【感想】傍観者からの手紙――FROM LONDON 2003-2005

外岡秀俊 / みすず書房
(6件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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ブクログレビュー

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  • yasu-san

    yasu-san

    https://ameblo.jp/yasuryokei/entry-12785587343.html

    投稿日:2023.02.11

  • 踊る猫

    踊る猫

    傍観者とはまた、『ベルリン・天使の詩』を思わせる立場だ。だがここで見られる彼のスタンスは決して高みに立った場所から御高説を開陳するだけに留まらず、真に庶民(そしてこう言って良ければ「弱者」)の視点に寄り添うものとして結実していると感じられる。それは彼が自分の正しさに固執せず、むしろ様々な文物(書物や映画)に触れて新鮮な感覚で自分の思考を刷新/ヴァージョンアップし続けてきたからではないかと思う。彼の生き方/書き方はそのまま、一個の運動体のそれとして読めるのではないか。良質なリベラルの知識人が書いた文章に酔う続きを読む

    投稿日:2022.09.18

  • kmsusami

    kmsusami

    2005年に朝日新聞ロンドン ヨーロッパ総局長として勤務していた時に日本のみすず書房に寄せたエッセイ。9.11の後の世界情勢やイギリスの生活を本を通して紹介する名エッセイ。
     僕とおない歳で東大の学生時代に石川啄木を題材にして文学賞をもらっている。めちゃくちゃ博学で文章も洗練されたいい本でした。難しい読みの熟語をふんだんに使用していて感心する。常に電子辞書を横において読んでいた。続きを読む

    投稿日:2022.04.04

  • Soma Oishi (大石宗磨)

    Soma Oishi (大石宗磨)

    傍観者からの手紙―FROM LONDON 2003‐2005
    (和書)2011年03月25日 21:46
    2005 みすず書房 外岡 秀俊


    柄谷行人さんの朝日新聞書評から読むことにしました。

    き合いに出される作品や時事問題の批判はいくらでもありえると思うが傍観者という視点がとても上手く世界を捉えているように感じた。

    読み易くもあり。
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    投稿日:2020.09.26

  • wankoronyan

    wankoronyan

    このレビューはネタバレを含みます

    手紙というリアルタイム性を排した構成。各章の題が名著たちのタイトル。これだけで味のある本な気がする。

     始め慣れないうちはつまらないが、後半になると読み慣れてきて、また、きっと著者もこの手紙形式の書き方に慣れてきて、考え深い話になってきた。
     著者の読書量に私も脱帽である。やはり本を読まなければ、教養を感じられる人間にはなれないよね。
     昨今、あらゆる者が簡素化されてきて、教養の必要性が薄れてきているけれど、外岡さんのように教養ある人になりたい。手紙とか、あえて遠回しなコミュニケーションを使える人になりたい。

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    p148  自由と権力
     人間は自由と金と名声は二つ同時に得ることはできるが、三つすべてを得ることはできない。と言われてきた。
     しかし、資本主義の進んだ現代社会では、金と権力が公然と結びつきを強め、金を集めることが名声になった。金があれば他人に自己を侵害されないようにできる。現代社会は先の三つをすべて得られるようになってきた。

     自由とは「私は私だ」、権力とは「彼らは私だ」、その違い。権力の場合、彼らが私であることを拒めば「奴は敵だ。敵は殺せ。」になる。(埴谷雄高)

     自由は自己同一性への願望、権力は自己拡張性への願望、二つは相いれないものである。金と名声は権力に飲み込まれたが、自由はそうはならない。そうなってはいけない。
     自由を求めるのが正義の現代社会において、権力じみた下品なことを自由と穿き違えないでほしい。

    p152  アンデルセン
     アンデルセンは欧州に散在する伝説を昔話にしたてた人。彼のおかげで、吹けば消えそうな地方の文化が、確立した物語になって後世に伝えられた。

    p217  アルノルド・シュペーア
     ナチスドイツでヒトラーのお抱え建築家をしていた人。ニュルンベルク裁判では一人ナチス党員の責任を追及するよう訴えた、裁かれる側の人。
     彼はナチスの犯した大罪を、ドイツという国家が負うのではなく、ナチスが負うことで国を護ろうとした。本当の愛国者だった。

    p228  ピカソの語る真贋
     ピカソは自分の作品の模写をしながら茶目っ気をもってこう語った「これは本物かい、それとも贋物かい」ピカソが書いたのだから本物に間違いはないが、マネして書いたのは間違いない。
     芸術の価値をお金で測ることへのキレのある問いかけ。

    p229  バンクシーとかいう芸術家ww
     ロンドンを中心に活動する覆面芸術家。40代男性ということしかわからない、社会風刺的なシニカルな反社会的アートをストリートアートとして創作している。メトロポリタン美術館とかに自分の作品を勝手に展示したことで有名になった。「芸術のテロリスト」
     枠にとらわれる芸術の型を破るすげぇやつ。ピカソとかが今に生きていたら彼を称賛しているのかも

    (参照)http://matome.naver.jp/odai/2129721513982550701
    _____

     手紙というのはリアルタイム性を含まない表現で他人に気持ちを伝える。だから、表現が特殊。SNSやメールなどがある今では、郵便の手紙というのは、特殊。
     だから、今の手紙は一層、詩的だったり、批評的だったり、文章としてのレベルが高いものになっている。(ハードルも上がっている)

     手紙を書く相手がいる人は幸せ。

     手紙を書ける人は成長できる。

     こんな時代になったから。

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    投稿日:2014.08.23

  • umezuke

    umezuke

    2003年3月イラク開戦前夜に始まり、2005年7月ロンドン同時多発テロ事件発生までにしたためられ続けた手紙。「他人の言葉に対する寛容は時に、自分が言葉に重きを置かない人の怠慢の証です。怒りを忘れない人は、言葉で戦っている人は、日本に住むあなたの周りにいるでしょうか」…この問いかけの答えを出せない自分がいる。
    読了2006.02.01
    続きを読む

    投稿日:2006.02.01

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