【感想】ラジオのこちら側で

ピーター・バラカン / 岩波新書
(35件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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4
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ブクログレビュー

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  • 踊る猫

    踊る猫

    懐かしさを感じると同時に、過去の回顧録で終わらないアクチュアルな本だとも思った。著者の活躍についてはまったくといっていいほど知らないのだけれど(恥ずかしい)、彼が日本の音楽文化/ジャーナリズムにどれだけの新風を巻き起こしたかが読みやすい語り下ろしで語られる。DJという仕事をこなし音楽の紹介に務めてきた彼は、日本の音楽シーンに媚びずに自分の流儀を守り通してきた(それは彼がはっきり日本を「談合の国」と書くことからも伺える)。彼と私はもちろん趣味が違うが、音楽への愛は一致している(彼の方が知識は圧倒的に上だが)続きを読む

    投稿日:2023.03.05

  • toshi1231

    toshi1231

    ピーターバラカンさんの半生記。DJという仕事に出会うまで、そして日本に住むようになるまでのこと。音楽への愛、ラジオというメディアの可能性についても淡々と、しかし鋭く語られています。
    子供の頃はFMで音楽を聴くのが中心で、エアチェックもしてました。今ではすっかりFMは音楽メディアとしては劣化してしまいましたが、今ではインターネット、そしてストリーミングのおかげで、世界中のラジオを聴くことができます。海外に住んでいても、音楽には不自由しなくなりました。残念ながら日本のラジオは遅れていて、著作権の制約もあるのでしょうが、日本でしか聴けないものがほとんど。唯一海外で出会ったな、と思っているのは「湘南ビーチFM」です。音楽中心の番組が多く、大好きなジョージカックルさんの番組もあって、楽しませてもらってます。続きを読む

    投稿日:2021.09.24

  • hitoshi0620

    hitoshi0620

    ピーターバラカンというやたら日本語が上手い、でも難しい音楽ばっかり紹介するDJがいることは知っていたが、この本を読んでみてなんか親近感を感じることができた。もっとラジオを聴いてみたくなった。

    投稿日:2021.05.21

  • ykikuchi

    ykikuchi

    "日常的に音楽のある生活をしている人と、そうでない人がいる。私は後者。
    音楽とともに生きてきた人の自伝的な本だった。
    イギリス人なのに日本語が堪能なピーター・バラカンさんがラジオのDJになるいきさつと日本のラジオ事情など知ることができる。"続きを読む

    投稿日:2018.10.28

  • 花みつ(花とみつばち)

    花みつ(花とみつばち)

    バラカンさんが来日してからの自分史と日本のラジオや音楽史が重なる。言いたいことをはっきり正直に苦言を呈しても干されないのは外国人ということもさることながらそういうキャラと認識されてるから? 固有名詞を殆どぼかしているのに竹中平蔵だけ名指しで酷評でワロタ。続きを読む

    投稿日:2017.02.20

  • YAJ

    YAJ

    このレビューはネタバレを含みます

     著者はDJとしてよりも、TVのコメンテイターとして認識していた。自分が子どものころからラジオのDJとして、音楽業界に深く関わっていた人だったとは本書を読んで改めて再認識した感じだ。
     また、ラジオもTVもほとんど見ないで外で遊んでばかりの子供だったので、実は70年代、80年代の音楽事情にも暗い。当時、音楽やラジオがいろんな変遷を経て、時代を彩ってきたというのも新鮮な思いで読ませてもらった。

     音楽が世相を映す鏡であること、あるいは世相に抗う力を秘めていることが、当時ヴェトナム戦争の頃のプレイリストを振り返ることで知ることが出来る。今の世に流行る歌には、そんなパワーがあるのだろうか。近頃の流行の歌をあまり聴いてないのも良くないのかもしれない。

     とはいえ、今のラジオは(TVもだろう)、選曲もDJの自由度が低いと著者は嘆く。

    「現在、多くのラジオ番組は、しゃべり手が音楽を選ぶことができません。構成作家が書いた台本のままにしゃべり、自分が選曲していない音楽をかけていると、DJの気持ちが入ってないことが分かってしまいます。」

     確かに、ラジオでかかる曲は、出演者に関係するプロモート的なもの、番組当局が推すキャンペーンソングなどなど。。。 J-WAVEを1週間聴いていても、番組ごとに選曲が異なるというイメージはなく、ある期間は同じような曲がずっとヘビーローテーションだ。
     今、どの番組を聴けば、面白いんだろうな~。

     音楽のジャンルが時代につれて変遷していくだけでなく、音から映像(ビデオクリップの登場)への移行や、電波からインターネットとメディアの移り変わりと、著者が駆け抜けてきた約半世紀の環境の変化は実に波乱万丈だということが良くわかる。

     でも、そんな変化の中でも自分を失わずに、ブレることなく歩んでこれたのは、日本に来て1,2年目の頃、日英の文化の違いにフラストレイションを抱える著者に母親が手紙に書いてよこした言葉があったからではなかろうか。

    「変わったのは日本じゃなくて、自分だということを、あなたは分かっているわよね?」

     ブロードキャスターとしてTVで世相に対するコメントを求められようと、自分は音楽業界の人間であるという彼の矜持が最後まで貫かれていることが良くわかる内容だった。

     そんな時代の変遷の中、21世紀に入り、9.11、3.11とこれまたメディアのあり方を大きく揺るがす事件が起こる。日英と両方の感性を持った著者が眺める世相はバランス感覚があってとても良かったんだろうと思う。
     日本国内の報道は、海外のメディアと較べ偏っているとか、事実を伝えていないなどと短絡的に思いがちだが、9.11後、ブッシュ政権の頃、世界の(というか主にアメリカをはじめとする西側の)メディアは
    「猛スピードでイラクへの攻撃材料を探しはじめ、2003年のイラク戦争が始るまでの間、(中略)戦争一色」
     になったと。著者自身が、
    「政権のプロパガンダを垂れ流すメディアにアメリカが覆われるとは、ちょっと信じられない思いでした。」
     と語る。 
     メディアの脆さというか、メディアにさえも公平、公正さを求めることは不可能ということを良く認識しておかないといけない。自分自身も、公正でもなんでもないし、自分に一番都合のよい情報を取捨選択して生きていくのだからね。

     インターネットラジオは2010年から本格的にスタート、ラジオと共に歩いてきた著者でさえ、ネットの存在は否定できず、「ほんの少し前の社会にとっては、驚くべき現象だった」というYoutubeのない生活を「ぼくはほとんど想像できません」と言う。

     70年代から、10年単位で振り返る彼の半生。2000年以降に詰め込まれる内容の多種多様性、変化のダイナミズムは読んでいるだけでも目が回りそう。というより、実際に今自分の周りで起こっていることなのに、却って現実味が感じられないほどだ。
     音楽とラジオを通じて、面白い半世紀の振り返りだったし、今後にも注目したいと思えた。

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    投稿日:2016.06.26

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