【感想】四谷怪談

高橋克彦 / 21世紀版・少年少女日本文学館
(2件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 淳水堂

    淳水堂

    こんな話だったのか!
    顔が崩れる、呪われる、いっぱい殺すのは知っていましたが、死体を釘で打ち付けるとか、死体の顔の皮を剥ぎ取るとか…かなり血生臭かった。。

    こちらの「少年少女古典文学間」は、日本の古典文学をそれぞれの作家が現代語訳し、少年少女にわかりやすく解説も入れ、話としても面白く編集したシリーズです。
    鶴屋南北作の歌舞伎狂言である「四谷怪談」の現代語訳は高橋克彦。ご自身も子供の頃に映画で四谷怪談を親しんでいたそう。私も子供の頃はよくテレビでやっていて「四谷怪談の出演者や関係者は必ず事故にあう!」「お岩さんの名前を言ったら呪われるから必ずお詫びの言葉も一緒に唱えなければいけない!」みたいな都市伝説がありました。
    呪われないと信じてレビュー書きます。

    歌舞伎狂言での「四谷怪談」の時代背景は、「仮名手本忠臣蔵(https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4309728804#comment)と同じ、つまり江戸時代の赤穂事件を足利尊氏の執権高師直に置き換え、塩冶判官が高師直に江戸城内で刃傷沙汰におよび、塩冶判官は切腹でお家は取り潰しとなり、塩谷家の家臣たちは高師直への仇討ちの機会を狙っています。
    本来大変長くて、全部上映すると10時間くらいかかるらしい。お話の流れとしても、偶然の出会いがあったり、あの人の正体は実は…みたいな展開があったり、説明的セリフがあったりといかにもお芝居的にわかりやすくなっているところもあります。
    また武士の誇りというものに疑問を感じるような書き方もされていて、当時の社会でもそんな風潮が合ったかと思いました。


    ===
    主人公で悪役の民谷伊右衛門、その妻お岩の父である四谷左門、お岩の妹お袖の夫の佐藤与茂七たちは、塩谷家の家臣だ。
    四谷左門や佐藤与茂七は真剣に仇討ちを狙っている。しかし伊右衛門は「俺達が露頭い迷うことを分かっていながら刃傷沙汰なんぞ、迷惑被ったのは俺達の方だ」と、塩谷家の財産を横領する。
    それを知った四谷左門は伊右衛門とお岩を離縁させる。伊右衛門はお岩を取り戻すために舅の四谷左門を斬ることにした。
    そのころ、塩冶家家老の奥田将監の下男の直助は、お袖に横恋慕し、その夫佐藤与茂七を殺すことにした。
    二人は首尾を果たし、伊右衛門はお岩を取り戻し、直助は佐藤与茂七の仇討の助太刀という名目でお袖とともに暮らすことになる。
    しかしお岩は産後の肥立ちが悪く、家財も底をつき、二人はすっかり鬱病女房と暴力亭主となっていた。
    そんな伊右衛門のところに隣家で高師直の家臣である伊藤喜兵衛が「どうか孫娘のお梅の婿になっていただきたい。さすれば高家への士官は口利きするし、我が家の財産も全て相続していただく」と懇願される。
    伊右衛門にとっては、お岩さえ消えれば願ってもない話。しかも伊藤喜兵衛は、伊右衛門がお岩を追い出しやすくするために、お岩の顔が醜く崩れる薬を差し入れていた。薬を飲んだお岩の顔は膨れ上がり、髪は抜け落ち、口からは血をしたたらせ…。その上ほぼ事故のような形で命を落とす。
    伊右衛門はここぞとばかりに「妻のお岩と、下男の小平が不義に及んだためまとめて斬り捨てた」という体裁を取る。
    お岩と、下男の小平の死体を戸板に釘で打ち付け…。
    邪魔者は消えた、お梅と新婚生活を始めようとする伊右衛門だが、お岩と小平の霊が、お梅と伊藤喜兵衛に乗り移り、伊右衛門の罪を断罪する。狂乱した伊右衛門は二人を斬り捨てる。
    正気に返った伊右衛門は、梅と伊藤喜兵衛の遺骸に漠然として、どこへともなく蓄電し…。


    この後も多くの死体を積み重ね、多くの呪いが下手人を襲い、偶然の出会いがあり、互いを知らない家族関係が明かされてゆく。
    武士とはなにか?という問いも繰り返される。
    伊右衛門はたしかに横領者だが、殿が家臣を顧みないのならば生きる手立てが必要だろう。四谷左門は佐藤与茂七は仇討ちなどというが、そのための困窮して物乞いをしたり女に女郎をさせるしかなくなっている。
    伊右衛門は多くの人を斬り、裏切った。そして伊右衛門と関わるほぼ全ての人間に呪いが降りかかり、まさに生地獄を彷徨うが如くになりながら「なにが武士だ!生きるためには金が必要だ!俺に殺されたお前らは、お前ら自身が悪いんだろう!」と人々を罵り続ける。

    だが脅威の呪いを見せつけていたお岩は最期の最期で伊右衛門に微笑んだ。
    もう許した、もう自由になりましょうというように。
    それは伊右衛門がかつて惚れた女の笑顔だった。
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    投稿日:2022.07.19

  • oriduru1970

    oriduru1970

    原作は江戸時代の言葉で書かれているんだ。
    悪のヒーロー?民谷伊右衛門に人間的魅力はゼロだ。原作を読めばまた違うのか?
    母子そろって自己愛性人格障害?境界性かな?江戸時代から、こういう人はいたのね。そりゃそうか。数百年で人は早々変わらないんだな。こう思うのも、この著者の解釈に引きずられているのかも。

    http://narcip.com/
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    投稿日:2017.06.13

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