【感想】タイトルの魔力 作品・人名・商品のなまえ学

佐々木健一 / 中公新書
(7件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • キじばと。。

    キじばと。。

    芸術作品とそのタイトルの関係について、理論的および歴史的な観点から考察をおこなっている、ユニークな美学書です。

    著者は、芸術作品とタイトルの関係をめぐって鑑賞者が取る態度には、「教養派」と「審美派」の二種類があるといいます。「教養派」はタイトルを通して作品を制作した作者の意図に近づくことをめざし、「審美派」はタイトルによってみずからの芸術的直感が一定の方向に誘導されてしまうことに対する警戒を表明します。著者は、たがいに対立するこの二つの態度が、ともに近代的芸術観に基づいていると論じています。こうして著者は、タイトルを手がかりとすることで美学上の中心的な問題に踏み込んでいきます。

    本書の議論のあちらこちらに、美学上の重要な問題へとつながっていく開口部がのぞいているのがなんとなく理解はできるのですが、個人的に分析美学的な問題の立てかたになじみがないので、どことなくおもしろい問題に通じているような印象がするというところにとどまっています。歴史的な考察がおこなわれているところはおもしろく読むことができました。
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    投稿日:2015.09.26

  • shohjoh

    shohjoh

     オペラのアリアは、その冒頭の歌詞がタイトルになっていますが、それはインチピット(incipit)と呼ばれ、「~と始まる」という意味のラテン語とのことです。
     次の点は、確かに言われてみればそうです。
     「西洋文化圏における書籍の最初の形は、パピルスの巻物だった。その最古のものは紀元前2900年頃のもので、パピルスが羊皮紙に変わるのは1世紀のことだ。パピルスはそれでも11世紀まで使われ続けた。羊皮紙になって本は冊子(ラテン語でcodexという)の形を取りうるようになり、4世紀以後は完全に書物の形になる。古代のパピルスの巻物の一巻は平均して6~7メートルの長さのものだった。
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    投稿日:2015.02.12

  • tulips

    tulips

    「タイトル」について考えてみたこと、ありますか?
    あなたが美術館に行った時、はじめに見るのは「作品」ですか?「タイトル」ですか?
    「タイトル」は「作品」に対して、またあなたの観賞体験にどのような効果をもたらしているでしょうか。
    私たちの身のまわりには、たくさんのタイトルがあふれています。人の名前、商品名、本の名前・・・。タイトルの歴史と美学的考察を記述した、刺激的な一冊!
    (お薦め本レビュー応募作品2012★ギョロリン賞/人文・文化学群4年)

    ▼附属図書館の所蔵情報はこちら
    http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1439839&lang=ja&charset=utf8
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    投稿日:2012.12.06

  • bax

    bax

    このレビューはネタバレを含みます

    [ 内容 ]
    絵画や彫刻の展覧会で、作品の傍らには必ずネームプレートが寄り添っている。
    音楽、小説、詩、戯曲…。
    いずれにもなんらかのタイトルが付されている(なかには「無題」というタイトルもある)。
    では、このタイトル、いつごろからどのように、作品と不即不離の関係になったのだろう。
    人の名前、商品のネーミングも視野に入れながら、芸術作品におけるタイトルの役割と歴史を考える、刺激に満ちた美学の冒険。

    [ 目次 ]
    タイトル、この気になるもの
    なまえと名詞
    なまえの魔力
    名づけとネーミング
    商品名とタイトルの場所
    タイトルの空間
    タイトルの歴史学(文学の場合;絵画の場合)
    タイトルの言語学―「テネシー・ワルツ」を御存じですか
    タイトルのレトリック
    理論としてのタイトル
    タイトルの脱芸術化

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

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    投稿日:2011.04.03

  • noixdecoco

    noixdecoco

    2007年07月03日
    ずっと気になっていた図書でしたが、いよいよタイトルについての疑問が湧いてきたので読まざるを得ませんでした。どことは言えないが、美術史家ではなく美学家が書いている文章だな、と全般的に感じ取れる本でした。
     私の興味を特に惹いたのは、タイトルという本題からは逸れますが、ヴィットゲンシュタンの「家族類似性」とか「風景相(アスペクト)」についての話でした。M先生が演習で触れていた作品の内にある美学、作品の外にある美学についても少し言及してありました。
     『本の遠近法』の帯に「本が本を呼ぶ」というフレーズがありますが、本当にそれは可能なのかもしれません。気になる本から、気になる話題についてから、読んでいこうと思います。
     
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    投稿日:2007.07.22

  • みやた

    みやた

    ちょっと僕には難しいので読み終えてはいない本だが「なるほど」と感じることが多い。特に美術系の作品に対しての「タイトル論」みたいなのはアート鑑賞にてはさらに深く作品を感じることができるようになるかも。ただ考え過ぎは余計なことかも、さらっと読んでしまおうと感じた。続きを読む

    投稿日:2006.11.27

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