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江川晴 / 小学館 (1件のレビュー)
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林檎飴甘
年代によって感想が大きく変わる物語なのだと思う。 人生を終わりを身近に感じ、日々大切に過ごしている人たち。 未来は無限にあると、漠然とだけれど思っている人たち。 物語を現実的に捉えるか、物語としてしか…感じることができないか。 正直に言ってしまえば、現実味のある身近な物語としては読むことができなかった。 けれど、医療現場の実情や当事者になったときの不安や辛さはストレートに伝わってきて息苦しいほどだった。 親身になって相談に乗ってくれる医療関係者。 江川さんに医療知識があるからだけではない、対人間のあたたかさがそこには見てとれた。 だからかもしれない。 一番強く印象に残ったのは救急隊員とあとがきにあった役所の対応だった。 救急車を呼ぶ…それは一般の人にとっては本当に特別な、助けを求めての行為なのだと思う。 かかりつけの医療機関があればそこへと思い、何が危険か知っていればそれを救急隊員に伝えようとするだろう。 それを怒鳴りつけ、無視し、患者を危険な状態にさせるなんて。 自分たちは偉いとでも言うのだろうか? 家族は余計なことは何も言わずに黙って見ていろとでも言うのだろうか? 一刻を争うときに診察券を探させ貴重な時間を無駄にする。 そんな人たちが実際に救急隊員として乗務しているとしたら恐怖を感じざるをえない。 役所の対応も「なんて心無い行為なんだろう」と感じた。 使う人もいなくなってしまった健康保険証。 破棄しなければならないことはわかるけれど、目の前で破かれゴミ箱に捨てるなんて驚きだ。 毎日同じ仕事をしている人にとっては何気ない行為でも、当事者にとっては特別な出来事なのに…とても寂しい気持ちになってしまった。 最後に登場する亡くなった夫からの手紙。 あったかくて優しくて、大切に思う気持ちにあふれていた。 こんなふうに思いあえる家族は幸せだなと。 医療に関しては当事者にならなければわからないことが多くある。 実際に自分が怪我をしたときに初めて知ったことも多かった。 結局、その場にならなければどうにも出来ないことが多いのが病と闘う現実なのかもしれない。続きを読む
投稿日:2017.04.01
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