【感想】欧州のエネルギーシフト

脇阪紀行 / 岩波新書
(14件のレビュー)

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ブクログレビュー

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  • japapizza

    japapizza

    ドイツの倫理委員会報告書で、2022年までに脱原発の道筋を描くにあたって、陥ってはならない6つの条件を提示している。
     ?隣国の原発でつくられた電力を安易に輸入しない
     ?CO2を排出する化石燃料安易に増やさない
     ?再生可能エネルギーの加速的拡大に安易に頼らない 
     ?強制的な電力使用制限を行わない
     ?電気料金を安易に値上げしない
     ?政府の上からの指令に頼らない
    この6つの条件すべてを満たす解があるのだろうかとも思うが、日本もぜひ参考にすべきである。
    また、倫理委員会に宗教界の代表も参加していることも興味深い。原発を考える際、心情倫理だけでなく、社会的倫理を深める必要があるという。社会的倫理にも、創造者に対する責任、子孫に対する責任、機能する産業社会を確保するための責任の3つがあるという。宗教界の人が「機能する産業界を確保するための責任」が重要というのは、個人的に驚きである。それだけ社会的な思考が一般に普及しているということだろうか。
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    投稿日:2018.10.08

  • H.Sato

    H.Sato

    フランスでは運転中の原発は58基で、欧州では随一の数。
    EDFが保有している。
    フランスあh原子力に強い自信を持っている。
    第二次大戦の復興で、電力、ガス事業を国有化し、EDFを発足させた。原発によって電力の安定供給を成し遂げ、エネルギーの自立を達成した。ナチスに占領された屈辱をばねに成長してきた。

    原発回帰を図るイギリス政府が重視しているのが、フランスとの協力強化。
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    投稿日:2014.11.16

  • Norio Sasada

    Norio Sasada

     ちょっと読む本が切れたので下の娘に相談したところ「これはどう?」と出してきてくれた本です。高校の先生から勧められたとのことですが、新品同様の概観からみると、どうも読んだわけではないようですが・・・。
     内容は、原子力発電への姿勢をはじめとして再生エネルギーへの取り組み等について、主要ヨーロッパ各国の対応を実際の現地取材により明らかにしたものです。東日本大震災とそれに続く福島第一原子力発電所事故後間もない時期の著作ですから、問題に対する真剣さは最大級です。
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    投稿日:2014.05.31

  • vptdmre

    vptdmre

    このレビューはネタバレを含みます

    現在の日本では、東京電力福島第一原子力発電所(福一)の事故により、政府が国策として原子力発電という技術を選択するかの是が非で問われている。事故を契機にEU諸国の電源構成が注目され、特にドイツは日本がお手本にするとよいのではないかという文脈で再生可能エネルギーの導入の取組みが紹介されている。そういったことを背景に本書ではEUでの電源選択の経緯をおいかけている。EU諸国では、全体でみれば原子力発電を電源として選択している国と原子力発電をやめることを決めて、再生可能エネルギーの発電比率を高める取組みをすすめている国にわかれる。EUでは再生可能ネルギーへの挑戦がすすんだきっかけを脱化石燃料としてのオイルショックの1973年以降と温室効果ガスの排出権の取組みがすすんだ時期を紹介する。そして、チェルノブイリ発電所の事故による深刻な放射能汚染問題が生じた時。そして、日本における福一の事故を契機としてEU諸国への影響。電源に対する市民と政府の政策選択の間の関係がEUでは長い間議論されてきた結果であることが分かる。EUの経験から学ぶべきことは、EUでは長い時間をかけて、政府と国民、市民の間で議論がされてきたということで、日本において、なぜEUのような議論がされてこなかったのか疑問に感じるとともに、日本の民主主義的な議論を経た政策選択のプロセスに未熟さを意識するのは私だけだろうか。日本でも再生可能エネルギーが過去に注目され、政策として推進したこともある。しかし、日本ではEUに比べて発電比率は低い現状になっている。これは政策プロセスの成熟度が低いことが遠因となってはいまいかと感じる。再生可能エネルギーといえば、日本では分散型電源という認識をしている人も多い。EUでは大規模集中型と小規模分散型の取組みがあることが紹介されている。再生可能エネルギーにおいて大規模集中型にするか、小規模分散型にするかといった選択も政策的な課題の選択肢になる。もちろん、それはどちらか一方を選択しなければならないというものではなく、どのような主体が電気を生産し、どのような主体が消費するかでデザインしうるものであろう。再生可能エネルギーの発電比率を高めるために、エネルギー消費を問い直して、生活の質を高める中でエネルギー利用をいかなる形にデザインするかという取組みを、筆者はEUの挑戦として紹介しているようだ。

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    投稿日:2012.11.19

  • kiwi

    kiwi

    第一線のジャーナリストが現場を歩いて書いた力作。ジャーナリスティックな客観的な現場のレポートは迫力がある。電力自由化が、再生可能エネルギーの利用促進につながったくだりや、小さい村の村人が自分の力でエネルギーを生み出そうとする過程は興味深い。エネルギーシフトはこういうところから始まるのも。

    ただ、この手の話はむしろ主義主張が正面に出てきたほうがわかりやすい。原発は危ない、でもエネルギーは必要なわけで、ぼくらには解、とは言わずとも方針が必要なのだ。いろいろな人がいろいろな「方針」を持っていて、どれが正しいのかわからない。正しい解はどこにもないのかもしれないが、それでも自分がどう考えたらいいのか、その足がかりが欲しい。そういう時には、賛成、反対、あっちとこっち、それぞれの主張と根拠を聞きたい。もちろん、それだけで自分の方針が決まるわけではないけれど、いろいろな人の意見と根拠のセットは当然参考になるのだから。

    ジャーナリスティックすぎてちょっとだけ食い足りない、良書。
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    投稿日:2012.11.06

  • kuma0504

    kuma0504

    長い間欧州(ベルギー)で朝日新聞支局長を勤めていた人の最新欧州再生可能エネルギー事情である。(2012.6.20発行)

    最近になって類似の本は次々と発刊されるが、私はこれが1番わかりやすかった。ジャーナリストの本は、入門書としては適当に専門性もあり、わかりやすく買いである。

    スウェーデンやデンマーク、ドイツなどの脱原発運動は確かな下地があること、欧州の脱原発は地殻変動の最中にありもう止めようがないこと、などもよくわかる。フランスでさえ、脱原発の大きな動きがあり、イギリスでは全体の約半分の原発はこの10年に廃炉にならざるを得ないのである。新築の原発は無い。

    例えば、砂漠からは太陽光発電、北欧などは風力発電などを融通し会おうという計画さえも動き出している。デザーテック構想と言う。電気は一瞬にして国境を超えることができるから実現出来る壮大な計画である
    2012年10月3日読了
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    投稿日:2012.10.29

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