に、ある式典の様子が、170数ページに渡って一切の感情を交えずに、ひたすら描写されます。王国の歴史も、出し物の背景にある物語も、最初は全くわからないまま、見たことも聞いたこともない出し物について延々と読まされます。 正直最初はちょっとつらいのですが、情景を頭の中で映像化する作業が波に乗ってきて、目の前に珍妙な発明品や不思議な動物、美女達が立ち上がるようになると、珍奇な出し物を見物客の一人になって楽しむ境地になってきます。 後半には、前半で見たものの背景になる物語が、アラビアンナイトのような豊かさで語られて、これはもう一気読みの面白さ。初版のとき作者は「私の芸術に不慣れな読者は後半を先に読むように」と言う注をつけたそうです。 でも、後半を先に読んじゃうと、出し物に対する驚きが薄れるし、前半(ちょっと我慢して)色々見ておいたからこそ後半の物語が「そうだったのか!」的に面白いので、やっぱり頭から読むのが正解でしょう。 奇天烈な出し物の数々をどうやって思いついたのかについて本人が書き遺していて、その一部が巻末の解説に紹介されているのも興味深かったです。 作者は自分の天才を信じていたそうですが、天才って言うか奇才? 変な人なのは間違いない(笑)のですが、そういう芸術家にありがちな暗くどろどろしたものは感じられず、そこがまた独特の魅力。 奇人の想像力が爆発の一冊。 大丈夫、21世紀には遠く日本でも読まれてるよ!と今は亡き作者に伝えてあげたい気持ちをこめて☆5つ。続きを読む
投稿日:2010.07.04
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