【感想】「地球のからくり」に挑む

大河内直彦 / 新潮新書
(26件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
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ブクログレビュー

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  • kai

    kai

    古本屋で売られていて購入
    →地質学、化学的視点で生物の起源から考えられて面白い


    動物園に行くたびに考えさせられた。なぜ私がおりのこちら側にいて、私よりも大きく体力もまさるトラやゾウがあちら側にいるのだろうか?と。
    →人類を万物の長にまでのしあげたのが、石油や石炭、あるいは原子核などから得たエネルギー


    人口は、制限されなければ等比数列的に増大する。食糧は等差数列的にしか増大しない。数学をほんの少しでも知れば、第1の力が第2の力に比べて巨大なことがわかるだろう(マルサス「人口論」

    京都から江戸まで
    →昔は二週間かかった

    アフリカに見るエネルギー
    動物は皆、自らの生きるエネルギーを他の生き物に頼っていて、その原点には必ず植物がいる
    →海なら植物プランクトン

    植物は光合成によって太陽エネルギーを有機物の中の化学エネルギーという形に変え、それを糧といて生きている

    要するに、動物は皆、太陽からもたらされるエネルギーによって生きてる

    つまり太陽エネルギーの総量が決まっているため、地球の生き物の店員があるはず

    人は植物が稼ぐエネルギーをあてに暮らす被扶養者

    地球が生み出すエネルギーの1パーセント近くを1種類で使っているのが人間
    →地球上には1000-3000万種の生き物がいる

    ■歌詞
    生命という装置を維持するためには

    シマウマは草を食み、そのシマウマをライオンが襲い、ライオンに寿命が訪れればハゲタカがその屍をついばむ。

    ハイエナ、オオカミ、チーター
    シマウマ、ヤギ、ウザギ、昆虫

    生き物は数十種類の元素から成り立っている物質
    生き物は、物質を単に通過させているだけのシステム

    ピカピカの10円玉が錆びてくすんだ色になるのは立派な化学反応


    植物が生み出したエネルギー100とするとシマウマなどが食べて体に蓄えられるエネルギーら大きく減って10となる

    ■地球のからくり
    一万年前の人類は、300-400万人
    →横浜市の人口くらい

    1万年前に農耕を発明
    →自分たちだけの食糧を育てること
    →自然の繋がりだけに頼った太陽エネルギーの利用法から手を切った

    古代ギリシアローマのときには
    →自然の2-3億人

    穀物の太陽エネルギー変換効率は他の植物に比べおよそ5倍もある

    食べ物は余っているが、均等に配分されておらず、8億人が上に苦しみら数億人が肥満状態にある

    ■農耕文明の歪み

    植物
    →炭素、水素、酸素、窒素、硫黄、リンなどからできてる
    炭素→空気から
    水素→水から
    酸素→水、空気から
    とれる
    しかし、窒素、硫黄、リンは土の中に含まれたものを吸収している
    →どんどん枯渇して行く
    →窒素こそが地球の店員を決める

    窒素は空気にも含まれるが、窒素原子二つが三本の手でガッチリと結びついている窒素ガス、
    植物も動物も、吸い込んでもそのまま吐き出すのみ、剥がせない

    ハーバーボッシュ法
    →窒素を生成できるようになった
    →1918年ノーベル賞
    この発明がなければ、現在の世界の人口は30億人ほど少なかった、らしい

    ■料理
    温度と圧力によって化学反応が変わる
    →料理という化学反応を促進している

    料理とは、フライパンや鍋の中で多様な化学反応が共存した系であり、したという科学センサーに馴染む物質を作り出す過程


    太陽エネルギーを超えるエネルギーは決して生み出せないし、十分な量のエネルギーを生み出すためには広大な面積が必要となる

    ■化学反応
    エネルギーを発生させるもの、と吸収するものの2種類
    →カイロと冷却シートなど

    石油ストーブ
    石油 ➕ 酸素 → 二酸化炭素 ➕ 水
    →狭い部屋で何時間もストーブ焚いていると、酸素が減り二酸化炭素濃度が上がるため、気分が悪くなる。また、水がガラス窓に結露する。

    化学反応とは、まるでレゴのブロックのようだ。
    原子というレゴのパーツの組み合わせを変えることだ。

    ■電力の始まり
    1882トーマスエジソンがニューヨークに火力発電所を作った
    →5年後、日本の茅場町に東京電灯が火力発電所建設

    火力発電の場合、石油が持つ化学エネルギーを電気エネルギーに変換する際の効率は4割ほど

    ■石油
    1バレル=160リットル(140キログラム)
    →第二次世界大戦後からオイルショックまで、2ドルほどだった
    →当時のコカコーラの100分の1の値段

    石油とは
    海底に降り積もったプランクトンの遺骸が熱によって熟成されてできた

    石炭は
    陸上植物の遺骸が泥炭地で、埋没して形成されたもの

    ■メソポタミア文明
    地表に染み出した石油のタール状の成分
    →アスファルト
    →水と混じらない性質、熱すると溶ける性質を利用している

    シュメール人が使っていた(接着剤として)

    ■中国唐の時代(10世紀)
    コークスの発明
    →石炭を蒸し焼きにしたもの
    ・煙の元になる成分が少ない
    ・燃焼温度が高い

    →中華料理が発達した

    ■日本
    石油があったが、燃やす時の硫黄などが酸化する匂いで「くそうず「臭水」」と言われていた
    →江戸の商人が精製して匂いを取り除き、「石油」と名付けた

    ■ペリー
    ペリーは日本人を威嚇するために黒煙を大量に発生する質の低い石炭をわざと燃やした

    スモッグとは、スモークとフォグ(霧)が合わさってできた造語

    ■フォルクスワーゲン
    →ドイツ語で国民の車
    →ヒトラーが多くの国民が購入できる自家用車の開発を命じた
    →ダイムラー社のフェルディナント・ポルシェ(ポルシェの創業者)

    ■石油とは
    炭化水素が主成分
    →水素が炭素化されたもの
    炭素原子は四本腕!水素は一本腕
    →炭素一つ→メタン
    →炭素二つ→エタン
    →炭素三つ→プロパン
    少ないと、気体→天然ガス
    炭素多いと、液体、個体→石油

    ヘドロの生まれ変わり
    →一億年前、有機物が含まれたヘドロが百万年に渡って世界中の海底に降り積もった

    なぜヘドロが起こったか?
    超大規模な赤潮が起こった
    →シマノバクテリア
    →→窒素固定という特殊能力
    →→大気や海水中に溶けている窒素ガスを体に取り込んで、アンモニアやアミノ酸などに変える
    →→ハーバーボッシュ法と全く同じこと!!

    なぜシマノバクテリアが大繁殖したか?

    地球はリンゴのようなもの
    →薄い皮→地殻
    →芯→核
    →実→マントル

    地球の内部では、ウランやトリウムなどの放射性元素が絶え間なく核分裂を起こしている
    →めっちゃ熱い(中心は5000℃)
    →はけ口は火山や地熱

    一億年前、激しい火山活動が起きた
    →地中の二酸化炭素が空気や水に溶けた
    →ひどい温暖化
    →北海道くらいまでサンゴ礁があった

    多くの生き物が死に追いやられた
    →シマノバクテリアの独壇場
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    投稿日:2019.10.22

  • ドラソル

    ドラソル

    地質学の見地から地球のエネルギーについて書いた一冊。

    海洋無酸素事変、炭素の地球深部循環、メタンハイドレートの成因など最新の地質学の知見を解説しており、とても勉強になった。

    投稿日:2017.12.08

  • sugar41

    sugar41

    エネルギーを軸に、地球史・人類史を説明した本です。

    著者の専門からはちょっとはずれた内容のようですが、すさまじいほどの博識ぶりを遺憾なく発揮していると思います。
    エネルギーという一貫したテーマで、ここまで大きなことから小さなことまで広く語れる人は、なかなかいないんじゃないでしょうか。

    とくに、石油・石炭などの化石燃料については、いい勉強になりました。
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    投稿日:2017.11.12

  • 澤田拓也

    澤田拓也

    地球温暖化問題を科学的に分析した『チェンジング・ブルー』を書いた大河内さんの本。各章の前におかれた引用が著者の知識の広さと深さを示している。「地球のからくり」というタイトルだが、そこからイメージされるものとは少し違っていて、化石燃料などを中心とした「エネルギー」の話がメインである。

    あとがきに「改めて実感したことは、科学的な知識を伝えることの難しさと、考えが活字になることの重さである。正直なところ「象牙の塔」に閉じこもっていたい私にとって、気が重い現実を突きつけられた感じだった」と書かれている。「私はエネルギー工学の専門家ではないので、本書に具体的な政策提言があるわけではない。しかし、あまりにも極端な政策が叫ばれる今日この頃、私の専門とする地球科学に歴史科学的な視点をブレンドし、私なりの義務を果たそうとした次第である」と続く。どこかしら、著者のためらいが感じられる。

    『チェンジング・ブルー 』は名作である。一通りエネルギーについて知ることはできて悪い本ではない(よい本だと思う)のだが、前著には熱量含めておよばないという印象はぬぐえない。その前に、義務を果たすというふうには思わなくてもよいのでは、とも思う。



    ---
    『チェンジングブルー』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4006032803
    続きを読む

    投稿日:2017.08.14

  • アルマジろう

    アルマジろう

    文系の僕には難しかったが、知ることも多かった。
    植物の成長には窒素が必要で、窒素を取り出すためにアンモニアを作るとか、メタン・ハイドレートがメタンガスが凍ったものだとか。
    「宇宙全体で見ると物質は増えておらず、形を変えて存在しているだけ、つまり我々の体も元は別の物質だった」という話を過去に聞いて「なるほど。そういう意味では輪廻転生もありか」と考えたことがあったが、本書を読んで地球レベルでも物質は回転していることを改めて考えさせられた。続きを読む

    投稿日:2017.05.06

  • neki

    neki

    この地球上で人類が生きていく上で、エネルギーの確保について再考させられる本。大河内直彦の本は読みやすく分かりやすく楽しい。

    投稿日:2016.03.27

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