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筒井康隆 / 新潮社 (5件のレビュー)
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キじばと。。
登山家の夷と杉浦の二人が、エヴェレスト登頂を実現しようとするまさにそのとき、テレビ番組の「突然おじゃま虫」の司会である森下義和と日野みどりがヘリコプターに乗って登場し、二人にインタヴューを敢行します。…自分たちのこれまでの努力がバカにされたかのように感じて怒り出す彼らを尻目に、タレントとスタッフは番組のおもしろさを求めつづけます。 どこを見ても爛熟した消費社会の様相ばかりが目に映る現代の日本に、突如としてソ連軍が侵攻を開始します。ジュネーヴでおこなわれた、アメリカとソ連でおこなわれた会議の席で、両首脳の馴れあいによる密約が交わされ、アメリカ軍は日本を離れソ連軍はやすやすと北海道に侵攻します。人びとは逃げまどい、網走刑務所では犯罪者たちの身柄が釈放されますが、彼らの一部はやはりテレビ番組のために北海道にやってきていた日野みどりを隊長にかつぎあげ、ゲリラ活動をおこないます。一方、サヴァイヴァル・ゲーム参加者たちも「抗ソ・ゲリラ」の部隊を立ちあげますが、独善的なふるまいがめだつみどりは彼らに対抗心を燃やします。 なんでもありのドタバタ劇が全編にわたってくり広げられている、ある意味では著者らしいともいえる作品です。初期短編によく見られたわかりやすい「毒」が発揮されている作風ではありませんが、著者のような「毒」がひろく受け入れられたことによって、もはや行き場のない自家中毒に陥っているような1980年代の日本社会を、なにほどか反映しているようにも感じられます。続きを読む
投稿日:2023.12.25
masudahidehiko
ロシアが北海道を占領しようとしたら…というドタバタ戦争もの。より具体的でわかりやすい『虚航船団』、ちょっと形を変えた『霊長類南へ』といったかんじ。マスコミの活躍ぶりは『48億の妄想』的か。時期的には『…虚航船団』と『残像に口紅を』の間にあって、直近では『夢の木坂分岐点』と『驚愕の曠野』にあるような作品の割には実験的な趣はなく全然エンタテインメントとして楽しく読める。実験的と言えば、タイトルに「歌」とあるように楽譜も出てくるがそれくらい?!続きを読む
投稿日:2021.05.11
Klaus
初めて読む筒井作品。北海道にソ連軍が上陸するという設定に惹かれた。戦闘シーンは具体的に描写されておらず、むしろメインはタイトルが『歌と饒舌~』となっているように、登場人物たちが語るセリフなのかなあと思…う。本作は「純文学」らしいのだが、純文学をあまり読んだことがない僕には作品解題が十分にできたと思っていない、むしろほとんどできていない。一応、僕の中では、「純文学を読み慣れていない、だから理解できない」ということにしているが、これが絶対ではないと思うし、逆に純文学を読み慣れていないけれど面白かったと言う方もいらっしゃるでしょう。ただ、筒井作品を読もうとしている方に最初に勧める(筒井作品を読んだことがない人が最初に読む)作品ではないなあと思った。続きを読む
投稿日:2014.12.23
ささ
内容 冬の納沙布岬で、森下義和以下GRTテレビ「突然おじゃま虫」のスタッフが 流氷づたいにアルコールをねだりにくるソ連兵を待ちかまえていると、 なんと、ソ連正規軍が上陸を開始。またたくまに北海道は占領…されるが、 奇怪なことに在日米軍はもぬけのカラ! 思想も、宗教も、国家の目標ひとつない、金満日本の虚妄を 戦争シミュレーションと「饒舌」で痛罵したスラプスティック大作。続きを読む
投稿日:2010.04.05
moranin
メタフィクションありのなんでもありのドタバタ喜劇です。そこそこ長いのにげらげら笑いながら読める。筒井作品で一番好き。絶版なのかなあ。中古か図書館でどうぞ。
投稿日:2006.06.29
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