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片岡剛士 / 光文社新書 (7件のレビュー)
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reinou
◆アベノミクスとは一定の距離を置いた著者が、その功罪と、日銀の出口戦略の困難性を開陳する◆ 2013年刊。 著者は三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済・社会政策研究部主任研究員(応用計量経済学・…マクロ経済学)。 ◆第二次安倍内閣成立後の段階での、アベノミクスへの一定の評価と批判(不十分さ)。日銀の金融政策の根本的転換を謡う書だ。 さて期限2年とした物価上昇率年2%は、本書読破時点、すなわち5年を経過しても達成せず。結果、出口戦略実現に超長期を要すると識者が指摘するほどに、多くのリスク資産を日銀は抱えるに至った。 では、この要因は何か?。 著者指摘の日銀のなすべき政策対応と現実の違い、リフレの政策的限界、再分配政策の不足か。アベノミクスにやや否定的な著者には是非この点を分析してもらいたいのだ。 確かに、個人的には著者の見解とは違って、リフレ政策は短期で奏効するものではなく、長期的な影響しかあり得んだろうと考えていたが、他方、そもそも著者はデフレの根本的要因が、経済における需要不足、つまり購買力の低下にあるという正しい認識を有しており、それゆえか財政上の再分配機能とその政策的意義を重視する。 そういう意味で著者の分析には信が置けるのだ。 しかも、原発(0政策他)を含むエネルギー政策で、一応は資源エネルギー庁の試算データを利用しつつも、その限界を正しく理解している。個人的には「盛られている」のではないかとの疑念あるデータだが、著者はさすがにそこまでは言わずに、(完全ではないものの)ある程度の落としどころで議論を落着させている。 これ自体はアベノミクスそのものではないが、こういう論じる姿勢もまた、多少の立場の違いはあるにせよ、安心感をもって読める、つまりポジション・トークではないということを強く伺わせる著作と言えそうだからだ。 言葉は悪いかも知れないが、鋭さではなく、緻密さ、丹念さが随所に伺える。そんな一書であり、再読必要な著作といえそう。続きを読む
投稿日:2018.05.07
lsh-5
2014/11/1読了。 経済と金融、政策の相互関係に着目した今までにない切り口を提供してくれる。過去20年の経済と金融、政策の推移を整理するのに最適な一冊。現状と将来を語る上で、過去の推移を分析す…ることが欠かせないことを再認識した。続きを読む
投稿日:2014.11.02
しおり
日本のデフレの原因や、現政府の取り組みを知ることができた。 経済にあかるくないと読み進めるのが難しい。
投稿日:2014.07.11
ryo19870624
アベノミクスに関する書籍の中では、本書が一番バランスが取れていると思う。3つのフレームワークは、かえってわかりにくくしている印象を受けたが、おおむね理解しやすかった。
投稿日:2013.12.01
ryo31103110
1985年の「プラザ合意」によって、日本は国際通貨基軸であるドルの安定化のために、国内経済を安定を犠牲にせざるをえなかった。 急激な円高による国内は円高不況となり、政策当局は公定歩合の引き下げと内需…拡大(投資の促進)によって乗り切ろうとした。 ところが、これがバブルを産む結果となる。 バブルによる地価高騰が社会問題になったことで、日銀が行ったのが急激な公定歩合引き上げ。1989年に2.5%だった公定歩合は、1990年に6%となる。 これは日銀の意図的なバブル潰しによって、株価の下落と地価下落という混乱の中でバブルは崩壊した。 その後,2000年のITバブルで一旦盛り上がりそうになった日本経済であったが、日銀の早期公定歩合引き上げにより崩壊。 失われた20年と言われる長期デフレ。 企業の債務負担の増加は、投資の余力を失い、金融機関は企業の債務不履行リスクを恐れて貸し出しには慎重になるため、市場において十分な投資が行われず、企業の成長が抑制されてきた。 株価も低迷し、デフレスパイラルと称された。 出口の見えない日本経済を「アベノミクスによって、失われた20年に終止符を打つことができるか?」というのが、本書の主題である。 安倍政権が打ち出している、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を換気する成長戦略」について考察している。 大胆な金融政策に関しては、実態経済の好況に結びつかないバブルという批判もあるだろうが、出口のないデフレに対するカンフル剤としては、必要であろう。 とにかくお金がまわっていないのだから。 ただし、一部の富裕層だけが金融資産によって恩恵を受けることが経済の復活につながるとはしていない。 競争的な市場メカニズムが持つ効率性を高める成長政策と、所得再配分政策によるアンバランスの是正という補完的な関係をつくることが重要であるとしている。 安倍政権では所得の再配分について名言されていないが、筆者は消費者のボトムアップこそが成長戦略には欠かせないのだと力説している。 成長戦略が効果を生んでいない状況で増税に踏み切るのは反対している。せめて2%の実質成長率が安定するまでは増税すべきではないとの立場をとっている。 プラザ合意以降の日銀の蹉跌を顧みるに、増税や公定歩合の引き上げにはタイミングが重要だ。 量的緩和→成長の安定→公定歩合の引き上げ→増税といった政治政策と経済政策とがきちんと歩調を合わせることが必要であると考える。 本作は、失われた20年における経済政策の問題点を鋭く指摘した良書であるとともに、明日の経済に対する提言書でもある。 ただ一点、TPP参加を成長戦略における不可欠要素としたことは納得がいかなかった。 TPP参加後のGDP成長率を0.66%とし、経済効果を3.2兆円としているが、農業関係者に対する補助金がどの程度増加するかに関しては名言していない。 関税を撤廃することで、農業関係者に国の補助金によって保護するという提言なのだが、0.66%の成長と引き換えに国債発行額が増えるのは間違いないはずだ。 長期にわたって国債発行による補助金の捻出は、問題の先送りでしかないはずだ。 本旨とは関係のないことだが、経済における円の価値についての考察は新鮮だった。 デフレとは、「円」の財やサービスに対する相対的な価値が高まり、インフレとは「円」の価値が財やサービスに対して相対的な価値が低くなるという説だ。 デフレになるとモノが売れなくなり、消費意欲が低下することがあらためて理解できたとともに、インフレにおける消費意欲の向上が実感できた。 何かにせっつかれたようにモノを買いあさるインフレ時の心理というのは、経済が密接にかかわっているのだと、深く納得してしまった。続きを読む
投稿日:2013.08.30
musashiyomisuke
読み助2013年8月10日(土)を参照のこと。 http://yomisuke.tea-nifty.com/yomisuke/2013/08/post-476d.html
投稿日:2013.08.10
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