【感想】人間の叡智

佐藤優 / 文春新書
(55件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
11
26
7
4
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ブクログレビュー

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  • ドラソル

    ドラソル

    元外交官の佐藤優のによる一冊。
    2012年初版発行。

    内容は現代日本においてどのように生きていくかというもの。
    わかりにくい個所もあったが、勉強になった。

    投稿日:2019.06.19

  • bqdqp016

    bqdqp016

    元外務官僚 佐藤優による、現在の社会「新・帝国主義」について書かれた本。国際関係論、哲学、歴史、情報管理に詳しい著者だけあって、説得力ある内容となっている。著者のものの見方は鋭い。
    「旧来の帝国主義も、(現在の)新・帝国主義も「食うか、食われるか」の弱肉強食を原理とする」p7
    「新・帝国主義という国際環境の中で、困難な国内状況に直面しているにもかかわらず、日本人も日本国家も生き残らなければならない」p8
    「神学の世界には「総合知に対立する博識」という格言がある。断片的な知識をいくらたくさん持っていても、それは叡智にはならないということだ。断片的な知識をいかにつなげて「物語」にするかが、有識者の課題と私は考える。ここでもストーリーテラーとしての能力が必要となる」p9
    「日本で工場が閉鎖され失業者が出ることは、中国やタイやベトナムなどで何倍かの労働者が雇われることを意味します」p14
    「いまの不況や雇用の問題は、日本人の賃金が中国人の賃金と同じまでに下がらないと解決しないことになります」p14
    「国家というのは、国家自身の生き残りを考え、そのためには何でもするものです」p21
    「(帝国主義とは)国内の市場が狭くなって投資の可能性に限界がきたときに外国へ出て行き、富を確保することによって生き残るという重商主義の延長」p23
    「世界が、弱肉強食の帝国主義的傾向を強めていることを冷静に認識しましょう。帝国主義国はまず相手のことなど考えずに、自国の利益を拡大していきます。相手国が激しく反発し、国際社会からも「いくらなんでもやり過ぎだ」と顰蹙を買う場合には、帝国主義国は協調に転じます。こうした食うか食われるかの帝国主義的外交ゲームの中で、日本が少なくとも食われないようにすることが、政治家の責務なのです。そこにしか、日本とあなたが生き延びる道はありません」p40
    「(核保有について)世界の核不拡散体制を崩す最初の旗を振る必要はないという感覚が私にはあります」p122
    「各国が自国の利益むきだしに帝国主義の論理で行動し、そこにゲームのルールがわかっていない中華帝国や、ハルマゲドンを信じているペルシャ帝国が加わっているのが、今、私たちが生きている世界です」p124
    「(戦後の考え方(3つの主義))合理主義:非合理な精神主義が日本をおかしくした、生命至上主義:命よりも国家が大事というイデオロギーが無謀な戦いに導いた、個人主義:国家や組織が個人を押さえつけないといけないという発想が無謀な戦争を起こした。この3つの主義が絡まり合って戦後日本のあり方が基本的に決まっていった」p126
    「(城内実衆院議員)天皇は国の象徴であった方が、元首であるより超越的でいい」p135
    「衆愚政治になるというのは、言い換えればエリートの否定です。ポピュリズムはエリートを認めない。だから専門知識の欠如した民衆が直接に専門的領域に入ることができると思われてしまう」p137
    「新自由主義の弱肉強食の原理は、最強国に有利」p177
    「現代でも日常的に読書する人間は特殊な階級に属しているという自己意識を持つ必要があると思います。その人たちは学歴とか職業とか社会的地位に関係なく共通の言語を持っている。そしてその人たちによって、世の中は変わっていくと思うのです」p206
    「東大の学生は真面目で優秀です。しかし、言われたことをそつなくこなすばかりで、授業をさぼって好きな小説を読んだり映画を観たり、自分のやりたい勉強をやる学生が少なくなった」p220
    「ゼロ成長を前提に成熟社会をなどという議論がありますが、ゼロ成長で安定した社会を求めるのは無理です」p223
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    投稿日:2018.11.04

  • 波瀬龍

    波瀬龍

    【由来】
    ・amazonで鈴木宗男関連の書籍から

    【期待したもの】
    ・TPPを含んだ今の日本を取り巻く状況についての視点が獲得できれば。ただし出版は2012年なので、それであればより最近の佐藤優本が読みたい。

    【ノート】
    ・古典は2つ以上持つとよい。それはやはり長い時間、支持され続けてきたものには、それだけの含蓄があるということ。例えばファウスト。ちなみに、「ファウスト」と言えば、20年以上も前にたまたま読んだ「世界」の読書特集のようなところで、誰かが挙げてたのを、なぜか覚えている。
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    投稿日:2018.10.28

  • ykikuchi

    ykikuchi

    "佐藤優さんがわれわれのレベルに合わせて現在の社会を語ってくれているもの。
    相互に理解をするには、互いの知識レベルが近くないと中々理解し合えない。優しく書いているとはいえ、手ごわい本である。
    佐藤さんと同じレベルに近づける気分になれる本といったほうがよいかも。
    他国、他民族を理解するには、歴史、宗教、文化など多面的にとらえたうえで、相手がどんなふうに考えて行動するかを捕まえる必要がある。
    今回とても勉強になったのが、イランという国がどんな思想を持っているかを学べた点。
    世界を理解するには、宗教、哲学、歴史を肌感覚として理解していないといけないこと。"
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    投稿日:2018.10.28

  • junkonakayama

    junkonakayama

    オーディオブックで聞き流してしまったため、深く、面白そうな内容をキャッチできずに聞き終わってしまいました。
    もう一度紙の本で読み直す必要があるなぁ、と感じています。
    帝国主義、ポピュリズム、マルクス、イデオロギー、リベラル・・・用語として知ってはいても、しっかり理解し自分で使いこなせるレベルになっていない言葉や概念が多く出てきて、片手間に聞き流せる内容ではありませんでした。
    もっともっと勉強が必要。勉強して、また読み直そう、と思った一冊。
    これでも、この著者の著作の中では、わかりやすく書かれた本だということ。頭の良さが、次元が違う感じです。
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    投稿日:2017.09.28

  • キじばと。。

    キじばと。。

    現代は「新・帝国主義」の時代だという立場から、国際政治のさまざまな問題を分かりやすい言葉で論じている本です。

    著者は「はじめに」で、これまで刊行してきた本に対して「難しい」という声があったことを考慮し、「今回は、思い切って語り下しで、わかりやすい本を作ることにした」と述べています。ただ、著者の本の一番の魅力は、著者自身の教養の背骨となっているキリスト教神学、ナショナリズム、マルクス主義のトリアーデが、現代の状況を見据えながら掘り下げられていくところにあるのではないかと思っており、そうした掘り下げがほとんどなされていない本書には、あまりおもしろさを感じませんでした。

    著者の主張する「新・帝国主義」とは、21世紀においては従来の国民国家の枠を超えた「帝国」の勢力均衡に基づく国際政治の秩序が形成されつつあるというもので、にもかかわらず、日本ではそうした認識が根本的に欠如していると著者は批判しています。柄谷行人も近年文明論的な枠組みに基づく思想を展開していて、著者と立場を異にしつつも、呼応するところがあるのはおもしろいと感じました。ただ私自身は、こうした文明論的な議論の枠組みにはまだなじめずにいます。
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    投稿日:2016.09.09

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