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井上ひさし / 新潮社 (1件のレビュー)
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honno-遊民
再読。朝日新聞日曜欄に掲載され、昭和53年に文庫化された井上ひさしのエッセイ集。ほぼ、30年ぶりに本棚から何気なく手に取り、読み始めた。亭主図鑑とはいいながら、ほとんどは女性の生態についての悪態、屁理…屈、斜に構えながらも愛情を持っての女性批評であり、裏返せば男への注文書とも言える。各話の中にピリリとした文明批評も。「唯我独尊的な考え方からは、ファシズムしか生まれない…どんなにくだらない民主主義でも、ファシズムよりはいいのであるP15」ウーマンリブ運動(懐かしい言葉だね)に関連して「個としての問題をすぐに社会的なそれにひろげてしまう風潮があるよう…個を鍛えることが先決だP156」今や当たり前とも思える車中での女性の化粧行為についても、映画館での食べ物騒音を引き合いに、「彼女たちが公共の場を己が家の茶の間の延長であると考えているところに、その真の原因がある…P194」すでに昭和50年に論じている。今もすぐれた批評は色あせない。人間の進歩がないのだから、それも当然か。続きを読む
投稿日:2012.10.09
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