【感想】正義論の名著

中山元 / ちくま新書
(15件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 大日方信春

    大日方信春

    ギリシャで登場した「正義(デイケー)」という概念について、西洋の政治哲学がどのように考えてきたのかをコンパクトにまとめたもの。ときに徳の中身として道徳哲学的に説かれ、ときに国家の正当性の基準として社会哲学的に説かれる「正義」について考えるはじめの一歩となる本だった。
    (2024.04.07)
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    投稿日:2024.04.07

  • tokyobay

    tokyobay

    社会契約論と市民社会論の対立をヘーゲルが思想的に統合したものの、マルクスとニーチェによって崩壊。との事だが、そういう風に考えたことはなかったので勉強になったし、単なる名著紹介に留まらず、思想史的な潮流の整理にもなる。
    結局、社会契約論はロールズによってリニューアルされ、「ロールズ産業」という形である種の復活を遂げたように思うが、市民社会論はフランクフルト学派によってリニューアルされたと考えるべきなのか、そして両者は対立関係にあるのか否か等々が本書からはわかりにくかった。もうそのような二項対立で考える時代でもないのかもしれないが。
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    投稿日:2021.01.28

  • prigt23

    prigt23

    『オデュッセイア』からデリダまで、歴史を振り返るかたちで「正義」の移り変わりが一気に読めた。ちくま新書の名著シリーズの中で、本書がいちばん流れがつかみやすかった。

    投稿日:2019.09.18

  • mamo

    mamo

    「正義」という言葉を発するとなんとなく思い浮かんでくるのは、「社会契約論」。

    好きか、嫌いかは別として、そこが思考のスタート地点となっている。

    「正義」という概念自体が、西欧と関連していて、思考がそっちのフレームに支配されてしまうんだな〜。

    というわけで、この「正義論の名著」は、西欧(アメリカ含む)における正義論の流れを整理してくれている。

    でてくるのは、ホメロス、プラトン、アリストテレス、キケロ、アウグスティヌス、トマス・アキナス、マキアヴェッリ、ホッブス、スピノザ、ロック、ルソー、カント、ヒューム、アダム・スミス、ベンサム、ヘーゲル、マルクス、ニーチェ、ベンヤミン、ハイエク、ロールズ、ノージック、ウォルツァー、サンデル、ホネット、レヴィナス、デリダ。

    ホメロスの「歓待」から始まりデリダの「歓待」に終わる正義論。名前をみているだけで、なんとなくワクワクしてしまう私はなんなんだろう?

    西欧の「正義論」の大きな流れが分かることで、なんだろう自分が誰的な発想で考えているのか、というフレームに気づきやすくなっただろうな〜、と思う。そして、「正義」が一番、大事な概念であるわけでもない。

    「正義」という言葉を発すると、「なにが正義か」という話になっちゃうんだけど、それ以前に、「正義が一番大事なことなのか?」という問いを抱くことができるといいな。
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    投稿日:2019.04.03

  • kanata-books

    kanata-books

    このレビューはネタバレを含みます

    道案内としては秀逸な書です。

    各論者の正義論をこれだけ簡潔に要約するのは尋常ではない作業のはず。特に現代に近づけば近づくほど、これまでの論者への批判や系譜、根拠などを踏まえて書かねばならないので、最後のレヴィナスやデリダが紙面が足りていない様子になるのは仕方がないのではと思います。

    こういった要約紹介の道案内本の読み方としては、誰のどういう部分に共感・違和感を覚えるのかをピックアップし、自分の考えをメモしておくのが良いのではないでしょうか。それが、政治や法の根底にある正義の問題ならなおさらです。自分はそのようにしています。
    そのようにして自分の中に浮かばせた関心の雲は、いつどのようなきっかけで相互につながるかわからない、というのが経験からの示唆ですね。面白いです。

    CPは最高です^^不十分だと思ったらもう少し本格的な正義論の本へ進めばいいのです。

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    投稿日:2015.01.18

  • bax

    bax

    このレビューはネタバレを含みます

    [ 内容 ]
    西洋思想史上、「正義」について考えることは、「道徳」「倫理」「政治」などの問題とかかわりあいながら、つねにひとつの軸となってきた。
    「公正さとは何か」「正しさの基準はどこにあるのか」などなど、今日でも喫緊の課題として論じられるこれらについて、大思想家たちの「名著」は大きなヒントと刺激を与えてくれることだろう。
    プラトン、アリストテレスから、ホッブズ、ロック、ベンサム、ニーチェ、さらにはロールズ、デリダ、サンデル…。
    この一冊で主要な思想のエッセンスがわかる。

    [ 目次 ]
    第1章 公共善と正義(ホメロス『オデュッセイアー』―ゼウスの正義;プラトン『国家』―正義は、国家や人間における調和である ほか)
    第2章 社会契約論と正義(ホッブズ『リヴァイアサン』―国家が正義を執行する;スピノザ『エチカ』―民主的な国家のうちで最高の自由と正義が実現する ほか)
    第3章 市民社会論(ヒューム『人性論』―人間はその本性からして社会を作り、正義を実現する;アダム・スミス『道徳感情論』―人間には正義を望む道徳的な感情がある ほか)
    第4章 現代の正義論(マルクス『ドイツ・イデオロギー』―イデオロギーとしての正義;ニーチェ『道徳の系譜学』―約束する人間の正義とルサンチマンの正義 ほか)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

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    投稿日:2014.11.01

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