【感想】街場のアメリカ論

内田樹 / 文春文庫
(49件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
13
22
7
0
0

ブクログレビュー

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  • S.K.

    S.K.

    内田樹による、アメリカ論。ただし、誰一人アメリカ問題の専門家がいない講義の中で生まれた本。
    それでアメリカ論が成り立つのか、と言えば、実に様々な角度からアメリカの持つ病巣を暴き出してくれる。

    アメリカ特有のジンクスである、戦争をやって負かした国がその後同盟国になるという成功例。
    その文脈でベトナム戦争やイラク戦争を見れば、私たち日本人の目線から見た「戦争」とは、全く違うものに見えてくる。

    あるいは、ヨーロッパから引き継いだ子ども嫌いの文化。
    マルクスが産業革命後のロンドンで見たように、子どもは搾取の対象だった。
    アメリカには、自己実現を妨げる者は排除べし、という共通理解がある。
    子どもが親にとって、自己実現の妨げになったとしたら?
    そのような文脈を今まで読んだことがなかった。

    訴訟大国アメリカ。
    身に起こる様々のトラブルについて、事前に回避する能力を育てるのではなく、他者を責めることで問題を解決しようとする。
    そういう人は、自分の失敗から学習するということがないし、社会人として成熟するよりむしろ常識がなく、不用意な「幼児」である方が多くの利益を得られる社会(マクドナルドのコーヒーで火傷した裁判や、「ライト」なタバコで肺がんになった、騙された、と訴えた裁判など)。
    自己責任大国アメリカでなぜこういう場面だけ自己責任が問われないのか、本当に不思議。
    ともあれ、単純に「アメリカでは弁護士が多いから日本でも弁護士を増やそう」などという単純な論説に対して、内田さんはいや、そもそも…という話をする。
    この本の元になった話は2003年だそうだ。もう20年も経つアメリカ論がいまだに有効であることは、内田さんの文章が些末な事柄にこだわるものでなく、「アメリカという国がいくら変わっても変わらない点」を200年前に生きたトクヴィルに向けて書いたものだからである。
    このような射程の長い文章は、物事の本質をきちんと捉え、誰にでも分かる論の組み方でないと書けない。
    こんなものの考え方ができ、こんな文章を書いてみたい…
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    投稿日:2022.01.15

  • Kumazemi

    Kumazemi

    こんなアメリカ論を、大学の授業で聞いてみたかった。様々な視点から、アメリカがなぜこのような国になったのかを論じていて面白い。
    「日本人は従者の呪いにかけられており、アメリカ人に対して倫理的になることができない。」という病識を持つことが、未熟から成熟へ移行していく上で欠かせないことを気づかせてくれる。
    さすが、内田樹先生である。
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    投稿日:2020.01.07

  • asa0804

    asa0804

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    続きを読む

    投稿日:2018.12.11

  • stratton

    stratton

    久しぶりに内田本を。

    アレクシス・ド・トクヴィルに献呈するという
    記載から始まっているので、いつもの内田節
    と違うのかな?と思ったけれど、そんなものは
    杞憂に過ぎなかった(笑)。
    ページをめくるそばから、いつもの内田節が
    さく裂!

    のっけから、この本を書くに至った経緯の中で、
    こうおっしゃる。

    “私はもともと仏文学者であって(今ではその
    名乗りもかなり怪しいが)、アメリカ史にも
    アメリカ政治にもアメリカ文化にもまったくの
    門外漢である。非専門家であるがゆえに、どの
    ような法外な仮説をたてて検証しようとも、誰
    からも「学者としていかがなものか」という
    隠微な(あるいは明確な)圧力をかけられる心配
    がない。”
    “この立場はアメリカを論じる場合には、単に
    「気楽」というのを超えて、積極的に有利な立場
    ではないかと思い至ったのである。”

    この割り切り(と言うか、開き直り?)ぶりが、
    ある一定の読者層をとらえて離さない理由の一つ
    なのはまちがいない。

    そして、この一冊は、うんうんと頷くことよりは
    「うわー、そう来たかぁ!」と思うことが多かった。
    そのうちの一つが、アメコミを題材にした第3章で
    展開したアメリカン・ヒーローが象徴するものと、
    日本のヒーローのそれとの比較。
    そんなのアリ?と思いつつ、最後は納得してしまう。
    また内田マジックにやられた。


    そう言えば、偶然にも昨日(5月29日)の朝日新聞
    土曜版beに、内田センセイの凛々しい姿が。
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    投稿日:2018.11.18

  • キじばと。。

    キじばと。。

    日本のナショナル・アイデンティティは、「アメリカにとって自分は何者であるのか」という問いをめぐって構築されてきたという観点から、日米関係について考察をおこなっています。さらに、ファスト・フードや戦争、児童虐待、訴訟社会、キリスト教といったテーマを取り上げ、アメリカという国家のあり方を解き明かそうとしています。

    いつから内田樹は岸田秀になってしまったのか、と言いたくなるような、精神分析的な観点からのアメリカ社会の考察が展開されています。個々の議論ではおもしろいところも多々あったのですが、全体の枠組みについていけないところもあります。これまで著者に対して共感するところも多かっただけに、ちょっと残念です。
    続きを読む

    投稿日:2015.04.21

  • senahate

    senahate

    このレビューはネタバレを含みます

    楽しかったではあるけど、推論推論の組み合わせで話が構成されているから、たまに読んでいて大丈夫かなと不安になる。 でもアメリカでは、何故あんなにも太っている人が多いのか。何故ハリウッド映画は、子供嫌いを演出をしているのか、面白い答えを示していると思う。 しかし、アメリカは独特な国だな。てか、変な訴訟が多すぎる。。

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    投稿日:2014.08.18

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